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2022.11.30

節約の味方「鶏むね肉」で「絶品とり天」作る簡単技|コツは「脂肪分を補いつつ」「水分を逃さない」


安くてボリューム感もある「とり天」の作り方を伝授します

安くてボリューム感もある「とり天」の作り方を伝授します

在宅勤務などによって、家で料理をする人が増えたのではないでしょうか。料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番の料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作る方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する連載『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。

今回は、家計の味方「鶏むね肉」で作る「とり天」です。ふっくら仕上げる方法を伝授します。

樋口直哉の「シン・定番ごはん」 ※外部サイトに遷移します

「むね肉」はうま味物質の量が多い

このところ値段が上がっていますが、比較的安価な鶏むね肉は家計の味方。もも肉よりもむね肉が安い理由は、もも肉のほうが人気があるから。

欧米では逆でむね肉のほうが人気のため、もも肉よりもやや割高で売られているわけですが、これらの肉に食材としての優劣はなく、価格の違いは万人の好みの差によるもの。鶏むね肉はもちろん上手に料理すればおいしい食材です。

むね肉はよく「淡白」と言われますが、実はうま味物質の量はもも肉よりも多いのです。ただ、もも肉とは異なる特徴が2つあります。

1つ目は脂肪分の少なさ、2つ目は筋繊維を包む膜が薄いため、水分が抜けやすいことです。ここから導き出せる鶏むね肉攻略法は「脂肪分を補いつつ」「水分を逃さない」ことです。

今回は「とり天」をご紹介します。とり天は大分県発祥の料理。名前から鶏を使った天ぷらと思われがちですが家計の味方「鶏むね肉」で作る「とり天」です。実は江戸前の天ぷらとは衣の配合が異なり、卵と粉の割合が多いのが特徴です。衣に包んで揚げることで、鶏肉にソフトに火が入り、しかも厚みが出る=ボリューム感が出ます。

昔、鶏肉が高価だった時代、量を増やす工夫だったようですが、昨今の物価高の状況でも役に立つ工夫です。さっそく取り入れてみましょう。

とり天の材料(2人分)

鶏むね肉   300g
塩      小さじ1/3(2g)
酒      大さじ1
小麦粉    80g
片栗粉    20g
卵      1個
水      75ml

インターネットでレシピを検索すると、鶏むね肉レシピの多くは叩いたり、砂糖水に漬け込んだりなど、パサつきやすさを解消するための工夫が施されているものが目に付きます。ただ、どの工夫も一長一短があるので、求める仕上がりや調理法に応じて、適切に選ぶことが重要です。

例えばとり天では鶏をそぎ切りにします。鶏むね肉を観察すると中心から放射状に繊維が走っているのがわかるでしょう。そこでまず横半分に切ってから、繊維を断ち切るように1cm厚に切ります。繊維が短くなるので、食感がやわらかくなるからです。

鶏むね肉の繊維をしっかり観察しましょう

鶏むね肉の繊維をしっかり観察しましょう

一方、繊維が短くなる、ということは水分が逃げやすくなる、という弱点もあります。とり天の場合はそこを下味と衣で補いましょう。分量の塩小さじ1/3と酒大さじ1を振り、15分以上置きます。この工程は事前に準備することもできるので、下味をつけた鶏むね肉はラップなどをかけて、冷蔵庫で一晩置いてもかまいません。

下味をつけて、15分以上置きます

下味をつけて、15分以上置きます

この工程には味付け以上の意味があります。まず、塩を加えることでタンパク質の一部が溶け、水分を抱え込むので、結果として食感がやわらかくなります。酒は臭みを抑えるほか、肉の保水力を高める力もあります。加熱によって失われる水分も補われるので、仕上がりがしっとりします。

衣の材料です。江戸前の天ぷらは素材の味を生かすためのクリスピーな薄衣が主流で、例えば水500mlに卵1個(または卵黄1個)を溶き、そこに同体積の小麦粉を混ぜたりします。

一方、とり天は中国料理の揚げ物に近く、存在感のあるふっくらとした衣にするため、卵と小麦粉の量が多い配合です。

ここでは小麦粉に片栗粉を混ぜています。片栗粉は小麦粉と違い、タンパク質が含まれていない純粋なデンプンです。デンプンはタンパク質のような網目構造をつくらないので、揚げたときに水分が抜けやすく、フワッとした食感が出ます。

衣には小麦粉と片栗粉を混ぜたものを使います

衣には小麦粉と片栗粉を混ぜたものを使います

溶いた卵を水で伸ばし、卵液を準備します。

粉に卵と水を加えるのではなく、卵液を作るのもポイント

粉に卵と水を加えるのではなく、卵液を作るのもポイント

粉に卵液を加え、混ぜましょう。

卵液を使うと小麦粉が玉になるのが防げます

卵液を使うと小麦粉が玉になるのが防げます

粉気がなくなるまで混ぜて、どろっとした状態になればOKです。フライパンに揚げ油を準備し、中火にかけて温めておきましょう。

どろっとした状態になったらOK

どろっとした状態になったらOK

ここで登場する秘密兵器が100円均一などでも売られている竹串です。味付けした鶏むね肉を竹串で刺し、揚げ衣を全体にまとわせましょう。

箸を使うとつまんだ部分の衣が剥がれ、そこから油が入ることで揚げ上がりが油っぽくなったりするリスクがありますが、竹串を使えばそれを防げます。

竹串で刺して全体にまとわせます

竹串で刺して全体にまとわせます

120〜150℃のあいだくらいの低い温度の油から揚げていきます。衣が固まるまでは触らないようにし、火が通ってきたら裏返しましょう。160℃を超すと鶏肉から泡が出てくるので、火加減を弱火に落とし、さらに揚げていきます。

衣が固まるまでは触らないようにしましょう

衣が固まるまでは触らないようにしましょう

揚げる、という調理工程は衣から水分が抜け、そこに油が入る、という油と水の交換現象です。衣から水分が抜けていくと、気化熱によって失われるエネルギーも減っていくので、結果的に揚げ油の温度は徐々に上がっていきます。最終的な揚げ上がり温度は180℃〜185℃くらいです。

油の温度が高くなりますが、衣で包まれているので鶏むね肉は水分によって蒸されている状態です。水分は100℃以上にはならないので、肉には比較的ゆっくりと火が通ります。鶏むね肉は中心温度で68℃をこしたあたりから明らかに硬くなりはじめます。安全性と食味のバランスを考えても加熱温度は75℃前後を目指したいところ。ゆっくり加熱すれば温度が上がりすぎるリスクが少ないので、仕上がりが安定します。

最終的な揚げ上がりは衣の色づきや箸でつまんだときの感触の変化で判断できます。こんがりと揚がったとり天をザルなどに引き上げます。このあいだにも余熱で調理は進むので、安全性はより担保されます。フライパンが小さい場合は半量を揚げ、残りを揚げる、という形をとりましょう。

カリカリ感を求めるなら二度揚げする手もあります

カリカリ感を求めるなら二度揚げする手もあります

出来上がり。現地では酢醤油で食べることも多い料理ですが、大根おろしにポン酢で食べる、あるいは塩コショウでシンプルに食べてもおいしいもの。ふっくらとした衣の食感が際立ちます。ご飯だけではなく、うどんと一緒に食べるのもいいでしょう。

ポン酢がなければシンプルな酢醤油もいいもの

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塩コショウで食べると、衣の食感が際立ちます

塩コショウで食べると、衣の食感が際立ちます

(写真はすべて筆者撮影)

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提供元:節約の味方「鶏むね肉」で「絶品とり天」作る簡単技|東洋経済オンライン

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