2022.07.01
6月に初の40℃超、「節電の夏」熱中症対策のコツ|東京で観測史上最も早い猛暑日、3日連続35℃超
6月25日、伊勢崎(群馬県)で最高気温40.2℃を観測しました。全国で今年初めての40℃以上で、6月に40℃以上になるのは観測史上初めてです。
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6月25日の最高気温(出典:weathermap)
地図上で、赤色の最高気温30℃以上の真夏日が全国的に多く、紫色の最高気温35℃以上の猛暑日の地点も関東を中心に多数あります。
真夏でも珍しいほどの危険な暑さ
沖縄と奄美以外はまだ梅雨明けしていなかったにもかかわらず、真夏でも珍しいほどの「危険な暑さ」に見舞われたのです。
<6月とは思えない暑さ>
東京は最高気温35℃以上で、観測史上最も早い猛暑日となりました。
全国64地点で猛暑日を観測。札幌は30.6℃で前日より9℃高く、真夏日です。
6月25日の最高気温ランキング(出典:weathermap)
最高気温ランキングの1位伊勢崎(群馬県)40.2℃、2位桐生(群馬県)39.8℃、3位佐野(栃木県)39.7℃など、関東を中心に記録的な暑さとなりました。伊勢崎(群馬県)で気温が40℃以上になるのは、2020年8月11日以来、2年ぶり2回目です。
そして、25地点は37℃以上で、体温を上回る気温が観測されました。
16位下館(茨城県)38.0℃、19位大田原(栃木県)37.8℃、今市(栃木県)35.9℃の3地点は、観測史上最も高い気温です。
<なぜ6月に40℃を超えたのか>
記録的な暑さになった理由の1つは、太平洋高気圧が張り出したことです。
6月25日の天気図(出典:weathermap)
太平洋高気圧の張り出しにより、晴れて暑い空気に覆われました。
6月25日の上空の様子(出典:weathermap)
上空1500メートル付近で、東日本と西日本の広い範囲が18℃以上、関東には21℃以上の暖気が流れ込んでいました。高層観測を行っている館野(茨城県)において、1年で最も気温が高い8月上旬の平年値が約19℃ですが、それより暑い空気が上空を覆っていたということです。
さらに、関東は山を越えた暑い風が吹き下ろすフェーン現象により、特に気温が上がりました。
<東京都心で3日連続猛暑日>
6月26日も同じような気圧配置で、フェーン現象があった関東を中心に暑くなりました。
6月26日の最高気温(出典:weathermap)
最も気温が上がったのは、佐野(栃木県)と伊勢崎(群馬県)で36.8℃。
東京36.2℃は観測史上最高
東京は36.2℃で今年最も高い気温を観測。6月としては観測史上最も高い気温です。
6月27日も関東で40℃に迫る暑さになったところがありました。
6月27日の最高気温(出典:weathermap)
佐野(栃木県)39.8℃、2020年8月11日と並び、観測史上1位タイの最高気温でした。
東京は35.7℃、6月に3日連続で35℃以上の猛暑日になるという異例の暑さです。
外に出るとモワッとした空気で、強烈な日差しがジリジリ照りつけて痛く感じられました。風が吹いても熱風で、心地よく感じられるものではありません。長い時間外にいることが危険だと感じる暑さです。
6月27日の東京・渋谷。熱さを防ぐために日傘を差している女性の姿も(写真:Abaca/アフロ)
<「熱中症警戒アラート」参考に対策を>
できる限り外出を控えて、外を歩くときには日陰を選んだり、日傘や帽子を使ったりして、直射日光を避けるようにすることが大切です。涼しい服を選び、こまめな水分補給と休憩をして、熱中症対策を万全に行ってください。
部屋の中でも熱中症になる可能性があるので、無理せずエアコンをつけるようにしましょう。
「熱中症警戒アラート」が発表されている地域では、熱中症の危険性が極めて高い気象条件になります。発表のタイミングは午前5時と午後5時の2回、環境省の「熱中症予防情報サイト」や気象庁のHPで見られるので、情報を参考にしながら対策をしてください。
<睡眠中の熱中症にも警戒>
熱中症対策が必要なのは日中だけではありません。
夜から翌朝にかけて最低気温25℃以上の夜を熱帯夜といいます。
熱帯夜のときは特に夜間の熱中症にも気をつけてください。
寝る前にコップ1杯の水を
