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2022.08.10

とにかく「家事」がめんどうで進まないときの対処|掃除がめんどうなら「10分間しか掃除しない」


やらなければならないけど、「めんどくさい」というときの対処法をご紹介します(写真:PanKR/PIXTA)

やらなければならないけど、「めんどくさい」というときの対処法をご紹介します(写真:PanKR/PIXTA)

だれしも、仕事、家事、運動など、日常生活で「めんどくさい」と感じる場面があるのではないでしょうか。なかなかやる気が出ずに、仕事が進まない、家が片付かない、運動が続かない……など、「めんどくさい」によってだらだらしてしまう人は多いでしょう。しかし、作業療法士の菅原洋平氏は「めんどくさい」は消せると言います。

『「めんどくさい」が消える脳の使い方』では、医療現場で実証された、科学的に「めんどくさい」を消すコツを紹介しています。本稿では同書より一部を抜粋し、家の中での「めんどくさい」の対処法をご紹介します。

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掃除がめんどくさい!

とにかく掃除がめんどくさいなら「10 分間しか掃除しない」

10分間の掃除時間をつくってみましょう。ルールは1つだけ。どれだけ掃除がはかどっても、10分以上やらないことです。

風呂場の浴槽をできるだけきれいにしようとしたら10分経過していた場合と、10分間は浴槽を掃除すると決めた場合、前者は掃除量やスピードという尺度で作業を評価し、素早くたくさんできた場合は大きな達成感を得られます。

後者は、達成感というより安堵感に近いもの。掃除の進捗はどうあれ、10分間は拘束されます。その拘束から解かれると「今日も10分できた」と安心できます。

作業の量やスピードを重視するのは、交感神経系を前面に出した設定です。高いエネルギーが発揮されますが、消耗が激しく長続きしません。エネルギーがなくなると、「めんどくさい」が発生します。

時間が拘束される、言い方を変えると終了する未来が保障されるのは、腹側迷走神経系を前面に出した設定です。安全が保障されているので、エネルギーは最適化されます。「めんどくさい」は発生しません。

自分の作業の評価軸に、量や出来栄えという「可能性」を含めると、エネルギーのアップダウンが激しくなります。短期的には、達成できることもありますが、その達成できた記憶が、「前はできたから今日もできるはず」というあいまいな予測を生み出します。

この設定で、ドーパミンが増えて「期待感」がつくられます。達成できなかった場合、期待された報酬が得られなかったという条件になり、ドーパミンは何もしていなかったときよりむしろ低下します。「やったのにきれいにならなかったから、余計めんどくさくなった」という現象は、ドーパミンの性質によるものです。

●キーワード ドーパミン

物が床に散乱、片づけるのがめんどう!

おもちゃ、靴下、新聞…… 床に物が散乱しているときは「カテゴリごとに照準を絞って片づける」

床に散乱した物を片づけるときは、「注意の3段構え」で迎え討ちましょう。

変化を検出するボトムアップ注意が働きすぎると、靴下を集めているつもりが、出しっぱなしのおもちゃや新聞、掃除していないほこりなど、別の落ちている物に目が行きます。

注意が行ったり来たりすると消耗するので、トップダウン注意で「靴下」に照準を合わせましょう。靴下を入れ終わったら、「おもちゃ」に照準を合わせる。このように、作業に無関係な物に注意を奪われないように制御してみましょう。

変化を検出するボトムアップ注意を主体に使っていると、靴下をとらえたときにぐっと心拍数が高まるので「イラッ」とすることがあります。そこで、トップダウン注意で洗濯物を効率よく集めるという目的を設定しましょう。

効率よく作業をすることが設定されると、自然に家族の行動を観察することができます。するとその動線から、靴下がありそうな場所が特定できます。これで変化を検出するたびに心拍数が高まるのを避けることができます。

家族の行動が観察できると、家族の動線を誘導することもできます。玄関からリビングに来たときに靴下を脱いだら、「このタイミングでここまで靴下を持ってきてくれると助かる!」など、相手の動線をつなげてしまえば、相手の脳に発生する「めんどくさい」を消してしまうことができます。

家族の行動で部屋が散らかる場合、片づけることは家族の動線をコントロールすることであると位置づけられます。心地よい動線がつくられていけば、住んでいるだけでめんどくさくない家をつくることができます。

●キーワード 3つの注意

アイロンがけをしようと思ってやらずに数週間……「メンタルを安定させる作業としてアイロンがけをする」

アイロンがけはこれまでに紹介した「少しだけ手をつける」「道具を出しておく」などの方法でも取り組みやすくなりますが、ここではアイロンがけ「ならでは」のメリットを紹介します。

脳には、動きの速度に重点が置かれた情報が届けられます。アイロンがけのように、筋肉の収縮を一定に保つ等尺性収縮をしているとき、脳に送られるのは、「現在の体の状態」。体の状態がわかれば、脳は無駄な力が入っている箇所を緩める命令を出せるので、交感神経活動が鎮まり、リラックスすることができます。

運動でニューロンを抑制!

