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2022.05.12

実験!「お茶の味は水で変わるか」その意外な結果|ティーバッグや水出しは水でどう味が変わる?


ティーバッグや水出しのお茶は、水によって味が変わるのだろうか。実験してみた(写真:筆者撮影)

ティーバッグや水出しのお茶は、水によって味が変わるのだろうか。実験してみた(写真:筆者撮影)

5月は緑茶の季節。唱歌「茶つみ」に歌われる「八十八夜」は、立春から数えて、88日目の5月2日前後。農家にとっては種まき、お茶農家にとっては新茶の季節だ。最初に摘まれる新芽は、新茶(一番茶)と呼ばれ、品質が高く甘みがあって人気だ。

お茶の味は水にも左右されるという。「茶は水が詮(せん)」という言葉があるが、よい茶をたてるにはよい水が大事。いにしえの茶人は、お茶にあった水を求め、全国各地を歩いたという。

ところで農林水産省によると、日本茶は消費量、産出額ともに減少傾向にあるという。最近では急須が家庭にない家が増えているという話も聞く。

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その一方で、スーパーやドラッグストアには「緑茶ティーバッグ」なども販売され、簡単に緑茶を楽しむこともできる。ふと思ったのが、ティーバッグの緑茶も水によって差が出るかということ。子どもと一緒にできる手軽な方法で試してみることにした。

緑茶ティーバッグと5種類のペットボトル水を用意

まず、市販の緑茶ティーバッグと5種類のペットボトル水を用意。
水質はペットボトルの成分表示に記載されているものもあるが、記載のない場合は必要に応じて「パックテスト」という簡易水質測定キットで調べる。

ポリエチレンチューブの中には試薬が入っており、測定したい液体をポリエチレンチューブに吸い込むと、試薬と反応し色が変化する。一定の時間を置いた後、比色表と比較することでおおまかな水質がわかる。

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まず、5つの水の硬度とpHをまとめたものが以下である。

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硬度とは、水に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を表わす。カルシウムとマグネシウムが比較的多く含まれる水を硬水、少ない水を軟水という。日本の水質基準では、硬度0~100mg/Lを軟水、101~300mg/Lを中硬水、301mg/L以上を硬水としている。

5つの水のうちA、B、C(いずれも国産ペットボトル水)は軟水であり、D、E(いずれも外国産ペットボトル水)は硬水だ。硬度は地質の影響を受ける。火山国である日本は火山性の地層が多く、また、傾斜が大きく地下水の流れが早いため、水にミネラル分が溶けにくい。そのため軟水が多くなる。

一方、ヨーロッパは石灰岩層が多く、傾斜がゆるやかで、水がゆっくり地中を流れる間にミネラル分を溶かす。そのため硬水が多い(例外はある)。

次にpH。これは酸性、中性、アルカリ性を示す指標。pH7が中性、pH7以下を酸性、pH7以上をアルカリ性とよぶ。5つの水ではA、Eが中性だった。B、C、Dがアルカリ性で、D→B→Cの順にアルカリ度が高かった。

鉄分については5つの水からは検出されなかった。鉄やマンガンが多いと金気を感じ、お茶の色が黒褐色になるとされる。自宅の井戸水などでお茶を入れて、この現象が現れたら、鉄やマンガンが含まれている可能性がある。

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次に沸騰させたお湯にティーバッグを入れる。5つの水(200mL)を95℃に熱し、緑茶ティーバッグを入れて30秒経過させたものが以下だ。

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写真左からA、B、C(以上国産ペットボトル水)、D、E(以上外国産ペットボトル水)と並んでいる。

見た目を比べると、A→B→Cの順に色が濃く、Cはやや褐色気味だ。それに比べてD、Eの色は薄く、時間が経過すると表面に、やや濁り薄い膜のようなものができた。

次に香り。A、B、Cからはお茶の香りを感じるが、D、Eからはあまり香りを感じない。飲んでみるとA→B→Cの順にお茶の苦味が強くなる。とくにCは強い苦味を感じた。一方、D、Eはお茶の苦味をほとんど感じない。

簡易的な実験ではあるが、緑茶ティーバッグのお茶も水によって明らかな差がでた。軟水で中性のAがもっともお茶の味をおいしく感じることができ、アルカリ度が高いCはお茶の色が褐色になり苦味を強く感じた。硬度の高いD、Eは味も香りも淡白になった。また薄い膜が張ったのは、お茶の成分であるタンニンが、水のなかのミネラル分と結合したためだろう。

「水出し」だとどう変わるか

さて、夏になるとクーラーポット、水筒などに緑茶ティーバッグをポンと入れ、「水出し」を楽しむ人も多い。こちらも水によって差が出るのだろうか。用意したのは、先ほどのA、Eに加え、水道水F、水道水(浄水器使用)Gの4種類。これらの水について、硬度、pH、残留塩素を測定した結果は以下のとおり。

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A、F、Gは軟水でEは硬水、pHはすべて7.0の中性だ。日本の水道水は硬度30〜80mg/Lの軟水が多いが、住んでいる地域によって異なる。
また、水道水には、微量の塩素が含まれる。

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水道水は、衛生面から塩素による消毒を行い、蛇口での残留塩素濃度を0.15ミリグラム/リットル以上保持することが水道法で定められている。原水となる川の汚染の激しかった時代には大量の塩素が使われていたが、水質が回復し、浄水技術も高度になった現代では塩素の使用量は少なくなっている。

この4つの水(水量1L、水温19℃/常温)に、さっきと同じ緑茶ティーバッグに入れ、1時間経過したものが以下である。

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軟水のA、F、Gの色に比べると、硬水のEはやや色が薄く、味は淡白だった。

水道水でお茶を作ると…

次に、水道水でつくったお茶の残留塩素濃度を測定してみると0になっていた。

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水道水の塩素はお茶の成分のビタミンと反応する。水の中に大量の塩素が入っていると、お茶の香りやあまみを減らしてしまうので、塩素を抜いた水を使うとよいとされる。

別の言い方をすれば、水道水中の微量の塩素は、緑茶の成分によって中和できる。ちなみに、できたお茶を10倍に希釈してビタミンCを測定したのが以下の写真。硬水のEはお茶の成分が溶け出しにくいと考えられるが、ビタミンCの含有量も他に比べて少なかった。一方で、水道水の塩素と反応しても、FのビタミンC含有量が著しく少なくなるわけではなかった。

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さて、ティーバッグの緑茶も水によってさまざまな差が出ることがわかった。何に価値基準をおいてお茶を楽しむかは人それぞれだろう。ただ、値段の安さという点でペットボトル水と水道水を比べると水道水が圧勝する。さらに、水道水にクーラーポットや水筒に緑茶ティーバッグを入れるだけで、気になる塩素も取り除けるというわけだ。

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提供元:実験!「お茶の味は水で変わるか」その意外な結果|東洋経済オンライン

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