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2022.08.03

「飲酒運転の罪と罰」どれだけ重いか知ってますか|運転者本人だけでなく周囲が責任問われることも


関係者も努力をしていますが残念ながら根絶されていない現実があります(写真:megafℓopp/PIXTA)

関係者も努力をしていますが残念ながら根絶されていない現実があります(写真:megafℓopp/PIXTA)

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非常に残念ながらいまだ根絶されていない飲酒運転をとことん考える短期集中連載。第1回「『飲酒運転で事故る人』が根絶されない残念な現実」に続く第2回をお届けする。

「『飲酒運転で事故る人』が根絶されない残念な現実」 ※外部サイトに遷移します

“不可抗力”という言葉がある。天変地異や、人の力では予測できず防げない事象を意味する。

一般的な交通事故では、法令を遵守し万全を期したつもりでも、ドライバーの体調急変など予測不可能な事態に陥り(≒不可抗力により)事故につながるケースがあり、これが年間300件ほど発生している。

ドライバー異常時対応システムであるEDSSの最新版を搭載したマツダのプロトタイプ

ドライバー異常時対応システムであるEDSSの最新版を搭載したマツダのプロトタイプ

国土交通省では2016年にこうした体調急変に対応する「ドライバー異常時対応システム(EDSS /Emergency Driving Stop System)」のガイドラインを制定。現在、システムがドライバー異常を検知して車両停止までを制御するEDSSが具現化され、複数の乗用車、大型商用車に実装済みだ(東洋経済オンライン「マツダが実現した『緊急時に命守る』スゴ技の正体」)。

「マツダが実現した『緊急時に命守る』スゴ技の正体」 ※外部サイトに遷移します

飲酒運転は根絶できるはずなのに

一方、飲酒運転は人の自制心によって100%防げる。「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」は鉄の掟だ。よって飲酒運転による事故はゼロにする、すなわち根絶することが可能なはずなのだ。

にもかかわらず飲酒運転の摘発や事故は後を絶たない。警察庁によると飲酒した場合の死亡事故率は、飲酒事故以外の死亡事故率よりも約9.2倍高いという(2021年)。

飲酒死亡と重傷事故の人的要因別比較(出所:警察庁)

飲酒死亡と重傷事故の人的要因別比較(出所:警察庁)

こうした飲酒死亡事故ではさまざまな統計データが示されており、たとえば年齢別に免許保有者10万人当たりの発生件数でみると30歳未満(16~29歳)が最多で、30~85歳以上よりも2~4.6倍高い。

飲酒死亡事故件数の飲酒状況別比較(出所:警察庁)

飲酒死亡事故件数の飲酒状況別比較(出所:警察庁)

発生時間で区切ると30歳未満では22時から6時までの間に78%が発生し、65歳以上では14時から22時までに66%が発生と時間が早まる。さらに、運転者の飲酒状況は酒酔い&酒気帯び(呼気0.25mg/ℓ以上)が62%を占めるという驚きのデータも示された。

加えて事故類別で見ると車両単独での発生率が高く、酒酔いでは59%が、酒気帯びでは64.6%にのぼる。また、死亡者はドライバーが68%、同乗者が7%であるのに対して、第三者は25%と同乗者よりも高い値であることがわかった。これらの統計からも、飲酒運転が社会的損失度を高めていることは明らかだ。

飲酒運転では厳しい行政処分と罰則(懲役または罰金)がある。

「酒酔い運転」(アルコールの影響により車両等の正常な運転ができない状態)の場合は、基礎点数35点で免許取り消し欠格期間3年の行政処分。そして5年以下の懲役または100万円以下の罰金。

「酒気帯び運転」の場合は、呼気中アルコール濃度で行政処分と罰則が異なり、0.15mg/ℓ以上 0.25mg/ℓ未満では基礎点数13点で免許停止期間90日。0.25mg/ℓ以上では基礎点数25点で免許取り消し欠格期間2年。そして3年以下の懲役又は50万円以下の罰金。

酒酔い運転、酒気帯び運転ともに、欠格期間とは運転免許が取り消された場合、運転免許を受けることができない期間のこと。また、欠格期間と免許停止機関は前歴と累積点数がない場合で、あれば長期化する可能性がある。

