2021.08.11
ダイエット失敗者が知らない「食欲止まらない訳」|味覚が「鈍感」だと食べても満足感が得られない
ダイエットが続かないのは味覚に原因があるのかもしれません(写真:freeangle/PIXTA)
極端な糖質制限ダイエットやハードな運動によるダイエット、世の中にはさまざまなダイエット法があふれている。ところが、こうした精神的、肉体的に負担がかかるダイエットは続けにくいうえに、根本的な解決にはならないという。「やせても不健康になってしまっては意味がない」と言う『「デブ味覚」リセットで10日で-3kg!レモン水うがいダイエット』を上梓した歯科医師・宮本日出氏に、健康的にやせる方法について解説してもらった。
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太った人は「デブ味覚」になっている?
「食べるのを我慢するのがつらい」
「甘いものを食べたり、辛いものを食べたりを繰り返してしまう」
ダイエット経験のある人なら、こうした食欲を抑えるむずかしさを実感しているでしょう。食欲を抑えるのが難しくなってしまっているのには、大きな理由があります。それは、味覚が鈍感になっているからです。
肥満の人は4つの「基本味覚」(苦味・酸味・塩見・甘味)のすべてが鈍感になり、標準体型の人とは異なった味覚、いわゆる「デブ味覚」になっているとされています。
オーストラリアで行われた味覚と肥満にかんする研究によると、BMI(肥満度を表す指標)が25以上の肥満の人と標準体重以下の人を比べたところ、25以上のグループのほうが味覚が鈍感だったという結果が出ています。
さらに、4つの基本味覚が鈍感になると、「脂肪味」という味覚も鈍くなります。「脂肪味」とは、文字どおり、脂肪の味を感じる味覚のことです。「脂肪味」は必要な栄養素を調整して健康を維持するために不可欠な感覚ですが、この脂肪味に鈍感な人ほど、肥満傾向にあることも研究でわかっています。
こうした「デブ味覚」になると、濃い味の食べ物、脂肪の多い食べ物を好むようになり、どんどん太っていきます。たくさん食べても満足感が得られず、満足するまで必要以上のエネルギーを摂取してしまうため、なかなかやせることができないというわけです。
しかし、この「デブ味覚」さえ元の健康的な味覚に戻せば、ハードな運動や過度な食事制限をしなくても、食生活そのものが変わり、体は自然にやせていくのです。
苦味成分が「デブ味覚」を「ヤセ味覚」に変える
「デブ味覚」を「ヤセ味覚」に変えるためには、まず、舌の味蕾細胞の「苦味」を感じる機能を取り戻す必要があります。舌で苦味を感じることができれば、「苦味」がストッパーの役割を果たし、甘味を感じる機能が弱くなり、食欲が抑制されるからです。どういうことかご説明しましょう。
4つの基本味覚にはそれぞれ敏感さに差があり、なかでももっとも感じやすいのが「苦味」です。多くの毒物に苦味成分が含まれていますが、体には「苦味を感じるもの=有害物」と無意識のうちに察知し、“危険のシグナル”として避けようとする本能が強く備わっています。そのため、「苦味」は食欲を抑える効果があるのです。
舌が「苦味」を感じると、キャッチされた苦味成分は信号化され、脳の視床下部へと情報伝達されます。視床下部には食欲を調整する神経が2つあります。1つは食欲を高める神経であるアグーチ関連ペプチド産生神経(AgRP神経)、もう1つは食欲を抑える神経であるプロオピオメラノコルチン産生神経(POMC神経)です。
「苦味」の信号はこのプロオピオメラノコルチン産生神経に伝達され、甘味を感じる機能が弱くなり、食欲が落ち、少しの食事で満足できるようになります。その後少しずつ、 脂肪味の少ない健康的なあっさりした味の食事を好むようになっていきます。
苦味成分を取り入れるのであれば、ピーマン、ブロッコリー、ゴーヤ、銀杏、山菜、ミョウガ、パクチー、渋柿、ケールなどの苦味成分を含む食材をとるのもいいですが、ダイエットとして日常的にとりいれるのであれば「レモン水」でのうがいが簡単でおすすめです。
医療現場では、味覚障害の患者に対して味蕾細胞を刺激する目的で、臨床実績が豊富な「レモン水」でのうがいが行われており、レモンには唾液分泌を促すだけでなく、味蕾細胞の働きを回復させる効果があることが知られています。
私はもともとお酒を飲むことと食べることが大好きで、毎晩、麻婆豆腐や焼きそばなど、こってりしたものを含む4〜5種類の酒のさかなを作って完食していました。
ところが、「レモン水うがい」を始めてからというもの、食の好みが変わり、こってりした食べ物よりも、だしの味や旨味を感じる食べ物を好むようになり、料理も薄味のものをほんのちょっと食べるだけで満足できるようになりました。79.8㎏あった体重も1週間で2.4㎏減って、その後もじわじわと減り続け、3カ月で11.3㎏も減りました。
体重が減らないのは胆汁の分泌不足が原因?
ダイエットをしていても一向に体重が減らない場合、胆汁の分泌不足が原因になっていることもあります。 肥満の人はやせた人に比べて胆汁の分泌が少ないため、「余分な脂肪」が体に溜まりがちです。 胆汁の分泌を改善すれば胆汁がじゅうぶんに分泌され、代謝が大幅に回復します。
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そしてこの胆汁の分泌を促進させるのが「苦味」です。苦味が刺激となって、肝臓から胆汁がよく分泌されるようになります。研究によると、苦い食材を食べて苦味成分を体内に入れなくても、舌で「苦味」を味わうだけでも胆汁の分泌促進効果があります。
ダイエットは単に体重を落とすのが目的になっていてはいけません。やせても不健康になってしまっては意味がないからです。まずは、自分がやりやすい方法で乱れた食生活をもとの食生活に戻し、ムリせず少しずつ健康な体型に近づけていくことが大切です。
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提供元:ダイエット失敗者が知らない「食欲止まらない訳」|東洋経済オンライン