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2022.12.01

104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意|沖縄の人が100歳まで生きる確率はアメリカ人の3倍


「ブルーゾーン」と呼ばれる、世界の長寿地域の中でもトップに位置する沖縄。”百歳人”の生きざまを紹介します(写真:mitch23/PIXTA)

「ブルーゾーン」と呼ばれる、世界の長寿地域の中でもトップに位置する沖縄。”百歳人”の生きざまを紹介します(写真:mitch23/PIXTA)

どうしたら、生き生きと輝く毎日を過ごしながら長生きできるのだろう。

研究者で探検家であるダン・ビュイトナーは、雑誌『ナショナル・ジオグラフィック』とチームを組み、研究者たちをも巻き込んで、「長寿者」が多く暮らすエリア「ブルーゾーン」にそのヒントを探す旅に出る。そのきっかけは、「沖縄」だった。

100歳を超える長寿者「百歳人(センテナリアン)」たちの生活習慣を調べ、健康長寿の秘密を探るルポルタージュ『The Blue Zones(ブルーゾーン) 2nd Edition(セカンドエディション)』から、一部を抜粋編集してお届けする。

『The Blue Zones(ブルーゾーン) 2nd Edition(セカンドエディション)』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

長寿の極意は沖縄にあった

長寿研究において沖縄が重要な役割を果たしていることは、何年も前から聞いていた。沖縄が世界でもまれに見る長寿地域であることは、人口動態のデータが示している。

沖縄の人が100歳まで生き延びる確率は、アメリカ人の3倍にも達する。また、心臓疾患にかかる割合はアメリカ人の5分の1だし、健康で過ごせる年限が約7年も長い。これほどの健康長寿の秘密は、いったいどこにあるのだろう。

私は、雑誌『ナショナル・ジオグラフィック』に特集記事「長寿の極意」を書いたばかりだった。この記事では、世界の3つの長寿地域を取り上げた。これら、長寿者の多い場所を、私たちは「ブルーゾーン」と名づけた。

人口動態学者は、長寿者が多いイタリア・サルデーニャ島を調べていたときに、この名称を考えついた。私たちはこの概念をさらに広げ、世界の長寿地域すべてを「ブルーゾーン」と呼ぶことにしたのだ。沖縄は、このリストのトップにランクされている。

“長寿界のセレブ”奥島ウシ・104歳を訪ねる

私が沖縄本島北部の大宜味にある奥島ウシの家に着いたのは、午後もだいぶ遅くなってからだった。

彼女の家は、典型的な沖縄の木造住宅だ。障子で仕切られた部屋がいくつかあって、畳敷き。私たちは靴を脱いで、家に上がった。ウシは女王であるかのように、静かに部屋の真ん中の椅子に腰掛けていた。

私たちが最初にウシに会ったころ、彼女はまだ無名だった。だがいまではセレブの仲間入りをして、長寿のダライ・ラマといった風情だ。水色のキモノを着た彼女は、私たちにもすわるよう手で合図した。そこで私たちは、幼稚園児のように、彼女の足元に足を組んですわった。

ウシは挨拶がわりに、筋肉もしっかりしているよ、ということを示すかのように、両手を頭の上まで持ち上げて叫んだ。

「元気、元気、元気」

“こりゃ、得がたいバイタリティーだな”と、私は感じ入った。たいていの人は、年を取ることを恐れる。しかしこの活発なおばあちゃんを見ると、加齢が楽しみであるかのように思えてくる。

私は雑誌『ナショナル・ジオグラフィック』に掲載された彼女の写真を見せた。これが巻頭特集になって表紙も飾っているのだから、私としても鼻が高かった。だが彼女はチラリと目をやっただけで床に置き、私に飴を勧めた。

私はウシに今日で2度目となるインタビューを始め、彼女の畑のことや友人たち、前に会ってからの5年間にどれほど状況が変わったかを尋ねた。

畑仕事は減らしたが、近くのマーケットで、くだものを袋詰めする仕事をやっているという。1日の大半は、孫たちや、幼いころからの3人のおばあさん仲間と過ごす。夕食はほとんど野菜だけで、寝る前にはヨモギ酒を1杯だけ飲む。

「よく働いて、寝る前にヨモギ酒を飲み、ぐっすり眠る」

これが長寿の秘訣だ、と彼女は言った。

百歳人から健康と長寿の秘訣を学ぶ

世界のブルーゾーンで暮らしている、ウシのような人たちから聞いた話を私はルポルタージュとしてまとめた。言い換えれば、このルポルタージュは、世界で最も健康的で、最長寿の人たちが、長生きして心豊かな暮らしをする秘訣を語る教訓集でもある。

彼らが語る物語は、子育てから人に好かれるコツ、豊かになる方法から愛を見つけてそれを保つやり方まで、人生で大切なことを教えてくれる。

百歳人は自分がいかにして100歳まで生きたかを語ることはできる。だが、身長2メートルの人が自分はなぜ2メートルの身長に達したのかを説明できないのと同じように、自ら百歳人の秘密を解明することはできない。

ウシが毎晩、1杯のヨモギ酒を飲むことは、健康になんらかのプラスをもたらしているのだろうか。そうかもしれない。しかし、そのおかげで、彼女はがんに罹らず、心臓疾患も誘発していない、とは断言できない。彼女が104歳でなおこれだけのバイタリティーを持っていることの説明にも不十分だ。

ウシのような人から長寿の秘訣を学ぶとすれば、彼女のような人々がたくさん住む地域を見つけ出すこと、つまりそのような伝統文化を持ったブルーゾーンを見つけて調べるのが早道だ。そのような地域では、90歳代、100歳代の健康人の比率が高いに違いない。このような場所が見つかれば、科学的にも解明しやすい。

デンマークの双子を研究した有名なデータをもとに科学が突き止めたところでは、長寿の要因のうち遺伝子に左右されるのはわずか25パーセントで、あとの75パーセントはライフスタイルや日常生活で選択する習慣に関わっているという。

とすれば、もし私たちがライフスタイルを最適の状態に保つことができれば、生物的な限界のなかで最長の平均余命を満喫できるはずだ。

世界の長寿地域「ブルーゾーン」5カ所

世界的に認められた長寿のホットスポットであるブルーゾーンはこの5カ所だ。

・イタリア・サルデーニャ島のバルバギア地方

・日本の沖縄

・アメリカ・カリフォルニア州のロマリンダ

・中米コスタリカのニコジャ半島

・ギリシャのイカリア島

これら5つの地域はそれぞれ文化が違い、長寿への道程も異なっていた。

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『The Blue Zones(ブルーゾーン) 2nd Edition(セカンドエディション)』(祥伝社) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

世界のブルーゾーンには、何世紀あるいは数千年にわたって培われてきた人類の体験が隠されている。

人々が何を食べ、どのような形で隣人たちと付き合い、ストレスを発散させ、自分たちの気分を癒やし、病を退けてきたのか。どのような世界観を持っていれば長寿が実現できるのか──。ブルーゾーンには長い年月をかけて育まれた文化がある。自然の環境が種の生存を淘汰するのと同じように、彼らの文化が住民たちの長寿を醸成してきたに違いない。

これらの地域の文化から学ぶためには、住民たちの生きざまに、謙虚に耳を傾ける必要がある。

あなたも、耳を傾けてみようという気持ちになっているのではないだろうか。もし、そうならば、これからのブルーゾーンの旅が、あなたの人生を根本から変えるかもしれない。自分自身の将来がどうなるのかは、だれにもわからないのだから。

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提供元:104歳で働く「沖縄のおばあ」に見る健康長寿の極意|東洋経済オンライン

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