2022.06.01
安くて超簡単!栄養満点の濃厚「純レバ丼」作る技|臭みを抑える最大のコツは「短時間」での調理
安くておいしい「純レバ丼」の作り方を伝授します
在宅勤務などによって、家で料理をする人が増えたのではないでしょうか。料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番の料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作る方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する連載『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。今回は簡単でお財布にも優しい「純レバ丼」です。
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僕にとって鶏のレバーはたまに食べたくなる食材。内臓肉は調理が難しいというイメージがありますが、要領さえつかめばかんたんです。
スーパーで売られているレバーには鶏、豚、牛などがありますが、そのなかでも一番クセがなく、食べやすいのが鶏レバーです。昔は高級品でしたが、ブロイラーが普及して以降大衆化し、一気に広まりました。レバーの長所は「安価」という点。グラム単価では鶏むね肉よりも安いですが、コクのある力強い味わいです。
今日は鶏レバーを使って「純レバ」という料理をつくります。東京生まれの純レバはレバニラからニラを抜いたもの。ご飯にのせれば「純レバ丼」になります。小口切りにした長ネギがたっぷりとかかったスタイルが定番で、浅草を中心とした下町で愛されている料理です。
臭みを抑える方法は「短時間」で適切に加熱
レバーを調理するキーワードは「短時間」です。レバーの調理ではよく「臭み」が問題になりますが、それは細胞膜のなかにあるアラキドン酸という物質が、レバー自身が持つ鉄分と反応し、酸化することで生じます。この反応は約70℃で最高に達するのですが、これを最低限に抑えるべく、短時間で適切に加熱することが重要になってきます。
ふつうに炒めていると加熱に時間がかかるので、多くの中国料理店などではたっぷりの油(やや高温の180℃)で効率的に火を通します。だから、外で食べるレバーは臭みが少ないのです。
しかし、家庭ではたくさんの油を用意するのは合理的ではありません。そこで今回は「湯通し」する方法をオススメします。
純レバの材料(2人前)
鶏レバー 200g
しょう油 小さじ1
酒 小さじ1
長ネギ 1/2本
砂糖 大さじ1
しょう油 大さじ1
酒 大さじ1
オイスターソース 小さじ1
顆粒鶏ガラスープの素 小さじ1/4
しょうが(すりおろし) 10g
にんにく(すりおろし) 10g
ごま油 小さじ2
ラー油 小さじ1/2
まずは鶏レバーの選び方から。レバーは鮮度が重要です。表面に艶があり、パックの底に液体(ドリップ)が溜まっていないものを選びます。冷蔵庫のチルド室であれば1〜2日ほどは保存できますが、早めに使うのが理想です。
1パック200g程度で販売されています
まず、長ネギを小口切りにしましょう。
長ネギの小口切りはパックでも売られています
10分以上、水にさらして辛みを抜きます。その後、ザルで水気を切り、ラップをかけずに5分置くとさらに辛みが抜けます。たっぷりの長ネギの小口切りがレバーに新鮮な風味を与えてくれます。
水にさらすことで辛みが抜けます
さて、長ネギを水にさらしているあいだにレバーの処理に入りましょう。レバーはたいてい、心臓=ハツとつながった状態で売られています。まず、ハツとレバーの部分を分けます。
レバーは鮮度を落とさないために、手であまり触らないようにしましょう
まずハツの部分の下処理です。ハツは中心から半分に切り、血の塊を取り除きます。
心臓の周りの脂はそのままで大丈夫です
レバーは大きい部分と小さい部分の一組なので、まずは半分に切ります。
この料理ではレバーの筋も神経質になる必要はありません
薄い部分を左側にして、包丁をやや寝かせて斜めにカットしてきます。厚みは8mm〜1cm程度。加熱すると縮むので、やや大きめに切っておくのがポイントです。
断面が大きくなるようにスライスします
切ったレバーをボウルに移し、しょう油小さじ1、酒小さじ1で下味をつけておきます。この工程でもレバーの臭みが抑えられます。
酒としょう油には臭みをマスキングする働きがあります
レバーはよく臭みをとるために水でさらしたりしますが、鮮度のいいレバーを使う場合にはとくに必要ありません。
水にさらすことで表面の臭みは緩和できるので、パックの底にドリップが溜まっているレバーを使う場合は冷水で洗えば充分です。それよりもその後の加熱にポイントがあります。
レバーに下味をつけているあいだにタレの準備です。砂糖大さじ1、しょう油大さじ1、酒大さじ1、オイスターソース小さじ1、鶏ガラスープの素小さじ1/4に、生姜とにんにくのすりおろしが入ります。
写真ではそれぞれ計量していますが、実際は一つのボウルに調味料を入れていくと洗い物が減ります
砂糖が下に溜まりやすいので、先にボウルで混ぜておきましょう。
こうして準備した調味料を「合わせ調味料」といいます
フライパンにたっぷりの湯を沸かし、塩(分量外)を加えます。味見をして、しっかりとした塩気を感じる塩分量にしてください。厳密ではありませんが、目安は水に対して1%重量です。
塩を加えることでレバーの味が抜けません
沸騰したら火を弱火に落とし、鶏レバーを30秒茹でます。
油と違って跳ねないのが湯通しのメリット
ザルにあけて水をよく切ります。茹で時間が30秒と短いのは余熱で加熱が進むからです。
湯通しすることで血の塊なども取り除けます
フライパンを中火で1分予熱し、ごま油小さじ2を引き、しっかり水気を切ったレバーを焼いていきます。湯通しである程度火は通っているので、イメージは片面焼きです。この工程の目的は香ばしさを出すためです。
レバーを湯通しして、水気をよく切っておけば油跳ねが減らせます
30秒〜45秒ほど焼き、片面に焦げ目がついたら一度、火を弱め、タレを加え、ざっくりと混ぜます。
タレを入れるときは軽く混ぜて底に砂糖が溜まっていないか確認してください
火を強め、ラー油小さじ1/2で辛みをつけます。
ラー油がない場合は一味唐辛子や七味唐辛子、豆板醤などで代用できます
レバーを先に器に盛り付けます。
タレがレバーに絡まっておいしそうです
最後にフライパンを中火にかけてタレを軽く煮詰めます。レバーを先に器に盛り付けておけば必要以上にレバーを加熱することが防げるのです。
ここでタレの最終的な濃度を調整します
タレに軽いとろみがついてくるので、好みの頃合いでレバーにかけます。たっぷりの小口切りの長ネギを添えればできあがりです。甘辛いタレとレバーの濃厚さをラー油の辛みと長ねぎの風味が引き締めてくれ、最高にビールにあう料理です。
濃いめの味付けのタレがレバーによくあいます
こうしてできた純レバをご飯にのせた「純レバ丼」もおすすめです。「意外と手軽!『町中華のチャーハン』を家で作るコツ」の回で紹介したスープがよくあいます。安価な鶏レバーは栄養満点。上手に料理して楽しみましょう。
「意外と手軽!『町中華のチャーハン』を家で作るコツ」 ※外部サイトに遷移します
タレが染みたご飯が絶品です
(写真はすべて筆者撮影)
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提供元:安くて超簡単!栄養満点の濃厚「純レバ丼」作る技|東洋経済オンライン