2022.01.27
なぜか仕事がスムーズに回る人の「時間」の使い方|すぐ動けない人のため「時間割仕事術」のススメ
高速で仕事をしている人はいったいどんな工夫をしているのでしょうか(写真:BongkarnThanyakij/iStock)
「すぐ行動に移せない」「人に時間を奪われる」……多くの人が時間を無駄にしたことへの悩みを抱きがちだ。そんな人たちに向けて、30年間、起きている時間すべてを時間割に落とし込み、労働時間は半分・収入を数倍にした経営コンサルタント藤井孝一氏が、カンタンかつ画期的な時間管理術を提案。藤井氏の著書『すぐ動けない人のための時間割仕事術』から一部を抜粋・再構成して、高速で仕事をしている人から学ぶ生産性を上げるコツについてお届けする。
『すぐ動けない人のための時間割仕事術』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
面倒くさがりやさんでもできる!
「好きなことを、好きな人と、好きなときに、好きな場所で、好きなだけ」やって、自由な人生を送りたい。誰でも一度は夢見る人生です。そのために必要なのは、いつ・何をするのかを事前に決めること。すなわち時間割づくりです。でもその時間割すら、つくるのが面倒くさいという、〝筋金入り〞の怠け者がいるのも事実です。
そういう人でも無理なくできる時間割づくりをお教えしましょう。まずは紙を1枚用意して「やるべきこと」を書き出してください。
白い紙に、とりあえず書く。すべて書く。それだけ。
顧問先の会社にも、仕事にとりかかるのが遅く、いつもグズグズしている若手社員がいました。どうやら、やることがあまりにも多く感じられて、どこから手をつけていいのかわからず、テンパッているようでした。
そこで、A4の白いコピー用紙を1枚用意して、「優先順位も所要時間もやり方も、何も考えなくていいから、とにかくやらなきゃいけないことをここに箇条書きで全部書き出してみて」と指示を出しました。
書き出すだけの作業は簡単で、半ば自動的にできます。書き出してみると、いったん気持ちが落ち着きます。箇条書きを眺めると、優先順位や手順がわかります。その作業をきっかけにすぐ仕事にとりかかれるようになりました。そして終わったものは線を引いて消すようにしました。こうするだけで彼は、仕事をため込むことがなくなったといいます。
なお、参考までに言っておくと、パソコンやスマホで書くより、紙に書いたほうがいいと思います。いろいろな誘惑があって、怠け者はついネット検索をしたり、SNSを見たりしがちです。紙とペンだけ用意して、ひたすら書くほうが集中できます。
箇条書きにしてみると、意外とやることが多くないとわかります。もちろん、書き出してみたら、やることがものすごく多くてげんなりする場合もあるでしょう。でもとにかく書き出せば、ごちゃごちゃしていた頭がスッキリして、それだけでストレスが解消できます。書き出すという仕事が一つ終わるので、達成感も得られます。
そして書いてみたものをざっくり眺めてみてください。すると「今やらなくてもいいこと」とか「人に頼めそうなこと」とか「そもそもやらなくていいかも」ということが出てきます。そういうものに○をつけたり、×をつけたり、( )に入れたりして、振り分けていきます。要は「NOT TO DO」リストをつくるわけです。
すると、どうしても「今やらなければいけないこと」だけが残ります。まずはそれだけやればいいのです。
終わったら、線で消していきます。それだけで少しスッキリして、やる気が出てきませんか?