寝る前にコップ1杯の水を飲むようにしましょう。また、暑い日は寝ている間もエアコンをつけっぱなしにしたほうが良いです。
就寝中の脱水症状にも注意です(写真:horiphoto/PIXTA)
夜中に目が冷めたら手軽に水分補給ができるように、枕元に水を置いておくのもおすすめです。
<“節電の夏” 全国初の「電力需給ひっ迫注意報」>
万全な熱中症対策が必要な暑さの一方、政府からは節電が呼びかけられています。
電力需給ひっ迫に備え、6月7日に政府は関係閣僚による会議を開催し、家庭と企業に対して生活や経済活動に支障のない範囲で、できる限りの節電を要請することを確認しました。全国規模で国民に節電を求めるのは、2015年以来7年ぶりです。
また、東京電力の管内で6月27日の電力需給が厳しくなるとして、経済産業省は「電力需給ひっ迫注意報」を出しました。
「電力需給ひっ迫注意報」は今年5月新たに設けられ、今回が全国で初めての発令です。
電力の余力を示す電力供給予備率が5%を下回ると「注意報」、3%を下回ると「警報」が発表されます。電力の使用量(需要)が多い一方で太陽光発電(供給)が減る、午後3時から午後6時が電力需給のひっ迫する時間帯です。無理のない範囲で節電をするように呼びかけられました。
エアコンのフィルターを掃除しておくことで節電にもなります(写真:ucchie79/PIXTA)
具体的に、家庭でできる節電は何でしょうか。
エアコンのフィルター掃除を
厳しい暑さの日にエアコンを使わないのは命にも関わるので、エアコンの使用は控えないようにしましょう。ただ、エアコンのフィルターを掃除すると節電になります。私も早速掃除しました。
他には、使わない家電のコンセントを抜く、トイレの便座の暖房を切る、冷蔵庫の設定を「強」から「中」にすると節電できます。電力需給がひっ迫する時間帯を避けて、洗濯機やアイロン、電子レンジ、掃除機など家電を使う家事をすることも挙げられます。
<観測史上最も早い梅雨明け 猛暑続く>
6月27日、関東甲信は梅雨明けしました。観測史上最も早い梅雨明けです。
6月27日の天気図(出典:weathermap)
太平洋高気圧の張り出しが強まり、本州付近の梅雨前線は不明瞭になっています。
関東甲信、東海、九州南部で梅雨明けの発表がありました。関東甲信と東海は平年より22日早く、九州南部は平年より18日早いです。梅雨の期間は、関東甲信は21日間、東海は13日間、九州南部は16日間、いずれも観測史上最も短くなりました。
梅雨が明けたということは、夏本番がやってきたということです。
気象庁は「高温に関する全般気象情報」を発表しました。北日本は6月30日にかけて、東日本と西日本は7月3日にかけて、気温が高い状態が続くため、熱中症などの健康管理に注意するよう呼びかけています。
3か月予報によると、7月から9月の平均気温は、北日本から西日本で平年より高い見込みです。
3か月予報(出典:気象庁)
7月と8月は平年並みだとしても暑い時期です。その平年値よりさらに平均気温が高くなるということは、厳しい暑さを覚悟したほうが良さそうです。
月別では、9月は全国的に平年並みか高い見込みなので、残暑も厳しいでしょう。
早くから暑くなり、残暑も厳しいということは、暑い期間が長いということです。
<暑さの原因は2つの高気圧 ラニーニャ現象も>
ここまで暑くなる原因は、2つの高気圧です。
予想される海洋と大気の特徴(出典:気象庁)
偏西風が平年より北を流れ、太平洋高気圧が平年より北に張り出します。
さらに、上空にあるチベット高気圧も平年より北に偏る見込みです。
梅雨が明けてからも大雨の備えが必要
2つの高気圧が日本付近で重なることで、暑さが一段と厳しくなることが予想されています。
また、ラニーニャ現象の影響で、日本の南で積乱雲の発生が多くなります。積乱雲の発生が多いところは上昇流場、その北側にあたる日本付近が下降流場になるため、太平洋高気圧を強める可能性があるでしょう。
そして、日本の南は台風が発生するエリアです。ここで積乱雲の発生が多いということは、今後は台風が多くなるおそれがあります。3か月予報の降水量は全国的にほぼ平年並みと見込まれていますが、梅雨が明けてからも大雨への備えが必要です。
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