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2022.04.04

GoTo再開前の「ブロック割」驚くほど複雑な中身|市町村が独自に行う割引利用して旅行する手も


Go Toトラベル再開に先駆けて始まる「地域ブロック割」とは?(写真: y.uemura /PIXTA)

Go Toトラベル再開に先駆けて始まる「地域ブロック割」とは?(写真: y.uemura /PIXTA)

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Go Toトラベル再開に先駆けて、2022年4月1日より県民割の利用対象者が拡大し、「地域ブロック割(ブロック割)」となる。その概要はすでに報道されているが、正直わかりづらい。現時点(2022年3月30日)で判明している範囲で「地域ブロック割」がどのようなものか、まとめてみた。

なぜ今「地域ブロック割」?

県民割(地域観光事業支援)は、観光庁の主導により2021年春以降導入されていた制度である。それぞれの都道府県在住者に限って、旅行商品や宿泊料金などの一部を国が補助するというしくみだ。細かな部分は都道府県によって異なるが、共通点は以下のとおりである。

・1人1泊あたり5000円、商品の50%を上限に割引を行う。さらに1泊につき2000円を上限にして土産物屋、飲食店、公共交通機関などで使えるクーポン券を上限2000円で提供する。例えば1万円のホテルに宿泊した場合、5000円割引となり、さらに2000円分のクーポンが付与されるので、トータルで7000円分がお得になる。

・日帰り旅行の場合は、1人あたり5000円、商品の50%を上限に割引を行う。さらに1回の旅行につき、クーポン券を上限2000円で提供する。

観光庁は当初、県民割を隣接県からの旅行も割引対象に拡げたのち、2022年1月以降、地域ブロック内からの旅行も割引の対象とする「地域ブロック割」に移行する予定だった。

だが、まん延防止等重点措置の対象となる都道府県の拡大にともない、隣接県を対象とした割引は一部の県が冬季の短期間実施したにとどまり、「地域ブロック割」は先延ばしとなっていた。

それが2022年3月21日、まん延防止等重点措置が全国で解除されたことにともない、当初の予定から3カ月遅れて導入されることになった。

地域ブロックは次の6つに分類される。

【北海道・東北】北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島
【関東】茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨
【北陸信越・中部】新潟、富山、石川、長野、福井、岐阜、静岡、愛知、三重
【近畿】滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山
【中国・四国】鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知
【九州・沖縄】福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄

(出所)観光庁「県民割支援(地域観光事業支援(需要創出))の運用変更について」(令和4年3月25日)

(出所)観光庁「県民割支援(地域観光事業支援(需要創出))の運用変更について」(令和4年3月25日)

おおむね、地方別に分けられているが、山梨県が関東地方、三重県が北陸信越・中部地方に含まれる点に注意が必要だ。これは、地域ブロックを原則として国土交通省の地方運輸局ごとに分類したことによる。6つのブロック内であれば、お互いの県で旅行をする場合に割引が得られるという原則だ。

導入を見合わせる県も

期間は2022年4月1日以降、当面のところ4月28日宿泊分(29日チェックアウト分)までとなっている。だが、観光庁が地域ブロック割について詳細を発表したのは3月25日ということもあり、準備の整った都道府県から順次開始という形となった。大阪府や愛知県のように、感染状況が落ち着いていないことを理由に当面の導入を見合わせると宣言しているところもある。

また、同じブロック内でも、都道府県民割をほかの都道府県民在住者も対象とする場合、割引を実施する都道府県と在住者の都道府県の間で合意を得る必要がある。例えば、東京都在住者が茨城県でこの制度を使うには、東京都と茨城県の合意が必要になる。この合意が間に合わず、後から追加予定となっているケースが非常に多い。

さらにやっかいなのは、上に挙げたエリア以外にも対象となりうる県があるということだ。例えば次のような例がある。

福島県:「県民割プラス」 新潟県在住者も対象
埼玉県:「旅して!埼玉割」 長野県在住者も対象
福岡県:「福岡の避密の旅」 山口県在住者も対象

これらはいずれもGo Toトラベルで地域共通クーポンを利用する際に定められた隣接県に含まれているが、この隣接県が今回の「地域ブロック割」にすべて含まれているわけでもない。

