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2022.10.06

「暴発する秋の食欲」意外な原因が隠れている事も|食べすぎを予防する養生法とツボ2つを紹介


(写真:EKAKI/PIXTA)

(写真:EKAKI/PIXTA)

暑さで食欲が落ちていた夏が過ぎ、食べ物が美味しい秋がやってきました。この時期に気を付けなければならないのは、“食欲”です。

まず、夏の状態を振り返ってみましょう。

夏の食事の仕方が秋に影響

夏に、冷たくのど越しのよい素麵や冷製パスタばかりを食べていた人は、胃腸が冷えた状態になっています。胃腸は冷やされるとその働きが低下します。せっかく食べてもきちんと栄養が吸収されません。

漢方では、生命活動の原動力である「気」は、胃で作られると考えられています。胃は単に食物を消化するだけではなく、生命エネルギーである気を作り出す大切なところです。

胃が冷えて働きが悪くなるということは、食べ物が消化されにくいばかりでなく、気が十分に作られない状態にもなります。その結果、ちょうど今ごろに消化不良やだるさ、無気力などを伴う”夏バテ”の状態になります。

もう1つ、この夏、熱中症対策や脱水予防のために、水分を多めに取っていませんでしたか? 過不足なければ問題ありませんが、必要以上にたくさん飲んでいる方がほとんどです。

漢方では、胃は水分でビショビショの状態になると、きちんと働かなくなると考えられています。結果的に、消化不良で下痢をしたり、必要な栄養が吸収されずに夏やせしたりします。

最後は汗。夏は汗をたくさんかきますが、漢方では毛穴から汗とともに気が漏れ出ると考えます。汗をかきすぎて気が不足すると、「気虚(ききょ)」という状態になります。やる気が出ない、疲れる、食欲不振、消化不良などの症状が現れます。

このように、胃の機能が落ちて気が不足しがちな夏とは打って変わって、秋は胃腸にとって最適な環境になる季節です。

まず、涼しくなって空気が乾燥します。体内もその影響を受け、乾燥気味になります。涼しく乾燥した状態は胃にとっても快適で、これまでの栄養不足を挽回するべく、食欲が増してきます。つまり、秋に食欲が増すのは自然な流れなのです。

もちろん、だからといって、急にたくさん食べるのはよくありません。夏に弱った胃腸は、まだその働きを回復できていません。弱った胃に大量に食べ物が入ると消化が追いつかず、十分に栄養を取り込めません。十分に気を作ることができず、夏ばてから秋ばてに移行していってしまいます。

秋の食欲の暴発は、夏の栄養不足を取り戻そうとすることも要因の1つですが、間違った食習慣による過食もあります。

コロナ禍で体重が増えた人の話を聞いてみると、“テレワークや自粛生活で出勤や外出がなくなり、運動量が減った。そのうえ、楽しみが家の中で手軽にできる食べることになった結果、体重が増えてしまった。太りつつあることは何となく自覚していたけれど、体重計に乗るのが怖くなり、体重はずっと計らないでいたら、気づくと10kg近く太ってしまった”というパターンが多いです。

1度や2度、食べすぎたくらいでは太ることはないのですが、毎日継続的に食べすぎていれば当然、太ります。特に秋は胃の働きも活発になるので、余計に太りやすいと言えます。

余談ですが、同じ食べすぎでも体重が増えにくい、いわゆる「やせの大食い」タイプはもっと厄介です。まず食べすぎに気づきにくいですし、消化しきれない食べ物は「瘀血(おけつ:血の循環が滞った状態)」や、「痰飲(たんいん:未消化の飲食物から作られる老廃物)」を作り、思いがけない症状につながりやすいからです。

スイーツの食べすぎはダメ

食べすぎで問題になるのは量だけではありません。食べ物の種類も影響します。特にスイーツの食べすぎはもっともいけません。

コロナ禍で、以前は食べなかった甘い物を食べる習慣ができてしまった、という人も多くいらっしゃるようです。砂糖を継続的に取りすぎていると、血糖値が下がりにくくなります。体がだるく、疲れが抜けにくくなるのですが、糖を取ると一時的に元気になるので、また甘い物が欲しくなります。甘い物は体に水を溜め込む性質があるので、水はけが悪くなって、体重が増えるという人もいます。

