2021.07.21
1日に何g「糖質」をとってもいいのか計算する方法|自分にとって「最適な量」を知っておくことが肝
1日に必要な摂取エネルギーの計算方法と、「糖質」と血糖値の上がり方の仕組みを紹介(写真:kai/PIXTA)
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人生100年時代を生き抜くために、血糖コントロールは不可欠です。しかし、血糖値が高いとなぜ体に悪いの? そもそも血糖値ってなんだかわからない! そんな疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
新著『そもそも血糖値ってなんですか?』では血糖の働きについて、わかりやすく解説されています。
本稿では、同書より一部を抜粋しお届けします。
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ごはんはきちんと計量する
主食としてとる炭水化物(糖質)は、ごはん、パン、麺などいろいろありますが、肥満や高血糖の人が選ぶなら、ごはんに勝るものはありません。
その理由は、糖質の種類の違いにあります。ごはんは多糖類のため消化・吸収がゆっくりで、血糖値が上がりにくく、また下がるときもゆっくり下がるのが特徴です。
そして、ごはんにはビタミン、ミネラル、アミノ酸なども含まれていて、同じエネルギーのパンよりも満腹感が得られます。さらに、温かいごはんを冷やすと、米のデンプン質が消化しにくい「レジスタントスターチ」に変わるため、エネルギー制限にもつながります。
〈ごはんを主食にするメリットは……〉
(1)消化・吸収がゆっくりで血糖値の上昇を防ぐ
(2)ほかの主食とくらべると満腹感を得やすく、低エネルギー
(3)すばやく吸収され、脳の栄養源として使われる
(4)おかずといっしょに食べるため、栄養のバランスがとりやすい
ごはんをとりすぎると血糖値は上昇しすぎますが、極端に量を減らすのは考えものです。主食を減らした分、肉を多くとってしまいがちになるためです。食後血糖値の急上昇を抑える食物繊維をとることも重要です。主食を単純に減らすよりも、栄養のバランスがとれた食事を「腹八分目」まで食べるのが、血糖値の改善のためには有効です。
では、具体的にはどのぐらいの量が適量なのでしょうか?
まず、自分に最適なエネルギー摂取量を算出します。
注)糖尿病の人は血糖値、合併症の有無なども考慮して、指示エネルギーが決められます。上記の計算式は目安ですので、糖尿病と診断された人は医師の指導に従ってください。
それをもとに、1日にとる糖質量の目安を計算します。糖質量は3大エネルギーの比率(PFCバランス)で求められます。
炭水化物(糖質):55〜60%
たんぱく質:15~20%
脂質:20~25%
例)
適正エネルギー量が1920kcalの人の場合:糖質55%で算出すると
→1920×0.55=1056kcal
糖質のエネルギーは1gで4kcalですから、
1056÷4=264g
→これが糖質量の目安です。
なお、糖質の摂取目安量は調味料などを含む全体量である点には注意が必要です。
1日にとる糖質量の目安がわかったら、自分に適した主食の量を設定し、きちんと計量して毎日、一定量とるようにします。
ふだん使っている茶碗によそってみて、その量を見て覚えておくと、適量を守りやすくなります。適当にごはん茶碗に盛っていると、気づかないうちについ食べすぎてしまいます。慣れるまでは計量をする、その後も、1カ月に1回くらいは計量して、目分量が正しいかどうかを確認するとよいでしょう。
白米より胚芽米や雑穀米を
血糖値をコントロールするカギとなるのが、ごはん、パンといった主食のとり方。糖質を抑えるポイントを知っておきましょう。その1つが「白より茶色」の法則。ごはんなら、白米よりも玄米や胚芽米といった色のついたものを選ぶというものです。
玄米や胚芽米といった精製度の低い米や雑穀を選ぶと、食物繊維が豊富で、かみごたえがあるので満足感がアップします。また、糖質を含む食品の中には、食後血糖値の上がり幅が大きいものと、小さいものがあります。食後血糖値の上がり幅は、GI(グリセミック・インデックス)という指標で示され、食後血糖値の上がり幅が大きいものは高GI食品、小さいものは低GI食品と呼ばれています。白米は高GI食品で、玄米や雑穀など、精製度の低い食品は低GI食品。白米より玄米のほうが、血糖値の上がり方がゆるやかです。
ただ、これはあくまでも同量でくらべる前提です。玄米のほうが、血糖値が上がりにくいからといってごはん茶碗に2杯食べてしまえば、逆効果になってしまいます。ほどほどに、そしてバランスよく食べることです。
ここで、糖質の特徴についてふれておきましょう。炭水化物は糖質と食物繊維で成り立っています。そのうち糖質には「糖類」が多く含まれ、その構造から大きく単糖類、二糖類、多糖類に分類されます。
単糖類は甘みがあってよく水に溶けるのが特徴。代表格はブドウ糖。人間の脳はこのブドウ糖をエネルギーにしています。料理に使う砂糖に含まれるショ糖や牛乳に含まれる乳糖は二糖類のグループです。そして、多糖類のデンプン。穀類、いも類、豆類などに含まれています。結合が複雑になるほど、消化吸収に時間がかかるため血糖値は上がりにくく、腹もちのよさにつながります。
たんぱく源は卵、納豆、さば缶で
忙しい朝の食事は「一汁一菜」のように、手軽に作れるものがいちばん。ごはんで糖質を、野菜スープでビタミン・ミネラル・食物繊維をとることができるので、あとは卵や乳製品などでたんぱく質をとります。
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たんぱく質は筋肉をつくる栄養素。たんぱく質が不足すると筋力低下につながります。とくに高齢期は、そしゃく力や運動量の低下などから食事量が減りがちで低栄養になりやすく、骨や筋肉が弱くなります。
シニア世代になると、手軽で安価なたんぱく源を大豆に頼って、調理に手間がかかる肉や魚を敬遠する人もいます。しかし、植物性のたんぱく質だけに頼ると、体内でのアミノ酸バランスが悪くなり、結果として、たんぱく合成や代謝が低下し、栄養を十分にとることができません。これが、肉や魚といった動物性のたんぱく質をしっかりとることの重要性です。
たんぱく質は1回の食事で吸収できる量に限りがあり、まとめてとることができません。夕食でドカ食いするというような食べ方はせず、3度の食事でバランスよくとることができれば理想的です。
朝食にたんぱく質を手軽にとる方法としては、コップ1杯の牛乳やヨーグルトやチーズなどの乳製品をとること。牛乳は、食後の血糖値の急上昇を防ぐ作用もあります。卵も朝食向きの食品です。
卵焼き、スクランブルエッグ、目玉焼き、温泉卵など手軽に作れるレシピが多く、重宝します。魚は市販のさば缶やツナ缶などを、肉は蒸し鶏にしてストックしておけば活用の幅が広がります。
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提供元:1日に何g「糖質」をとってもいいのか計算する方法|東洋経済オンライン