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2022.09.06

強火も弱火もNG「肉野菜炒め」ベチャッとさせぬ技|甘辛いしょうゆ味がご飯に合う「ニラ豚」で挑戦


シャキシャキの「ニラ豚」の作り方を伝授します

シャキシャキの「ニラ豚」の作り方を伝授します

在宅勤務などによって、家で料理をする人が増えたのではないでしょうか。料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番の料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作る方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する連載『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。

今回は大分県発祥の「ニラ豚」です。

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「強火で短時間」も「弱火でじっくり」も正解ではない

旅行すると意外な料理に出会えることがあります。今回、紹介する「ニラ豚」もその1つ。ニラ豚は大分県発祥の料理で、豚肉とニラを甘辛いしょうゆ味で炒めた料理。よく知られているニラレバより食べやすく、ご飯に合う味です。今回は炒めものを上手につくるコツを伝授します。

肉野菜炒めには「強火で短時間」と「弱火でじっくり」の2つの流派があります。強火で短時間というのは従来、語り継がれてきた方法。野菜は火を通しすぎると水分が出てきてシナシナになるので、その前に仕上げて加熱しすぎを抑える方法です。

一方、「弱火でじっくり派」は最近の理論で、弱火で炒めることで加熱しすぎを抑え、結果的にシャキシャキに仕上げる方法です。どちらの方式がいいのでしょうか。

強火か、弱火か。じつはどちらも正解ではないのです。強火で炒めると表面が焦げているのに中が生っぽい、という現象が起きます。野菜は加熱して80℃を超えるとペクチンが溶け、水分が出てきますが、火が強すぎると火が通らないうちに表面のペクチンが溶け始め、水分が出てしまいます。これが生っぽいのにベシャベシャという状態です。

逆に弱火で炒めると火は通りますが、外も中も同じようにペクチンが溶ける温度に達するので、歯ごたえは弱くなります。出てきた水分で加熱される状態になるので、どちらかというと蒸し野菜に近い食感ですし、香ばしさが出ず、時間がかかるというデメリットもあります。

中国料理のコックさんが炒めものをつくる様子を観察すると、強火で一気呵成に炒めているように見えます。しかし、油通しといって低温の油で事前に材料に火を通し、そこから強火で表面の水分を飛ばしているのです。ここに最高の炒めものをつくるためのヒントがあります。弱火や強火といった概念ではなく、適切に熱を通すことが重要なのです。

炒めものはフライパンの大きさも重要で、例えば18cmのフライパンに山盛りの野菜を入れても、重なった上部は鍋底に接しないので、うまく加熱できません。中国料理のコックさんは熱した鍋をあおり、全体を加熱していきますが、家庭のコンロで鍋をあおると温度が下がってしまいますし、油が跳ねて台所も汚れます。

これらの問題を解決するために、今回は焼く→蒸す、の2段階の加熱方法をとりました。24cmのフライパンでも一応つくれますが、できれば26cmのフライパンを準備してください。

最初のポイントは「野菜の水気はしっかり切る」

キャベツは外側と内側で味が異なるので、クシ型に切るとバランスがとれます

キャベツは外側と内側で味が異なるので、クシ型に切るとバランスがとれます

ニラ豚の材料(2人分)

豚バラ肉     150g
塩        小さじ1/4
ニラ       100g (1束)
キャベツ     100g
酒        大さじ1
にんにく     1/2片(すりおろし)
しょうゆ     大さじ1
砂糖       小さじ1
一味唐辛子    少々(お好みで)

この料理が生まれた大分県はニラの産地。新鮮なニラは繊維がやわらかく、にんにくと同じ硫化アリルという成分が入っているので、肉の味を引き立てます。

豚バラ肉にまず塩を重量の1%、小さじ1/4(1.5g)振りましょう。

ふつうの薄切り肉を使っていますが、やわらかくしたければしゃぶしゃぶ用がオススメです

ふつうの薄切り肉を使っていますが、やわらかくしたければしゃぶしゃぶ用がオススメです

ニラは5cmに切ってから、洗います。

ニラは根本に土がついているので、切ってから洗ったほうが効率的です

ニラは根本に土がついているので、切ってから洗ったほうが効率的です

炒め物の最初のポイントは「野菜の水気をしっかりと切る」ことです。お店ではザルに上げた状態で冷蔵庫に保管し、水気を完全に切りますが、10分ほど置くだけでも大丈夫です。水気が残っていると炒めるときにフライパンの温度が下がり、水っぽくなります。