私たちの脳には、危険な物質が入ってこられないような仕組みがあります。「血液脳関門」というものですが、糖は脳の栄養でもあるので、その関門を容易にすり抜けることができます。脳に直接作用するという意味ではドラッグと似ていて、甘い物を食べると幸せを感じるのです。

また、糖質が多いものを過食していると急激に血糖値が上がったり降下したりしますが、これも糖質の取りすぎを加速させます。甘い物を食べたい気持ちが増していくからです。

このような場合、甘い物、糖質をいくら取っても食欲は満たされず、食べたい欲求は増したままになります。なぜなら、甘い物だけでは必要な栄養が満たされず、その栄養が補われるまで食欲は止まらないからです。

食べすぎを防ぐポイントは、糖質を減らし、必要な栄養をきちんと取るようにする、ということです。

例えば食事では、いきなりご飯から食べるのはよくありません。どんどん食欲が出てしまいます。最初はみそ汁やスープなどの汁ものを飲んで胃を温め、その後、魚や肉などの主菜を食べるようにします。タンパク質や良質の油が入ってくると、食欲が落ち着くのを感じると思います。

そして3番目に野菜を食べ、最後に米などの炭水化物を食べます。この方法だと、食べすぎを防げます。

女性で鉄不足の人は甘い物が欲しくなる傾向があります。その場合、主菜の量を増やして、デザートはパスする習慣をつけます。はじめは口寂しく感じても、徐々に食欲や体調が安定してきます。

早食いも食べすぎにつながります。せめて最初の一口は30回噛んで食べるようにしましょう。そうすると二口目以降も普段より多く噛むようになります。箸置きを使って、一口ごとに箸を置くのも、食べすぎ防止にはよい方法です。

ちなみに、よく噛むと唾液が多く出ます。唾液には有害な菌や物質を退治する酵素が含まれているため、食中毒も少なくなります。また、唾液には精神を安定させる物質も含まれているので、よく噛むことはメンタルにもいいのです。

五味をまんべんなく味わう

味の偏りも食べすぎを招きます。

漢方では五味(酸、苦、甘、辛、鹹=塩)を偏りなく取ることを基本とします。甘味と塩は過剰になる傾向があり、この偏りも食欲の増進につながります。苦味を取ると甘味をより感じやすくなるので、にがうりやピーマン、ふきといった苦味のある食材を心がけて食べるようにすると、味覚がリセットされます。

甘味を取るときは、ナッツや栗、芋など、自然の甘みがあるものを食べるといいでしょう。

最後に秋ばてについてです。

近年定着した感のある秋ばてですが、食べすぎているとなかなか改善しません。元気になろうとして焼肉やラーメンなど、ボリュームのあるものを食べても、弱った胃腸では吸収できず、胃腸が疲れるだけです。

秋になると多く出回るくだものを食べすぎて、体調を崩す方もいらっしゃいます。くだものは秋の乾燥を潤してくれますが、胃を冷やすため、冷蔵庫で冷やして食べるのは避けていただきたいです。

先日も、冷蔵庫で冷やした梨を1人で1個食べて、下痢が止まらなくなったと来院された患者さんがいました。くだものはスイーツより健康的なイメージがあるせいか、食べすぎてしまうことが多いようです。しかも、近年のくだものは糖度が高く、食べすぎはやはり体に害になります。特に冷えやむくみがある人は要注意です。

食べすぎを防いでくれるツボ

こうした食べすぎを抑えてくれるツボもあります。

食べすぎに効くツボ

•中脘(ちゅうかん:へそとみぞおちの真ん中)
•陽陵泉(ようりょうせん:膝の外側にある骨の出っ張りの下、くぼんだ場所)

中脘と陽陵泉のツボの位置 (イラスト:中脘 ナミッコ/PIXTA、陽陵泉 にしやひさ/PIXTA)

中脘と陽陵泉のツボの位置 (イラスト:中脘 ナミッコ/PIXTA、陽陵泉 にしやひさ/PIXTA)

中脘は消化不良による胃もたれ、満腹感、胸やけなどに効果的なツボです。カイロや温かいペットボトル、タオル、手のひらなどで温めるといいでしょう。

陽陵泉も食べすぎによる消化不良、胃酸の出過ぎを抑えます。指の腹で気持ちが良い程度の強さで刺激する(押す)といいでしょう。

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提供元:「暴発する秋の食欲」意外な原因が隠れている事も|東洋経済オンライン

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