メニュー閉じる

リンククロス シル

リンククロス シルロゴ

2021.09.02

「外出自粛の長期化」が日本人に招く3大弊害|夜眠れない人ほど「コロナ感染リスクが高い」訳


長期の外出自粛は、私たちにどんな悪影響を及ぼすのでしょうか?(写真:mits /PIXTA)

長期の外出自粛は、私たちにどんな悪影響を及ぼすのでしょうか?(写真:mits /PIXTA)

東京オリンピックは無事終了したものの、感染力が強い新型コロナウイルスのデルタ株が猛威をふるい、五輪開催中にコロナ患者数は爆発的に増え、患者数は過去最多を記録しました。

本稿執筆時、東京、大阪など緊急事態宣言は9月12日までの予定ですが、今後、患者数が急に減少するとも考えづらい。飲食店の営業時間、酒類の提供などの制限、会食、旅行、外出の自粛は、今後もしばらくは続くと考えたほうが良さそうです。

外出するな、人と会うな。結果として、家に「巣ごもり」するしかありません。しかし巣ごもりしていれば、「健康の不安」はなくなるかというと、私はむしろ逆だと考えます。多くの人は「巣ごもりしていれば、コロナ感染の心配は減らせる」と考えているでしょうが、残念ながらそれは間違いであることを科学は証明しています。

「巣ごもりの長期化」がもたらす弊害について、最新のデータを元に考えてみましょう。

弊害その1:運動不足でコロナ死亡率が倍に

運動不足の人は免疫力が低下する。これは、昔から言われてきたことです。しかし、新型コロナウイルスに対しては、実際にどうかという検証、研究はありませんでした。

なにしろコロナのパンデミックが起きたのは、2020年の春のこと。そこから1年以上が経ち、ようやく運動不足とコロナウイルスの深刻な関連を示す論文が出てきたので紹介します。

『英国スポーツ医学ジャーナル』誌に掲載された運動量とコロナ感染についての研究によると、運動不足群(週10分以下の運動)は活動群(週150分以上の運動)に比べ、入院率は2倍以上、ICU使用率は1.73倍、死亡率は2.49倍になりました。さらに、運動不足群は、基礎疾患(糖尿病、高血圧、心臓血管疾患、がん)や喫煙、肥満よりも、死亡リスクが高くなったのです。

糖尿病や喫煙が、コロナの重症化リスクや死亡リスクを高めることは、すでにご存じの方も多いでしょう。しかし本研究では、「運動不足」がそれらの既存の危険因子を上回る重要な要因であることを示したのです。

運動不足は、コロナの重症化リスクや死亡リスクを高める。では、しっかり運動すれば、コロナのリスクを減らせるのか?

韓国の76395人を対象とした大規模な追跡研究では、有酸素運動と筋トレの両方を含む身体活動が、新型コロナウイルスの感染、重症化、死亡リスクの大幅な低下につながったという結果が報告されました。定期的な運動によって、コロナ感染の予防、重症化、死亡率低下に役立つ可能性が示されたのです。

「1日20分の運動で平均寿命が5歳伸びる」という研究があるように、運動は健康にものすごく役立ちます。逆に運動不足は、生活習慣病や認知症やうつ病、自殺などのメンタル疾患のリスクを高めます。そしてコロナにおいても、運動不足は重症化リスク、死亡リスクの増加につながるわけです。

「巣ごもりしているから安心」というのは、大間違い。むしろ巣ごもりによる「運動不足」で、コロナの危険を増やしているかもしれません。

運動不足は1日20分の散歩でも補えますので、ぜひ「毎日歩く習慣」を続けてみてください。特に通勤時間に相当する朝の散歩はセロトニンの活性化、体内時計のリセットなど、1日のリズムを作るうえでも重要です。

弊害その2:睡眠不足でコロナ感染リスクが上昇

コロナ禍によって、外出や会食・宴会の自粛、帰省の自粛、友達にも会えないなど、不自由な状況が続いています。また、感染拡大や先行き不安など、コロナにまつわるさまざまなストレスから睡眠障害に陥る人たちが増えており、それは「コロナ不眠」とも言われています。

ウーマンウェルネス研究会によるコロナ禍の睡眠の調査(882人)によると、感染拡大後に「睡眠の質がとても悪くなった」と「やや悪くなった」と回答した人は、合わせて22.3%、5人に1人。さらに、「以前と変わらず悪い」(40.9%)を加えると、なんと63.2%が「睡眠の質が悪い」と感じていることがわかりました。3人に2人が、睡眠の質が悪いと感じているのです。