関節運動は、オープンとクローズに分けられます。掃除機をかけるように、力を入れた先(作用点)が動くのがオープンな運動で、アイロンがけのように作用点があまり動かないのがクローズな運動です。クローズな運動は、等尺性収縮が使われるので、力を入れた後、その筋肉に向かう運動ニューロンは抑制されやすくなります。

軽い力でスイスイ動く家事動作では、神経を抑制させにくいので、現代の家事ではアイロンがけは全身の緊張を緩める貴重な作業です。

また、目と手の協調が出来具合を左右するという点でも、アイロンがけは利用しやすいです。ワーキングメモリを担う上頭頂小葉という領域は、目的とする作業を遂行するのに最適な動作ができているかをチェックしています。

アイロンがけは、作業フォームが安定すると服のしわが伸びるので、最適な動作を意識しやすく、作業中に上頭頂小葉の働きで無駄な情報がマスキングされます。多すぎる情報から脳を遮断して守ることにも利用できるのです。

●キーワード ワーキングメモリ

小さな子どもにお手伝いをさせるときは「”頑張ればできそう“の設定で自分の脳を成長させる」

自分でやったほうが早いのに、子どもがお手伝いをしたがる……という状況を使って、自分の脳がワクワクする課題設定のコツをつかみましょう。

脳が学習して成長できる設定は、古くから発達の最近接領域と呼ばれます。50%はやればできそうだけど、残り50%はやってみなければわからない、この「ちょっと頑張ればできそう」な設定の課題に、脳はワクワクしてやる気になります。

設定のポイントは、当たり前にできるレベルの中で最難度です。

「ちょっと頑張ればできそう」な設定で自分の脳に課題を与えるには、自分を客観的にとらえるメタ認知能力が必要になりますが、子どもへの課題設定を練習材料にすれば、課題設定の権限は自分が持っていますし、設定を変えたことの効果を観察しやすいです。

子どもが開けたての牛乳パックから牛乳をグラスに注ぎたがるとします。子どもにとっては、パックを持ち上げつつ、コップめがけてパックを傾けるという2つの要素を達成するのが難しい。

このとき、コップを台の上のおいて高くすると、パックを少し傾けるだけで注ぐことができます。このように、「1つ要素を減らせばできる設定」をつくればよいわけです。子育ての中では、このような課題設定の調整を自然に行っていると思います。

それを意図的に行い、要素を減らす術を自分がめんどくさいと思ったときに使いましょう。

発達の最近接領域は、心理学者レフ・ヴィゴツキーによって提唱されました。脳はつねに予測をしていて、予測によりすべてが見通せると落ち着いて作業できる一方、目新しさ、つまり意味不明なエラー信号がないと、注意が引きつけられません。「頑張ればできそう」な設定は、注意を引きつけてやる気を引き出すためにエラー信号を使った方法です。

●キーワード 発達の最近接領域

交換のためのストックは情報量が多い

日用品のストックや補充は「テーマごとに、順に最適解を出していく」

交換のためのストックは、物の大きさや使用期限、取り出すタイミング、別の商品への更新など、管理しなければならない情報量が多いもの。

管理が必要な情報が多すぎると、ワーキングメモリの容量を使ってしまうので、あまり気にとめられない作業の割にエネルギーの消耗が激しくなります。

ストック管理はテーマごとに最適解を出すように考え、「うまくストックする方法が見つかれば、買い物に出る時間を減らせる。それで浮いた自分の時間を何に使おう」と、先の目的に意識を向けましょう。

記事画像

『「めんどくさい」が消える脳の使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

登山のための持ち物準備や防災グッズをそろえる作業に例えてみましょう。登山やキャンプでは、限られたスペースの中で物を管理する最適な方法が導き出せると、それだけで大きな達成感が得られると思います。準備がうまくできた分だけ、快適に過ごせる時間を確保できるからです。

ご褒美によってやる気が出る仕組みである報酬系は、2つあります。気づかれにくい家事をしていることを「気づいてもらえること」が報酬として設定されている場合は、線条体が使われます。線条体は、その作業に失敗したときに働きが低下するので、気づいてもらえなかったときやストックが切れてしまったときに、一気に「めんどくさい」が発生します。

もう1つの報酬系の前頭前野外側部は、1つ先の目標が報酬に設定されると起動します。「買い物に行く時間が減らせたら何しよう」と意識することに当たります。この領域は、さまざまな領域とネットワークを形成していて、もし作業に失敗しても活動が低下しません。目的は自分の時間を得ることであり、自分の時間を得るほかの行動もすべて報酬になる設定だからです。

●キーワード 2つの報酬系

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提供元:とにかく「家事」がめんどうで進まないときの対処|東洋経済オンライン

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