2022.06.21
有酸素運動なら「走るより固定式バイクが○」な訳|最低限抑えておきたいプログラムはこれだ!
有酸素運動に効果のある代表的な機械といえばバイクとランニングマシン。どちらのほうがおすすめなのか、トレーナーの坂詰さんが解説します(写真:kou/PIXTA)
日頃の運動不足に、コロナ過での自粛生活、テレワークの広がりもあいまって、私たちの日常生活運動量は激減しました。この運動不足を解決するのに最適なのがジム・トレーニングだと坂詰真二氏は言います。自宅での筋トレや近所のジョギングは手っ取り早く運動できますが、ジムにはそれらにはないメリットがあります。
坂詰氏は、アスリートへの指導やスポーツ・医療系の専門学校講師なども務めるかたわら、さまざまなメディアで活躍中のプロトレーナー。今回は、意外と知られていない、ジムの基本から、最も効果的な活用法まで坂詰氏の最新刊『いちばん効率がいい すごいジム・トレ』から、一部抜粋したものを3回に渡ってご紹介します。今回は3回目になります(1回目はこちら、2回目はこちら)。
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1回目はこちら ※外部サイトに遷移します
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ジムには数多くの筋トレ用のマシン、有酸素運動用のマシンがあり、あれこれやってみたくなりますが、実施する種目数が多ければ、効果を得られるというものではありません。
種目数が少なくても、それが的確なものであればよく、筋トレマシンはたったの5種類、有酸素運動マシンは1種類で十分です。
私が推奨する初期のトレーニングプログラムは以下のとおりです。
ジムに通い始めはまずこのプログラムを
健康、体力の維持・回復、ダイエット、美容、ストレスや疲労の解消・予防など、あらゆる目的に共通する最小の努力で最大の効果が得られるメニューになっており、すべて行っても1時間もかかりません。これを週に2回行うことを目標とします。
(1)ウォームアップとしてのストレッチ
(2)マシンを使った筋トレ
(3)固定式バイクでの軽い有酸素運動
(4)クールダウンのストレッチ
一見すると物足りないように感じるかもしれませんが、それでいいのです。
初期に大事なのは、挫折せずに運動を習慣化することと、自分の目的に向けて最善の準備を整えること。この準備期間を飛ばしていきなりフリーウエイトやランニングに手を出すと、待っているのはケガやストレスによる挫折です。
スロースタートこそ、一生もののフィットネスの可否を握るカギ。もの足りないくらいの運動から開始して、心身に負担をかけず、モチベーションを維持・向上させる戦略です。
有酸素運動なら走るより固定式バイク
ジムで最も人気のある有酸素運動はトレッドミルでのランニングですが、施設に入会してまず取り組むべき運動は固定式バイクです。
着地時に体重の3~4倍程度の強い衝撃がかかるランニングとは異なり、バイクならひざや股関節などを痛めるリスクがありません。自身の体重を支える必要がないので、非常に低強度な運動もできます。また、目線と顔を下げても安定しているので、「つま先を正面に向ける、ひざを開かない」などの体の正しい使い方を意識して、動きを修正するのも容易です。
バイクを利用すると「ながら運動」で継続時間を伸ばして、消費カロリーを増やすこともできます。なぜかというと、10回を反復する筋トレと異なり、有酸素運動は1分に30回程度足や腕を動かし、これを数分〜数十分間継続する単調な運動です。体が疲れる前に気持ちが飽きてしまいやすいのです。
その点、安定したイスに座って両手が離せるステーショナリー・バイクを使えば、スマートフォンを使って動画を視聴したり、ゲームをしたりすることで、飽きずに続けられます。
リカンベント・バイクも同じくバイク系のマシンで、こちらは寄り掛かれる背もたれがあり、座面も広く、固定式バイクよりさらに安定感があります。固定式バイクと比較して、腕や腰、お尻に負担がかからないという特徴もあります。
いずれかのバイクで有酸素運動に体を慣らし、左右均等に正しい下半身の使い方ができるようになってから、ほかの運動にトライするのが賢い方法です。
ステーショナリー・バイク(左)とリカンベント・バイク(右)
筋トレというとダンベルやバーベルなどのフリーウエイトトレーニング(以下フリーウエイト)をイメージするかもしれません。特に男性はフリーウエイトをやりたくなる傾向がありますが、優先的にやるべきなのはマシンを使ったトレーニング(以下マシントレ)です。
マシントレにはフリーウエイトにない、以下のようなメリットがあります。
1.安全性が高い
何と言っても、安全性が高いことが最大のメリットです。フリーウエイトでは転倒、重りの体への落下によるケガや事故のリスクを伴うのに対し、マシンは安全性を最優先でデザインされています。