睡眠不足が生活習慣病やメンタル疾患のリスクを高めることをご存じの方も多いでしょうが、コロナ感染においても、睡眠不足は危険因子となることが示唆されています。

アメリカ、イギリスなど6カ国の医療従事者3000人を対象に行われた研究によると、睡眠時間が1時間増えるごとに、感染確率は12%低下しました。

西野精治氏(スタンフォード大学教授)らによる、睡眠の質とコロナウイルス感染の関係を調べた調査(対象10000人)によると、睡眠の質の指標となる「睡眠偏差値」は対照群の50.2に対して、「新型コロナウイルスの疑いによりホテル療養を行った人」は36.2と有意な「睡眠の質」の低下が認められました。また、ホテル療養者の42%に「睡眠時無呼吸症候群の疑い」の所見が認められました。

以上の研究・調査から、睡眠の質が免疫力を低下させ、コロナ感染のリスクを高める可能性が示唆されています。

弊害その3:睡眠不足の人はワクチン効果が激減

睡眠不足の弊害はまだあります。

最近は日本でも新型コロナワクチン接種が進んでいますが、睡眠とワクチンは極めて重要な関係があります。

インフルエンザワクチンの研究において、「4時間睡眠群」と「8時間睡眠群」とで、ワクチン摂取後の抗体価の上昇を調べたところ、「8時間睡眠群」では十分な抗体価の上昇を認めたものの、「4時間睡眠群」では免疫反応は非常に弱く「8時間睡眠群」の約50%にとどまりました。

睡眠時間が足りていない人は、ワクチンを打っても抗体価が上がらない。つまり、十分な免疫力を獲得できないということ。A型肝炎やB型肝炎のワクチン接種でも同様の研究があります。

世界的に権威のある『ランセット』の呼吸医学版に、2021年3月に掲載された総説でも、「睡眠不足は新型コロナウイルスのワクチン接種における効果を低減する」可能性が示唆されています。

つまり、睡眠不足の状態でワクチンを打っても、免疫力が獲得できず、無駄ということになりかねないのです。これからワクチン接種する人は、ワクチンの接種前、そして接種後も、十分な睡眠時間を取ることをおすすめします。

大事なのはやっぱり「運動」と「睡眠」

コロナ感染の予防、対策は、「ワクチン接種しかない!」と言われます。一方で「副反応が心配なのでワクチン接種したくない」という人もいます。私はワクチンを接種する、しないにかかわらず、まずすべきことがあると思います。

それが、最低限の運動(週150分の運動、1日20分)と十分な睡眠(1日7時間以上)の2つです。「コロナが怖い」と思う人ほど、「運動」と「睡眠」を整えることに、真剣に取り組んでいただきたいと思います。

【参考・引用文献】
1) Physical inactivity is associated with a higher risk for severe COVID-19 outcomes: a study in 48 440 adult patients .Sallis R, et al. British Journal of Sports Medicine, 2021.
2) Physical activity and the risk of SARS-CoV-2 infection, severe COVID-19 illness and COVID-19 related mortality in South Korea: a nationwide cohort study
Seung Won Lee et al., British Journal of Sports Medicine, 2021.
3)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000046684.html
4) Could a good night's sleep improve COVID-19 vaccine efficacy? Benedict C,Cedernaes J, Lancet Respir. Med., 2021

記事画像

【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

うつが「すぐ治る人」「重症化する人」の決定的差

デルタ株対策「やっていいこと」と「ダメなこと」

6時間睡眠の人ほど「体調不良に陥る」納得理由

提供元:「外出自粛の長期化」が日本人に招く3大弊害|東洋経済オンライン

おすすめコンテンツ

関連記事

医師が提案!疲労困憊な肝臓を「いたわる食べ方」|糖質ゼロを避け、空腹で脂肪肝を減らしていく

医師が提案!疲労困憊な肝臓を「いたわる食べ方」|糖質ゼロを避け、空腹で脂肪肝を減らしていく

【管理栄養士が解説!】入眠時刻が健康に関連!?良質な睡眠をとるためには

【管理栄養士が解説!】入眠時刻が健康に関連!?良質な睡眠をとるためには

【最新文献から学ぶ!】肉を食べない人は骨折のリスクが高まる?

【最新文献から学ぶ!】肉を食べない人は骨折のリスクが高まる?

「五月病」を撃退するツボと養生、漢方薬の活用術|季節の変わり目は「気」と「胃腸」に注意を払おう

「五月病」を撃退するツボと養生、漢方薬の活用術|季節の変わり目は「気」と「胃腸」に注意を払おう

戻る