2022.11.25
家族との心の距離を縮める「話し方の最善策」|パートナーに高価なものをおねだりされたら…
パートナーからの急なおねだりについ拒絶、反対していませんか?(イラスト:地獄カレー)
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こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。
職場の上司や部下、友人とは上手にコミュニケーションが取れるのに、どういうわけか親やパートナー、子どもといった家族とはぎくしゃくしてしまう……。そんなお悩みを抱えている人は少なくありません。
家族間の場合、気を遣うことの照れくささや、「これだけ長く一緒にいるのだから、言わなくてもわかってくれるだろう」という甘えがあるように思います。
家族と過ごす時間を、より心地よいものにするためのちょっとした話し方のコツを、拙著『好かれる人の神対応 嫌われる人の塩対応』から一部抜粋、再構成して、ご紹介いたします。
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家族といえども要望は細部まで、具体的に言葉で伝える
家族とのコミュニケーションにおいては、「言葉にせずとも〝察して〞は暴力」というスローガンを、まず心に留めてください。どんなに長く連れ添ったパートナーや身内も〝心を読めるエスパー〞ではありません。あなたの胸中を推察し、そのとおりに動いてくれるわけではないのです。
ですから相手を過信せず、自分の気持ちはできるだけ具体的に言語化して、真摯に伝えることをおすすめします。それをおっくうがったり、遠慮をしたりするほうが、あとで争いの火種になりかねません。「相手を気遣い、黙っていること」は決して〝美徳〞ではないのです。
たとえば、パートナーが家事をやってくれないとき。お互いが納得のうえで分担できていれば問題ありませんが、そうでない場合。どちらか一方だけが家事をやっているという状況では、不満がたまるのも当然です。
パートナーに家事を頼むときは要望を明確に
嫌われる人の塩対応 「なんで私ばっかり? いくらなんでも鈍すぎ」
(イラスト:地獄カレー)
とはいえ、こんなふうに心の中だけで不満を募らせていませんか? 「察してほしい」と念じていても、通じないことはよくあります。「はっきり言ったら嫌われる」などと遠慮せず、要望を具体的に伝えましょう。「身内に指示するなんて」と気後れする必要はありません。「気づいて!」とモヤモヤしながら不機嫌でいるより、早めに意志疎通をはかるほうが、相手も心地よく過ごせます。
好かれる人の神対応 「リビングと寝室に掃除機かけてくれると、うれしいな」
(イラスト:地獄カレー)
このようにポイントを明確にして、要望を伝えましょう。ほかにも、たとえばリモートワーク中に、子どもの世話を頼みたいとします。そんなときは「あの子をみてて」ではなく、「あの子を公園に連れて行って」と頼みます。また、トイレットペーパーを買ってきてほしいときは「シングル」「ダブル」の指定までするといいでしょう。「ここまで細かく言わないとわからないなんて」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、長く一緒に暮らしていても、言葉は大事です。頼まれた側も、具体的に言われたほうが行動しやすくなります。
思春期のお子さんがいる場合、会話が少なくなってしまうのはやむをえないところもあります。しかし、「反抗期かな?」と感じたときこそ、距離を置きすぎるより、積極的な関わりを。親への反抗は「愛情の確認」である可能性が大きいです。
「反抗期」の子どもとも楽しい時間を共有しよう
嫌われる人の塩対応 「最近、口をきいてくれないのよね。多感な時期だからそっとしておこう」
(イラスト:地獄カレー)
「ものわかりのいい親」であろうとしてか、反抗的なわが子に対して、距離を置きすぎる親が増えています。でも、それは逆効果。お子さんは「愛されている」という確証が欲しくて、あえて反抗的な言動に及ぶケースも多いのです。「そっとしておこう」と親に放置されるのは、子どもにとって、実はとてもつらい状態なのです。
好かれる人の神対応 「最近の推しは誰? お母さんは〇〇さんが好きだけど、どう?」
(イラスト:地獄カレー)
まずは楽しい時間の共有を。買い物、食事、会話などをエンジョイしてみましょう。とはいえ相手の話を否定したり、批判したりするのは厳禁です。質問攻めにならないようにも注意してください。「あれか、これか」と二者択一を迫るクローズドクエスチョンでなく「芸能人では誰が好き?」など、答える側に決定権のあるオープンクエスチョンにすると、会話が弾みます。
家庭円満に導く、3原則とは?
家庭において「未来志向」は重要です。
そもそも家庭生活には「お互いを理解し、歩み寄りながら維持させること」が欠かせません。ですから、互いにずっと快適に過ごすため、次の3原則に気をつけてみてください。
(1)すり合わせられるところは、すり合わせること(食事の好みなど)
(2)改善できるところは、改善すること(実家とのつきあい方など)
(3)「相手を尊重すべき部分」には、互いに立ち入らないこと(所有物の管理など)
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とくに(1)「すり合わせ」と(2)「改善」のためには、会話のキャッチボールを丁寧に重ねることが有効です。相手の言葉に疑問を感じたとき、脊髄反射のように、「なぜ」と即座に疑問形で切り返すのはちょっと待って。いったん「そうなんだね」「あなたはこう思っているんだね」と発言をしっかり受け止めてから「それはなぜ?」と返すようにしてみましょう。
たったひと言、ワンクッション挟むだけで、「あなたを受け止めましたよ」という態度を表すことになり、その後の展開がスムーズになります。人の心とは面白いもので「自分の気持ちを受け止めてもらえた」だけで、満足したり、スッキリしたりするものなのです。
逆説的に言えば、「私たちは、もともとわかり合えてはいない」という認識から一歩ずつ会話を進め、心の距離を縮めていくことが、相互理解への近道です。
パートナーに高価なものを突然おねだりされたとします。急なおねだりには拒絶、反対してしまいがちかもしれません。でもコミュニケーションの理論から言うと、相手の気持ちをまず受け止めるのが、得策です。
不要な衝突を避け、検討に入る方法
嫌われる人の塩対応 「そんなお金ないわよ」
(イラスト:地獄カレー)
「ムリ!」「本当に必要?」「ムダでしょ」「もったいない」……。こんな否定のニュアンスで即答されると、不要な衝突を生みかねません。また人間には「否定されると、さらにそれにこだわりたくなる」という心理があります。反感を抱いた相手が「本来買わなくていいもの」に執着してしまわないよう、気をつけて!
好かれる人の神対応 「〇〇が欲しいのね。使う回数や予算を検討しよう」
(イラスト:地獄カレー)
「〇〇が欲しいのね」と繰り返し、「欲しい」という相手の気持ちを、まず受け止めましょう。キャッチボールと同じで、そのほうが相手を安心させます。「受け止めること」=「承諾したこと」にはならないので、ご安心を。そうやって衝突を避け、良好な関係を保ったまま「必要かどうか」「予算はいくら?」などの検討に入ります。これは、子どもにも使える話法です。
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提供元:家族との心の距離を縮める「話し方の最善策」|東洋経済オンライン