2022.08.19
パック刺身も大変身!志麻さん直伝おつまみ3選|シンプルな素材、調理法ながらおしゃれな一皿に
フレンチ料理人にして伝説の家政婦、志麻さんの簡単おつまみレシピを紹介します。写真は色のコントラストでサバ缶もおしゃれになる「ウフサバマヨ」(写真:マガジンハウス)
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猛暑が続くなか、日が落ちて少し涼しくなった頃合いを見計らって、早めの時間帯から呑むビールは最高だ。加えて、気の利いたおつまみをひとつふたつ手作りすれば、家呑みがもっと楽しくなる。
そこで伝説の家政婦と評判のタサン志麻さんに、ササっと作れる絶品おつまみ3選のレシピを聞いた。誰でも作れる簡単でおしゃれなおつまみは、この夏、料理デビューしたい男性陣にもおすすめ。家にストックしてある、ありふれた素材で作れるのもうれしい。
とくに今回は夏ということもあり、ほとんど火を使わずに調理できるレシピをピックアップした。
仏料理のエッセンスとプロ家政婦のノウハウが融合
志麻さんは3つ星レストランをはじめ、有名フランス料理店などで15年働いた経験があるシェフ。その後フリーランスの家政婦として独立すると、各家庭に応じた料理が評判を呼び、「予約の取れない伝説の家政婦」としてメディアから注目される。NHK「仕事の流儀」などで紹介された仕事ぶりを、目にした人も多いだろう。
タサン志麻さん(筆者撮影)
シェフと家政婦という、異なる経歴によって培われたノウハウが詰め込まれたレシピは大人気で、レシピ本の累計発行部数は2022年4月時点で202万部。料理教室やイベントの講師としても引っ張りだこだ。
そのレシピの特長は家庭の冷蔵庫や、近所のスーパーにある食材でササッと作れるものでありながら、食材や調味料の組み合わせ方で、ワンランク上のおしゃれな味わいになること。その臨機応変さに家政婦としての経験が、味のセンスにフランス料理シェフとしての経験が、生きている。
今回は新著『志麻さんの サクッと作れる 極上おつまみ』のなかから実演してもらったレシピ3つを紹介する。
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ゆで卵とサバ缶がおしゃれなおつまみに変身「ウフサバマヨ」
「ウフサバマヨ」(写真:マガジンハウス)
最初に紹介するのは、どの家庭にもある卵とサバ缶を使ったレシピ。フランスではマヨネーズとゆで卵の組み合わせはウフマヨといって、定番のおつまみ。日本の定番おつまみのサバ缶との出会いでコクが増して、ごちそう感がアップした。おしゃれなマヨネーズ使いにも注目。
わずか3ステップで鮮やかな一品が完成
*分量はすべて 小皿一皿 1、2人分
材料
卵 1個
サバ缶(水煮) 大さじ2
レモン汁 数滴
マヨネーズ 適量
パセリ 少々(みじん切り)
作り方
1 鍋に湯を沸かし、沸騰したら卵を入れて7分ゆでる。
2 殻をむき、ゆで卵を縦に切って半分にし、サバの水煮をのせ、レモン汁を数滴垂らす。
3 2にマヨネーズを絞り、パセリを散らす。
*マヨネーズは、オーブンシートをくるっと巻いて作ったコルネ(絞り袋)を使って絞ると見た目がおしゃれになる。
サバ缶はおいしいが、見た目が地味。白と黄色が目に鮮やかな卵にトッピングすることによって華やかな一品に。マヨネーズをオーブンシートを巻いた絞り袋で細く絞ると、来客にも出せる。
オーブンシートはスーパーや100円均一などで買えるが、なければマヨネーズのチューブから添えてもいい。パセリやレモンはフレッシュなものがなければ乾燥パセリやリキッドレモンでも代用可能だ。この柔軟さが、家庭で料理するときにはうれしい。
普段のパック刺身をよそゆきに「白身魚のカルパッチョ梅ソース」
大葉は葉先のギザギザ下部分を散らすと見栄えがいい(写真:マガジンハウス)
晩酌の定番、パックの白身魚の刺身を、ほんの数分で洋風カルパッチョに味変。添え物のツマや大葉も有効活用する、家政婦ならではの技が光る。
”梅干し×オリーブオイル”は極上ソース
材料
梅干し(柔らかめ) 2~3個
オリーブオイル 大さじ3
白身魚の刺身 8~10切れ
大根のツマ 適量
大葉 適量
作り方
1 ボールに種をとってたたいた梅干しを入れ、オリーブオイルを加えてよく混ぜる。
2 皿に大根のツマをしき、白身魚の刺身を並べて1をまわしかける。好みで大葉を散らす。
*梅干しとオリーブオイルは合わせるだけで極上のソースに。
オリーブオイルが梅干しの酸味を中和してまろやかに。このソースが淡白な白身魚と非常によく合う。刺身のツマは、赤身の刺身だと色が移ってしまい使いにくいが、白身の場合は有効活用できる。普段は捨ててしまう大葉も、散らすことで味のアクセントに。
練り込んで冷やすだけの甘いおつまみ「クリームチーズのテリーヌ」
「クリームチーズテリーヌ」(写真:マガジンハウス)
お酒を飲んでいると、時々甘いつまみが欲しくなるときもある。そんなときは、練り込んで冷やすだけのテリーヌを作ってみよう。おしゃれなバーで出てきそうなこのおつまみは、アルコール度数が高い洋酒にも合いそうだ。
材料
クリームチーズ 60g
ナッツ、ドライフルーツ(合わせて) 40~50g
作り方
1 ボウルにクリームチーズを入れてスプーンで混ぜる。
2 ナッツやドライフルーツを加えて、さっくりと混ぜ合わせる。
3 2を棒状に丸めてラップで巻き、冷蔵庫で15分以上冷やす。
ラップの端を引っ張りながら棒状に包む (写真:マガジンハウス)
クリームチーズの水分で、ドライフルーツやナッツはふっくらしっとりと。 クリームチーズは水分が抜けて、より濃厚に。それぞれ別で食べるのとはまったく違う、味のハーモニーが楽しめる。
おつまみ作りの秘訣は?
