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2021.10.15

地味にイラつく「銀行ATMの使い勝手」を検証する|「UI・UX」が大事と言われる時代に考える


ATMが使いやすい銀行といまいち使いにくい銀行がある? ATMは銀行ごとに特徴があるのです(写真:yu_photo/PIXTA)

ATMが使いやすい銀行といまいち使いにくい銀行がある? ATMは銀行ごとに特徴があるのです(写真:yu_photo/PIXTA)

「UI/UX(ユーアイ/ユーエックス)」という用語をよく耳にするようになった。UI=ユーザーインターフェイスは顧客との接点とでもいうか、アプリやECサイトならばユーザーが目にするデザインやレイアウト、操作性などを指す。UX=ユーザーエクスペリエンスのほうはユーザー体験を意味し、アプリを使ったときの快適さや確実性がよければ顧客満足度が上がり、高評価となるだろう。

これらが優れていると顧客から支持され、ダメダメなら「なんだか使いにくい……」と離れていくため、「UI/UX」は大事ですよと言われる。

それをしみじみ実感させられるモノが、すぐ身近にある。銀行のATMだ。

入金・出金というシンプルな作業だけでも、3メガバンクのATMは微妙に違う。スムーズに操作が進むものもあれば、妙にイラつくものもある。どこまでユーザー目線に立っているのか、メガバンクATMの「UI/UX」を検証してみたい。

※比較したATMはコンビニ設置タイプではなく、支店内のもの。またATM機種も入れ替えがあり、設置されているタイプによって使用感が異なることもあります。

確かに親切だが、ややくどい…

最もATMを利用するシーンは現金の引き出しだろう。まずキャッシュカードを入れ、あればついでに通帳も入れ、それから暗証番号を押す。この動作はどの銀行も同じだが、みずほ銀行だけは、もうひと工程がある。カードを入れ、さて暗証番号入力……の前に、「今の時間は手数料が無料です」という画面がいちいち出るのだ。それを確認した(画面上では「次へ」を押す)後でないと、先に進めない。

筆者は時間内にしかお金を下さないため、「今の時間は手数料がかかります」という画面を拝んだことはないが、時間外に下ろそうとすると、こうして注意喚起をしてくれるのだろう。しかし、この念押し画面を他のメガATMではまだ見たことがない。

親切と言えば親切だが、よそと同じペースでやろうとすると躓く。いちいち鬱陶しいなとも感じる。利用者に親切すぎるのか、それとも文句を言われたくないのか。あるいは、オレオレ詐欺対策として、入力までにひと手間の時間をかけているのか。どんな理由かはわからないが、きっとみずほなりのこだわりがあるのだろう。

とにかくせっかちすぎるATM

みずほと三井住友銀行のATMは、まずカードを入れる。次の画面に変わってから、あれば通帳を、そして暗証番号の入力へ、という流れになっている。しかし、三菱UFJ銀行はせっかちだ。最初の画面で、あるなら通帳もカードも一度に入れろとせかす。さらに、現金が出てくる最後の工程でも、三菱は他行とは大きな違いがある。

みずほATMは、最初にキャッシュカードが戻り、次に引き出した現金が出、最後に通帳が戻るという順番で、ひとつひとつがバラバラに出てくる。三井住友ATMは、やはり最初にキャッシュカード、次に現金と通帳が同時に出る。

しかし、三菱は容赦ない。カード、通帳、現金が3つ一度にATMから出てきて、同時にピーピー音が鳴る。カードも現金も通帳も、速やかにすべて取り出さないと音がやまない。これがなかなか焦るのだ。どんなに瞬発力が高いアスリートでも、カードと現金を財布の別の場所にそれぞれしまい、通帳はカバンにしまい……という3つのアクションを同時に行うことは至難の業だろう。まずカードを戻し、それをしまってから現金を出してくれるというズラシの気遣いはないものだろうか。

スピード重視なのかもしれないが、三菱ATMはちょっとせっかちすぎる。この「全部入れ・全部戻し」が彼らの信条なのだろうか。「いっぺんに戻さないで、もう少し時間をください」と、いつも機械に言いたくなる。UXで語るなら、不器用な人への優しさがほしい。もし、この先ATMを新機種に変更するときは、せめて「全部戻し」は一考してくれると個人的にとても嬉しいのだが……。