このように、開始時期や対象となる都道府県など、すべての条件が都道府県ごとに異なっており、それも毎日のように変化する。例えば、神奈川県の「かながわ旅割」は4月6日から販売開始、栃木県の「県民一家族一旅行」は4月11日から再開といった具合だ。

詳細については各県民割のサイトを参照するのが一番確実だが、ブロック内の個々の県民割について確認するのは手間・時間ともにかかる。そこでおすすめなのが、トラベラーズナビ「旅行クーポンサイト」の「県民割 全まとめ」である。

「旅行クーポンサイト」 ※外部サイトに遷移します

本来であれば、観光庁がこうした情報をとりまとめて提供すべきなのだろうが、実際には旅行者が、各都道府県について逐一トラベラーズナビのようなサイトを頼って調べるしかない。このようなわかりづらさが利用するうえで1つのネックとなっている点は否定できない。

3回目ワクチン接種が前提だが…

もう1つの問題は、3回目のワクチン接種を条件とすることの不公平感である。

県内旅行の場合は(知事の判断によって)ワクチン2回接種もしくは陰性の検査結果の提示で割引の対象となる。だが、県外の人が利用する場合は、ワクチン3回接種もしくは陰性の検査証明が必須となる(12歳未満については保護者などの同伴を条件として県内・県外ともに検査不要)。

65歳以上の高齢者こそワクチン3回接種完了者が8割を超えた一方、国民全体では、約4割にとどまっている(2022年3月28日現在)。

このタイミングでの割引となると、「ワクチン3回接種の済んだ高齢者は割引の対象となるが、接種がまだできない若年層は割引を得たくても得られない」という状況が生み出されてしまう。

3回目のワクチン接種が完了していない人は、各都道府県が実施しているPCR等検査無料化事業(2022年6月30日まで抗原検査が無料)などを利用して陰性証明をとることで対処するしかないだろう。

では、ブロック割の対象とならない都道府県民、あるいはブロック外に旅行したい場合、当面はどのようにしたら割引が得られるのだろうか。

1つは各市町村が独自に行っている割引を利用することだ。これらの割引には、居住地のしばりがないものも多い。

例えば北海道では函館市が「はこだて割」を3月22日から再開している(5月31日まで)し、千歳市の「ちとせ割」も3月25日から7月1日が対象となっている。なお、非常に人気の高かった札幌市の「さぁ!サッポロ割」は、2022年7月以降に実施の予定となっている。

北海道・美瑛「四季彩の丘」(写真:kazukiatuko/PIXTA)

北海道・美瑛「四季彩の丘」(写真:kazukiatuko/PIXTA)

期間限定の割引きっぷを使うのも一案だ。例えば、JR北海道が6日間特急も含めて全線乗り放題1万2000円という「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」にも注目したい。

これはJR北海道の主な駅で利用開始前日までに購入するという条件があるが、この手のパスには珍しくゴールデンウィークも対象となっている。利用期間は6月30日までだが、発売数が上限に達した場合、期間中でも販売終了となる。

JR四国全線の特急自由席が3日間乗り放題で1万1000円の「四国アフターDC満喫きっぷ」も4月1日~6月28日のうち、1日以上土・日・祝日を含む3日間なら利用できるのでゴールデンウィークも対象となる。

結局、Go Toトラベルはいつから?

ブロック割ではなく、本家本元のGo Toトラベルがいつから開始されるのか、気になる人は少なくないだろう。

これについては2022年3月18日に行われた和田観光庁長官の会見での質疑応答で、記者からかなり突っ込んだ質問を受けている。だが長官は、感染状況などをふまえて再開を検討するとして、時期については明言を避けている。

いずれにせよ、開始がゴールデンウィーク開けの2022年5月9日以降となるのは確実といえそうだ。なお、Go Toトラベルの予算のうち、約7200億円は2022年度に繰り越しができず、予算規模の縮小によって、期間などが制限される可能性もある。

すでに述べてきたように、「地域ブロック割」は、全体的に制度が複雑でわかりづらい。割引を得ようとするなら、能動的かつまめな情報収集が欠かせないことは確実といえそうだ。

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提供元:GoTo再開前の「ブロック割」驚くほど複雑な中身|東洋経済オンライン

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