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2022.08.16

【あがり症・対策編】緊張和らげる即効ストレッチ|プレゼンやスピーチの直前に試しても効果あり


宴会のスピーチやプレゼンでもあがらない、トレーニングや改善方法を紹介します(写真:Eri/PIXTA)

宴会のスピーチやプレゼンでもあがらない、トレーニングや改善方法を紹介します(写真:Eri/PIXTA)

自分の失敗を許容できない人や、真面目な人に多いという“あがり症”。特に会社など長い関係が続く人の前だと、「ミスをするとその後の評価につながるかもしれない」「弱点を見られたくない」と思って緊張し、自分の意見を言ったり、自己発信をするのにも躊躇してしまう傾向がある。

不安感から、大勢の人の前で話すのを避けたくなるが、精神科医は「緊張する場面を避けるのは、一時しのぎにすぎない」と話す。どうやったらあがらずに人前で話せるようになれるのか、あがり症克服協会代表理事の鳥谷朝代さんに対策を聞いた。

関連記事:【あがり症・原因編】人前で話すと声が震える訳 ※外部サイトに遷移します

「人前で緊張したときは、目の前にいる人を『カボチャ』と思え」「手に人の字を3回書いて飲み込むと、緊張しなくなる」――。

これらは日本に昔からある、あがり症を克服するための“おまじない”だ。やってみたことがある人も多いのではないだろうか。

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この連載の一覧はこちら ※外部サイトに遷移します

だが、実際に試したところで、いざ人前に立つと声の震えが止まらない人もいる。

あがり症の人のための克服講座を全国で開催する、あがり症克服協会代表理事の鳥谷朝代さんは「(おまじないをすることで)その瞬間は意識を遠ざけられますが、科学的根拠があるわけではありません。どんなに自己暗示をかけても、ちょっとしたことでさめやすく、暗示がとけるとよりどころをなくして、さらにパニックになってしまいます」と話す。

呼吸筋を鍛えるトレーニングが大事

声の震えは呼吸筋が関係している。肺そのものは膨らんだり、縮んだりすることはできない。肺を取り囲むさまざまな筋肉の働きによって、空気が肺を出入りしている。この肺を取り囲む筋肉の総称を呼吸筋という。

人間が生きるうえで必要なさまざまな活動をつかさどっているのが、自律神経系だ。体が活動しているときに活発になる「交感神経」と、リラックスしているときに活発になる「副交感神経」がある。

緊張する場面では交感神経が優位になる。すると首や肩回りの筋肉が緊張して、呼吸筋がこわばりやすくなり、声を出すときに上ずってしまう傾向にある。

そのため、まずは緊張する場面でも呼吸筋を柔らかく維持できるようにしておく必要がある。また緊張すると呼吸が浅くなるため、深い呼吸をする訓練も重要となる。

鳥谷さんによると、次のようなトレーニングがおすすめだという。

(1) 肩を5回ほど前回し、後ろ回しする
(2) 肩を5回ほど上げ下げする
(3) 首や足首、手首を5回ほど回す(反対回しも行う)

これらを人前で話すなど、緊張する場面になる前に実践してみることで、呼吸筋が柔らかくなり、息苦しさが改善できる。人目が気になるときは、トイレなど1人になれるところでやってみよう。

このトレーニングは、緊張する場面から一時的に意識をそらす効果もある。理想はすべてやることだが、どれか1つ実践するだけでも効果があるそうだ。

また交感神経が優位になると、手や足などに血液を届ける末梢血管が収縮するため、血行が悪くなり手足が冷たくなる。その場合も、先に紹介したトレーニングを行っていくことで、交感神経が鎮まって末梢血管が広がり、血流が促進される。その結果、体もじんわりしてくる。

ストレッチで息苦しさを改善

姿勢にも気をつけたい。「あがり症のひとはもれなく猫背」と鳥谷さんは話す。横から見たときに背筋がまっすぐになるような姿勢を意識することが大切だという。

「特にオンライン会議のときは、気を付けたほうがいいでしょう。なぜなら、パソコンの画面が目線の下にあることが多いため、背中を丸めた姿勢になりやすいのです」

この場合、パソコンの下に本など厚みのあるものを挟んで、画面が目線の高さにいくようにするとよい。ノートパソコンなら角度調節機能があるスタンドを、デスクトップパソコンなら、ある程度高さのあるディスプレイ台をモニターの下に置いて、画面と目線の高さを合わせる。

また猫背だと肺が圧迫されるため、息苦しくなり、声が上ずりがちだ。姿勢を正すことで呼吸が通るため、声に張りが出てくるという。

会議前に実践できるトレーニング方法以外にも、自宅で実践可能なものもある。

もっとも簡単なのは、入浴中や寝る前などに、「あ、い、う、え、お」と発声練習をするという方法だ。このとき、腹式呼吸をするために、お腹からしっかり声を出すことが大切。

昨今はコロナ禍でマスク生活が長く、大勢の人の前で話す機会も減っている。日頃から自宅でこのような発声練習をすることで、呼吸の浅さを改善しておくと、本番でも声が震えにくくなるという。

「できれば5分程度、普段から続けることをおすすめしますが、毎日実践するのが難しいのであれば、本番前日だけでもやってみてほしい。改善につながります」(鳥谷さん)

トレーニング以外では、自分が話している様子を動画で撮影してみる方法もある。なぜ動画を撮ることがいいのか。

前述したが、あがり症の人は自己肯定感が低い人が多く、「どうせやってもうまくいかない」とネガティブ思考に陥りやすい。そのような場合、自分が話している様子を撮影した映像をみると、「思っていたよりもひどくない」と、自分を客観的に見ることができる場合もあるという。

SNSで発信するのも有効

実際に鳥谷さんの克服講座ではスピーチしている様子を何度か撮影し、その動画を受講生に見てもらっているそうだ。

このほか、緊張しすぎて、会議で当てられたときに咄嗟に話せない人には、普段からアウトプットの機会を増やすこともおすすめのようだ。趣味や家族のエピソードなどを人に話したり、SNSで発信したりすることで、自己発信をするのに慣れてくるので、急に話を振られたときにも動じにくくなる。

これらのトレーニングや改善方法を続けていくことが、あがり症を克服する一歩に。ぜひやってみてほしい。

(執筆:編集部・若泉もえな)

(この記事の前編【人あがり症・原因編】人前で話すと声が震える訳) ※外部サイトに遷移します

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一般社団法人あがり症克服協会代表理事・株式会社スピーチ塾代表取締役 鳥谷朝代

心理カウンセラー、NHKカルチャー、中日文化センター話し方講師。中学の本読みで発症以来17年間苦しめられたあがり症を克服。14年勤めた名古屋市役所を退職し、2014年、全国初の元あがり症によるあがり症のための協会「一般社団法人あがり症克服協会」を非営利団体として発足、理事長に就任。全国各地のカルチャースクール、学校、企業・団体で年間200回以上の講演活動を行う。「あさイチ」「ごごナマ」「ZIP!」など、テレビ出演も多数。著書に『人前で「あがらない人」と「あがる人」の習慣』『人前であがらずに話せる方法』など。

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提供元:【あがり症・対策編】緊張和らげる即効ストレッチ|東洋経済オンライン

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