人は「何となく忙しい」とか、「やらなきゃいけないけど、やる気にならない」などとばくぜんと思っているときがいちばん不安で、ストレスがたまります。お化けと一緒ですね。実体はよくわからないけれど、何となくこわいと思っているからこわいだけ。実はお化けの正体はススキの穂なんだよ、と実体がわかれば、それほどこわくないし、対策も立てられます。
「やること」「やらなくていいこと」を書き出すことによって、「やること」の実体が〝見える化〞できるので、はじめの一歩が踏み出せます。
「ざっくり時間割」を前日の夜か当日につくる
「やるべきこと」が整理されたら、それを「どれくらい時間をかけてやるのか」「いつやるのか」考えます。そしてそれを紙に書き出していきます。これだけで「ざっくりした時間割」の出来上がりです。本当は時間割は1週間単位でつくるのですが、慣れないうちは1週間分をつくるのはけっこうたいへんかもしれません。
そこでまずは明日(あるいは今日)どうやって時間をすごすのか、1日の計画を立てて紙に落とし込んでみるのです。就業時間が9時から17時までなら、その間の8時間だけでいいので、まずはやるべきことを書き出してみましょう。これが時間割の第一歩です。
下図くらいの簡単なものでかまいません。翌日は、「ざっくり時間割」にそった行動をしてみます。
(図)『すぐ動けない人のための時間割仕事術』
当然、そのとおりにできないこともあります。私の場合はなぜできなかったのか、横に書き出して反省し、次の日に生かすようにしています。面倒くさければ、そこまでしなくてもかまいません。でも、ふり返りをすることは大事です。
家計簿でもただ出費を記録するだけでは何の意味もありません。最初に出費の見積もりを立てた上で、何にお金を使ったか、検証し、先月と比較するなど、ふり返りをするから、ムダづかいがなくなり、お金が貯まるのです。
「ざっくり時間割」をつくるだけでなく、実際に何ができて、何ができなかったか、ふり返りをして、自分の実情に合わせた微調整をしていくことが大事です。
面倒くさがりやの人や計画がうまく立てられない人でも、「ざっくり時間割」をつくっておくだけで、心の安定になります。
時間をまったく意識していなかったときより、ダラダラする時間が確実に減ってくるでしょう。
「ざっくり時間割」づくりの〝落とし穴〞でよくあるのは、優先順位を間違えて、重要なことをやる時間を取っていないことです。目の前のことしか見えなくなるとありがちですが、あまり重要ではないことに、時間をかけて取り組んでしまい、肝心の重要なことに取り組む時間が残っていないことが往々にしてあります。
そうした事態を防ぐために、列挙した「やるべきこと」を「緊急性」と「重要性」で分けていきます。その分類にそって、優先順位を決めていきましょう。
おすすめなのは座標軸を使ったマトリックスをつくることです。これはスティーブン・R・コヴィー氏が考案したタスク管理法です。横軸は「緊急度」、縦軸は「重要度」に定めて、それぞれの「やるべきこと」をマトリックスに入れていきます。
特に、集中力などを必要とする仕事の場合は、他の仕事に邪魔されず、しっかり集中して取り組める時間を確保してください。そして、最優先すべき仕事は期限までに必ずやり切ります。
こうすることで、期限に間に合わせようと徹夜をしたり、期限ぎりぎりになってやっつけでつくったものを提出したり、まったく着手できずに信用を失ったり、期日に間に合わなくなるリスクを防げるのです。
なお、優先順位について、補足しておくと、「重要かつ緊急なこと」を最優先でやるのはそのとおりですが、「重要かつ緊急」でなくても、2分以内で終わるような細かい仕事は即座にやってしまうことです。
例えば、メールに簡単な返事を書く、回覧に判子を押して回す、机上の整理など、重要ではないけれど、瞬時に片付くことはやってしまいます。そうすることで「重要かつ緊急なこと」にじっくり落ち着いて取り組めます。
必ず「バッファ」をつくる
生産性が低い人の特徴は、いつも時間に追われていて、余裕がないことです。そうならないためには、余裕を持った時間割づくりが重要です。
『すぐ動けない人のための時間割仕事術』(朝日新聞出版) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
例えば、「企画会議のプレゼンの資料づくり」のうち「PCでテキストを作成する」という作業を60分使って処理する予定を立てていたとします。
ところが、急に重要なお客さんとのアポが取れて、出かけなければならなくなったとします。その場合当然時間割を修正しなければならなくなります。
しかし、キチキチに予定を詰め込んでいると、仕事を動かす先が見つかりません。そういうときのために、だいたい1〜2割くらいは時間にバッファ(余裕)を持たせて時間割をつくっておくことです。
また「ものすごく頑張ったら60分で終わりそうだな」と判断した場合、ギリギリ60分でなく、90分の時間割にしておきます。
そうやって時間割にも遊水池のようにバッファを持たせておけば、洪水になって家に水が浸水しそうになっても、遊水池で吸収することができます。
【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します
提供元:なぜか仕事がスムーズに回る人の「時間」の使い方|東洋経済オンライン