2.初めてでも操作がしやすく、正しいフォームが容易に作れる
操作性の面でもマシントレは優れています。フリーウエイトはバーベルを正しい位置に設定する、プレートとその留め金を脱着するなど手間がかかり、要領を得るのにかなり時間がかかります。でも、マシンならばシートか背もたれの高さを微調整した後、重量調整用のピンを差すだけで重さが設定できます。
3.筋肉を鍛える効果が高い
フォームを容易につくれるのもマシントレです。フリーウエイトは種目によって筋肉に効く正しいフォーム(体の位置、足幅や手幅、重りを動かす軌道など)が異なり、習得に時間がかかります。一方、マシンならばシートに座って目の前のバーをマシンに決められた軌道上で動かすので、誰でも正しいフォームで行うことが容易です。
意外なようですが、効果の面でもマシントレのほうが優れています。
フリーウエイトを実施する際には、バランスを保ちながら正しいフォームを作るために鍛えたい筋肉以外にも力を入れなければなりません。マシンはそういった要素が排除されているため、鍛えたい筋肉の出力だけに的を絞ることができるからです。
筋トレ導入時におすすめのマシン5種
筋トレ導入期に私は次の5種類のマシントレをおすすめします(各番号は取り組むのに理想的な順番を表します)。
(1)レッグ・プレス 下半身をまんべんなく鍛える
(2)シーティッド・ロウ 背中を鍛える
(3)チェスト・プレス 胸を鍛える
(4)ロウアー・バック 腰を鍛える
(5)トランク・カール お腹を鍛える
※各マシンの使い方などはジムのインストラクターにお聞きください。
トレーニングする部位は体の中で最も大きな筋肉群です。これらは加齢や運動不足によって衰えやすく、健康や美容に与える影響が大きい部位でもあるので優先順位が高いのです。また、大きい筋肉を鍛えると、小さい筋肉も補助的に鍛えられるので、一石二鳥です。
これら5種目を行うだけで全身の筋肉量が増えて基礎代謝がアップし、体脂肪を燃焼しやすい体質に変わり、体型が引き締まっていきます。もちろん健康状態も改善し、疲れにくくもなります。
体重が重い人、すでにひざや足首などになんらかの疾患を抱えている人には水泳や水中ウォーキング、アクアビクス(水中でのエアロビクス)といった水中運動が向いています。
水中運動では水から受ける浮力によって、下半身の関節や骨にかかる負担が大幅に軽減するからです。水の抵抗がかかるので、上半身を含めて全身の筋肉も鍛えられる、というメリットもあります。
さらに水中運動は転倒や接触のリスクも少ないのでケガをしにくく、真夏でも体温が上がりにくいので、熱中症の心配もほとんどなく、安全性にも優れています。
水泳の場合は「泳ぐ技術」が必要ですが、水中ウォーキングやアクアビクスなら特別な技術が必要なく、誰でも容易に行うことができます。アクアビクスの動作は陸上のスタジオダンスよりもシンプルかつ、他者から動きが見えにくいため、ダンスが苦手な方でも抵抗なく参加しやすいプログラムです。
水中運動のデメリットは肩周辺が疲労しやすいことですが、陸上の有酸素運動と交互に行うことで、このリスクを回避することができます。また、水中運動では骨量が増えないので、この意味でも陸上の有酸素運動と併用することをおすすめします。
飽きっぽい人の有酸素運動は?
有酸素運動はシンプルな動きなので、人によっては飽きを感じる場合があります。そういった方へのおすすめは、エアロビックダンスなどのスタジオエクササイズです。
脚や腕の単純な反復動作をくり返すほかの有酸素運動とは異なり、リズムに乗って踊ったり、パンチやキックをする楽しさ、新しい動きを学ぶ楽しさ、またたくさんの人と一緒に動くことで得られる楽しさもあります。インストラクター(先生)が声をかけながら動きを誘導してくれたり、盛り上げてくれことで、モチベーションを高めてくれるのもメリットです。
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スタジオエクササイズの参加者から新しいコミュニティーが生まれることもありますし、友人関係が築かれることもあります。これはジムエリアで有酸素運動をしていてはまず起こりえないことです。
また踊りながらバランス能力や敏捷性も鍛えられますし、ストレッチや筋力トレーニングの要素もありますので、持久力をメインに、体力が総合的に鍛えられます。
半面、踊ることが苦手、たくさんの人と一緒に動きたくない、ジムで新しい人間関係を築きたくないといった人はスタジオレッスンそのものが苦痛になりますから、選択肢から外したほうがよいでしょう。
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提供元:有酸素運動なら「走るより固定式バイクが○」な訳|東洋経済オンライン