キャッシュカードなしでも引き出せるATM

3メガではないが、全国の郵便局に設置されているゆうちょ銀行のATMも、ついでに見ておこう。操作性はほかの銀行とあまり変わらないが、他行ATMにはない機能がある。それはキャッシュカードがなくても現金が下せるというもの。通帳があればいいのだ。

手順では、最初に通帳を入れ、キャッシュカードと同じ暗証番号を入力すると出金できる。キャッシュカードを持ち歩かず、たまたま通帳だけ持って銀行に行くとの状況は考えにくいが、記帳のついでに下ろしたくなった――なんてときのために覚えておくといい(ただし、コンビニや駅ナカなどに設置されている通帳読み取り機能がないATMではできない)。

しかし、褒めている場合でもない。手数料改定が相次ぐメガバンクと比べ、これまで無風だったゆうちょ銀だが、来年1月にギョッとするような新料金をスタートさせると発表した。「ATM 硬貨預払料金」である。

ゆうちょ ATM で、硬貨を伴う入出金をすると、手数料がかかるという。出金(払い戻し)では1枚以上は110円、入金(預け入れ)では1~25枚が110円、26~50枚が220円、51~100枚が330円もかかるという(取り扱いは1回につき最大100枚まで)。2022年1月17日(月)から始まるというから、小銭を入金したい人はそれまでに済ませたほうがいい。

加えて、硬貨の取り扱い時間も変わる。現在は平日なら7時から21時までOKだったのが、18時までとなる。土日祝日については、9時から18時まで扱いがあったのが、なんと時間問わず取り扱い不可に。なかなか容赦なき変更だ。

それだけ小銭の扱いにはコストや手間がかかるということか。あるいは、コンビニや駅ナカATMではそもそも硬貨の取り扱いはできなかったので、同じスタイルのATMにそろえていこうとの考えだろうか。

となると気になるのは、他行の動きだ。ゆうちょがやるなら、右へ倣えでウチも硬貨の入出金手数料を新設するぞとなってもおかしくない。近い将来、どこの銀行でも硬貨の取り扱いが有料になる日が来るのか。筆者は、小銭で財布が重くなると銀行ATMに全部突っ込んで入金し、再度まとまった金額単位で引き出したりしたものだが、そういう小ワザは使えなくなりそうだ。

「もっと入金しませんか?」と誘うATM

近所に銀行の支店なんかない、もっぱらコンビニで下すという人は多いだろう。なかでも、台数も提携銀行数も断トツで多いのはセブン銀行ATMだ。もはや自行ATM自体をやめ、セブンに切り替えた新生銀行のようなところまである。

銀行の入出金だけでなく、スマホ決済や電子マネーの現金チャージもと、できる機能が多岐にわたるため、残念ながら取引までの工程は多くなる。筆者がコンビニATMを使うのは、引き出しではなく入金が多いのだが、いつも「これ、いるの?」と感じる画面がひとつある。

入金のために紙幣をATMに入れると、お札を回収して入金額を表示した後、普通なら「確認」とか「次へ」といった表示が出るが、セブンATMは、その際にもう一度、紙幣の投入口を開けてくる。追加の入金があれば入れてくださいと、必ず言われる。

いえいえ、いいです、これ以上お金ないですと確認ボタンを押して次に進むのだが、なんで毎回念押しされるのだろう。そんなに追加で入金したい客ばかりが集まっているのか。さすがに、「追加でもっと引き出しませんか?」とは聞かれないので、提携銀行へのサービスとしてお金を集めることに熱心なのかもしれない。

利用者が接するATMにはこのように細かな違いがあり、人によって「面倒だな」「改善してほしい」と感じる部分は異なるかもしれない。しかし、現金の出し入れは、利用者にとってもセンシティブな瞬間だ。高齢者が使うケースも多いだろうし、金融詐欺の現場にもなりかねない。使いやすく、戸惑わせない、しかしおせっかいにならずにスムーズに手続きできるATMの「UI/UX」とはどうあるべきか。そんな議論も、ぜひ現場でしてもらいたい。

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提供元:地味にイラつく「銀行ATMの使い勝手」を検証する|東洋経済オンライン

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