志麻さんによれば、おつまみのポイントは食材と味の組み合わせ。塩味をしっかりめにして、酸味やスパイスを加えるなどして、味にちょっととがったアクセントをつけること。そのために活用できるのが、梅干しや缶詰、チーズなど、それ自体の味わいが深い保存食なのだそう。
今回紹介したレシピも、各家庭の冷蔵庫や戸棚にある素材ばかり。単体でもおつまみになるものだが、ひと手間かけるだけで極上になる。
レシピの出典である『志麻さんの サクッと作れる 極上おつまみ』にはここで紹介したレシピも含めて105皿ものおつまみのレシピが掲載されている。
多彩なレシピ本が出版されている志麻さんが、今回おつまみをテーマにしたレシピ集を出したのは男性にも料理を作ってほしいという願いがあったという。
「近頃、街中で、男性のファンに声をかけていただくことが増えました。そこで初心者や男性にも作ってもらえるような、手間がかからず料理の楽しさを感じられる『おつまみ』レシピ集を作ろうと思ったのです。男性に作ってもらうには手軽でシンプルであることがとても大事。おつまみのレシピならそれが実現できます」(志麻さん)
おつまみはちょこちょこ作ってつまむもので、作る分量が少ない。その点からも料理初心者がチャレンジするのに持ってこいだ。それで美味しい一皿ができれば、料理する意欲も湧いてくるだろう。
ゆったりとした前菜文化を取り入れよう
志麻さんはフランス人と結婚し、3児を育てる家庭人でもある。日常的にフランス人と接するなかで、日々の食卓から日本との食文化の違いを感じることもあるという。
「日本の食卓は品数がとても多いのです。対してフランスは多くて前菜、メイン、デザートの3皿。そして食事にかける時間も違います。日本では時間をかけて凝った料理を何品も作りますが、比較的早く食べ終わる。対してフランス料理は、とくに家庭料理だとシンプルにサッと作ります。それをじっくりと時間をかけて食べるのです」(志麻さん)
『志麻さんの サクッと作れる 極上おつまみ』(マガジンハウス) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
確かに日本の食事は一汁三菜が基本ともいわれるように、品数が多い。「食事中におしゃべりしてはいけません」と教えられた世代は、食べ終わるのも早めだ。
対してフランス人はとにかく食事中によくしゃべる。フランスでビストロなどを訪れたとき、人々があまりにも長い時間食事をしていて、しかもずっとしゃべり続けていることに、驚いた人もいるのではないだろうか。
その時間をかけるバランスは、志麻さんによれば、日本人の調理と食事の割合が2:1だとすれば、フランス人は1:3ぐらいで、断然食べる時間のほうが長いそう。
「フランスでは30分で料理して1時間半かけて食べるということも、よくあります。何を食べるかということよりも、誰と何をしゃべるかということを大切にしているから、品数がたくさん欲しいという感じではないのです」(志麻さん)
日本のバラエティーに富んだ副菜が並ぶ食卓もいいが、時にはシンプルなおつまみをアテにゆっくりと呑み、語りあう夕べがあってもいいのではないだろうか。
志麻さんのレシピならシンプルな素材・調理法ながら、ひとひねりあるおしゃれな一皿が作れる。「今夜はゆっくりお酒を楽しみたいな」という日に、ぜひ作ってみてほしい。
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提供元:パック刺身も大変身!志麻さん直伝おつまみ3選|東洋経済オンライン