車を貸したり、酒を提供したりしても罪に問われる

2007年9月に施行された改正道路交通法では「飲酒運転及び助長行為の厳罰化」として、(1)車両等提供罪、 (2)酒類提供罪、(3)同乗罪が織り込まれた。以下、警察庁の原議「丁交指発第137号、丁交企発第190号」をもとに概要を説明する。

(1)車両等提供罪とは、飲酒運転をするかもしれない人に車を貸して、その人が飲酒運転した際に“貸した人が問われる罪”。借りた人が酒酔い運転をした場合は、貸した人が5年以下の懲役または100万円以下の罰金。同じく酒気帯び運転をした場合は、同じく3年以下の懲役または50万円以下の罰金となる。

この車を貸す(提供する)際、自分名義の車でなくとも貸す人が自由に使える車であればその対象になる。例えば車両が自分の父親名義であっても、貸した息子(本人)がその罪に問われる。

(2)酒類提供罪とは、飲酒運転をするかもしれない人にお酒を提供して、その人が飲酒運転した際に“お酒を提供した人が問われる罪”。提供された人が酒酔い運転をした場合は、提供した人が3年以下の懲役または50万円以下の罰金。同じく酒気帯び運転をした場合は、同じく2年以下の懲役または30万円以下の罰金となる。

難しいのは提供の定義だ。お酒をコップに注ぐだけでは当たらないが、「お酒をどうぞ飲んでください」と勧める(幇助行為を行う)と飲酒運転の手助けにより立件対象となる。

(3)同乗罪とは、飲酒運転であることを知りながら、そのドライバーの車に同乗を依頼して実際に乗った際に“同乗した人が問われる罪”。飲酒運転したドライバーが酒酔い状態のとき、同乗した人が3年以下の懲役または50万円以下の罰金。同じく酒気帯び運転のとき、同じく2年以下の懲役または30万円以下の罰金となる。

(1)車両等提供罪と(2)酒類提供罪の成立には飲酒運転の事実が必要で、たとえば提供された人が酔いさましとして時間をおいて、再度、飲酒した場合には酒類提供罪は成立しない。

アルコールの分解にかかる時間は?

では、飲酒したアルコールはどれくらい時間が経過すれば体内で分解されるのか?

(公社)アルコール健康医学協会によると、体重60kgの人が30分かけてアルコール1単位(例/ビール中瓶1本)を飲んだ場合、アルコールが肝臓で分解されるまでに3~4時間かかるという。

これには個人差があり、寝不足や体調不良での飲酒はアルコール分解能力が低下するためさらに時間が必要だ。「少量だし、仮眠したから大丈夫」とは決してならない。同様に、入浴やサウナに入ってもアルコールは分解促進されないことが立証されている。

飲酒運転根絶に向けた動きは民間企業でも加速度を増す。

2022年4月に施行された道路交通法施行規則第9条の10第6号では、企業の安全運転管理者に対して「業務の開始前後の運転者に対する酒気帯びの有無の確認」が義務づけられた。これは目視などによる確認で、飲酒の有無確認の内容は1年間保存しなければならない。

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上記の確認は対面が原則ながら、カメラやモニターを通じて顔色や応答時の声色の確認ができる、もしくは携帯電話や業務無線で対話ができて、かつアルコール検知器を併用することで、対面と同等の確認と見なされる。2022年10月からは上記内容に加えて、対面であってもアルコール検知器を使用することが義務づけされる。

2022年7月15日の警察庁によると、昨今の部品不足によりアルコール検知器の入手に一定の困難が伴うことから、10月からのアルコール検知器使用の義務付けが当目の間、延期される可能性が示唆された。

ここまで厳格にしなければ、飲酒運転の根絶にはつながらないという現実は悲しい。一方で日頃のストレスから飲酒が日常化すると、業務にまで支障をきたすことがわかっている。アルコール依存症だ。

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【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

「飲酒運転で事故る人」が根絶されない残念な現実

酒が飲めない人には理解しがたい酒飲みの発想

あおり運転「あおられる側」が意外と知らない事実

提供元:「飲酒運転の罪と罰」どれだけ重いか知ってますか|東洋経済オンライン

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