急いでいる場合はタオルなどで包み、それを振って水気をとる手もあります

急いでいる場合はタオルなどで包み、それを振って水気をとる手もあります

キャベツも2.5〜3cm角に切り、同様に水気を切っておきます。

キャベツは小さめに切るとニラ豚らしくなります

キャベツは小さめに切るとニラ豚らしくなります

合わせ調味料を作ります。しょうゆに砂糖を溶かしておきましょう。そうすれば炒めるとき、あわてずにすみます。

砂糖としょうゆだけのシンプルな味付け

砂糖としょうゆだけのシンプルな味付け

酒大さじ1ににんにくのすりおろしを入れておきます。ここまでで準備は完了。

酒ではなく、ガラスープを使うとより町中華風の味付けになります

酒ではなく、ガラスープを使うとより町中華風の味付けになります

フッ素樹脂加工のフライパンであれば冷たい状態のフライパンに豚バラ肉を並べ、強火にかけます。鉄のフライパンの場合は十分に予熱してから油少々をなじませ、30秒ほど冷ましてから豚バラ肉を焼きはじめます。

肉はなるべく重ならないように

肉はなるべく重ならないように

加熱しすぎを防ぐために肉は片面焼きのイメージです。火加減は強火のままで大丈夫ですが、家庭用のコンロの場合はSiセンサーという温度上昇を防ぐための安全装置がついているので、勝手に弱くなります。

心配になりますが、これはフライパンの鍋底が250℃以上になった証拠なので、気にせず調理を進めて大丈夫です。むしろ、温度の上がりすぎが防げます。

焦げ目がついたらざっくりと混ぜます

焦げ目がついたらざっくりと混ぜます

火加減を中火に落とし、キャベツを加えて、豚バラ肉を上にのせます。

肉に赤い部分が残っていても大丈夫です

肉に赤い部分が残っていても大丈夫です

空いたところにニラを入れます。野菜を均等に加熱するための秘策が次に登場する酒です。

この方式だとニラに豚肉から出た脂がからみます

この方式だとニラに豚肉から出た脂がからみます

にんにくのすりおろしが入った酒を回し入れ、ふたをして蒸し焼きにします。

酒を回し入れた後にふたをします

酒を回し入れた後にふたをします

加熱時間は30秒。

この工程で肉にも穏やかに火が入ります

この工程で肉にも穏やかに火が入ります

ふたを開けて火を強め、ざっくりとかき混ぜます。ここで火を止めてしまいましょう。

野菜に味付けしていないので、水っぽくはなりません

野菜に味付けしていないので、水っぽくはなりません

しょうゆを全体に回しかけます。調味料には火を入れないイメージですが、香りは予熱できちんと出ます。

塩分が入ると野菜から水気が出てくるので、ここからは手早く

塩分が入ると野菜から水気が出てくるので、ここからは手早く

ニラ豚はニラレバと違って下処理の必要がなく、手早く作れる料理です。相性が抜群なのは炊きたてのご飯。料理に慣れてくるとオイスターソースやら豆板醤やらいろいろな調味料を使いたくなりますが、しょうゆと砂糖だけのシンプルな味付けもいいもの。この料理を覚えるとカット野菜と豚バラ肉を使ったシンプルな肉野菜炒めも上手に作れます。

出来上がり。好みで一味唐辛子を振ります

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ご飯によく合います

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(写真はすべて筆者撮影)

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提供元:強火も弱火もNG「肉野菜炒め」ベチャッとさせぬ技|東洋経済オンライン

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