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2022.08.04

和田秀樹さんが説く「いい医者」を見分けるコツ|70代からの人生を元気に楽しく過ごすには?


多くの高齢者とかかわってきた和田さんに伺った、70代からの人生を元気に楽しく過ごすためのコツとは(撮影:今 祥雄)

多くの高齢者とかかわってきた和田さんに伺った、70代からの人生を元気に楽しく過ごすためのコツとは(撮影:今 祥雄)

高齢者専門の精神科医として6000人以上の患者と向き合ってきた、和田秀樹さん。70代、80代向けに書いた、老いへの備えや生き方の指南書が発売されるや否や、次々とヒットを連発。「70歳は人生のターニングポイント!」として、70代からの人生を元気に乗り切るための生活習慣や考え方をまとめた、近著『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』もベストセラーとなり、大きな話題に。

インタビューの後編では、多くの高齢者とかかわってきた和田さんに、70代からの人生を元気に楽しく過ごすためのコツや心がけたほうがいいことについて伺いました。

『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

前編:『和田秀樹「70代でも元気な人とそうでない人の差」』 ※外部サイトに遷移します

死因トップが「がん」の日本

――著書『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』の中で、両者の違いは「レジリエンス(回復力)と免疫力にある」とおっしゃっていました。レジリエンスと免疫力を上げ、70代を元気に乗り切るためにはどうしたらいいでしょうか。

レジリエンスと免疫力を上げるためには、身体と脳を使うこと。そして、しっかり食べ、栄養状態を良くすることが大切です。血圧や血糖値を気にして節制する人がいますが、それも過ぎると栄養不足になりかねません。

アメリカ人の死因のトップは心筋梗塞なので、確かに血圧や血糖値、コレステロール値を下げたほうがいいかもしれない。

だけど、日本人の死因のトップは「がん」なんですね。がんで死ぬ人が、心筋梗塞で死ぬ人の12倍もいるのです。

だから、われわれのような「がんで死ぬ国」は、免疫力を上げなくてはいけない。もっと栄養を摂る必要があるし、もっと楽しまないといけないわけです。

よく「健康のためにお肉を減らしましょう」という医者もいますが、1日あたりの肉の平均摂取量はアメリカ人が300g程度に対し、日本人は100gぐらいですからね。

普段からそんなに食べていないに、お肉を控えてしまったことで、タンパク質など栄養不足になる危険性もある。それにもともとお肉が好きな人は食べる楽しみも減ってしまうから、かえって免疫力が落ちてしまう可能性もあるのです。

――高齢になると血圧や血糖値の数値が気になり、薬を飲む人も多いですよね。

実際、多いですね。医療が高度化したことによって、検査データを重要視するようになり、数値に異常があれば、正常に戻すためにすぐに薬を出すようになりました。

治療のために薬を出すというより、“数値を下げる”ためだけに薬を出す医者が多いのです。

さらに今の医療は専門分化が進んでいます。身体のあちこちが具合悪い人は、例えば「循環器内科」「消化器内科」「泌尿器科」というように、それぞれの科の医者から薬をもらうようになって、10個も15個も薬を飲むようになります。いわば薬漬けの状態です。

それでは、かえって具合が悪くなりかねません。実際、血圧や血糖値を下げる薬によって、低血圧や低血糖を引き起こし、頭がボーっとしたり、足元がフラフラしたりすることもあります。

僕は1985年に医学部を出ましたが、その頃の診察ではまだ聴診器を当てたり、触診をしたり、目の前の患者さんの状態や顔色を見ながら診断していきました。でも、今はそういった当たり前のことが少なくなって、数値ばかり重要視していくようになった。それでは体調不良の真の原因が見えなくなります。

僕は数値が正常化どうかよりも、本人が元気かどうかのほうがよっぽど大事だと思うんですね。

高齢者が元気になる、良い医者の見分け方

――先生から見て、良い医者の見分け方というのはありますか。

基本的に医者というのは病気を治すプロであって、人を元気にさせるプロではないんですね。

「あなた、この数値が高いから危険です。薬を飲みましょう」という医者が多いけど、それを言われて元気になりますかって話です。

薬を飲んでも一向に具合が良くならない時に、しっかりと耳を傾けて原因を探ってくれたり、今飲んでいる薬を変えてくれたりと、根本原因に目を向けてくれる医者は信頼できるんじゃないでしょうか。

その医者の人となりや雰囲気というのも重要で、「この先生のところに行くとなんだか元気をもらえる」みたいな人がいいですよね。

和田秀樹/1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって、高齢者医療の現場に携わっている。主な著書に『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』(マガジンハウス新書)などがある(撮影:今 祥雄)

和田秀樹/1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって、高齢者医療の現場に携わっている。主な著書に『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』(マガジンハウス新書)などがある(撮影:今 祥雄)

――著書『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』の中にあった、「高齢になってくると男性ホルモンの影響によって、女性のほうが男性よりも元気になる」というお話も、興味深く感じました。

男性ホルモン(テストステロン)は、いわゆる男らしさをつくるホルモンなのですが、社交性や攻撃性といった外に向かう力を生み出すホルモンなんですね。その男性ホルモンが、男性は中年期以降、減少し、逆に女性は高まっていくということがわかってきました。

高齢になるほど妻はどんどん外に出て、人と会ったり、趣味の活動を始めたりする一方で、夫は何もせず、家にこもって、奥さんに頼りっきりになってしまう……。そんなふうに「濡れ落ち葉」と言われるようになってしまうのは、男性ホルモンの影響もあるわけです。

妻の側は、家にこもりがちの夫の姿を見ていて「情けない……」と思わずに、「ホルモンのせいなんだ」と思うと、ちょっと優しくなれるかもしれませんね。

そういうわけで、男性は定年退職したら、家に閉じこもらずに積極的に外に出たり、早めに自分が楽しめる世界を見つけたりすることをおすすめしたいです。

さすがに愛人をつくれとは言わないけれど、キャバクラに行くぐらいは許してあげてもいいんじゃないかと(笑)。男性ホルモンの分泌を促すためにもね。

できないことを悔やむのではなく、面白がる

――70代からの人生を元気に楽しく過ごすために、心がけたほうがいいこととは何でしょうか。

70代ともなると、さすがに体力も集中力も衰えてきて、少なからず老いを感じるのは、仕方のないことです。

そこで「50代、60代の時はもっとできていたのに……」と悔やんだり、「これからますます衰えていく一方だ」と先のことを悲観したりすれば、どんどん気力を失い、老け込んでいってしまいます。

老いを感じた時に大切なのは、「できないことを悔やむのではなく、面白がること」です。本を読むのも、何か作業するのものろのろと、ちょっとずつしかできなくても、そのこと自体を「面白いな」と捉えてみると、今まで気づかなかった新たな発見があるものです。

そうやって70代のまだ元気なうちに自分のやりたいことを諦めずに続けることができると、80代以降、さらに老いが進んだとしても楽しみを失わずに済みます。

――「もう歳だから」といろんなことをあきらめずに、チャレンジし続けることが大切なんですね。

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『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』(マガジンハウス新書) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

そうです。一日一日が実験だと思ったら、楽しくなってきませんか?

例えば、すごい美味しいラーメン店があって、1時間並ぶとする。でも、現役バリバリで仕事が忙しかったら、1時間も並ぶのも厳しいじゃないですか。

引退して時間はたっぷりあるわけだから、今までやりたくてもできなかったことに挑戦できる絶好のチャンスです。

毎日の食事のレシピを少しずつ変えたり、毎日違った本を読んでみたり。ドラマや映画もサブスクの動画配信サービスを使えば、何本見たって同じ金額です。

一日一日が実験だと思えば、失敗すらも楽しくなります。入ったお店がまずかったら、「じゃあ、次はこういうお店に行ってみよう」って、学びに変えていけば毎日にハリが出ます。

残りの人生で、あと何百回、何千回と実験ができるんですから、それだけ多くの幸せ気分を味わえるんじゃないでしょうか。

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提供元:和田秀樹さんが説く「いい医者」を見分けるコツ|東洋経済オンライン

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