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2021.07.15

日本がコロナの「マイナス影響」最も受けない根拠|10年後には世界のリーダーになっている可能性


コロナ禍を経て、10年後の日本はどうなっているのか。少なくとも2つの大きな変化があると著者は予測する(写真:J6HQL/PIXTA)

コロナ禍を経て、10年後の日本はどうなっているのか。少なくとも2つの大きな変化があると著者は予測する(写真:J6HQL/PIXTA)

2030年には、世界規模で人口構成・産業・テクノロジーに大きな変化が訪れると言われている。特に人口構成については、高齢化と人口減少は世界的な傾向であり、各国は労働力不足に悩まされることが予想される。日本は世界に先駆けて高齢社会の道を歩んでいるが、さらにその先の10年後にはどのような未来が待ち受けているのだろうか。

ビジネスの名門、ウォートン・スクール教授であるマウロ・ギレン氏は、著書『2030:世界の大変化を「水平思考」で展望する』の中で、高齢社会だからこそ実現できる新たな働き方や経済形態があると説く。そこには日本経済復活の秘訣があると述べるが、それは何か。

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新型コロナは既存動向を加速させる

歴史的に見て、経済危機とパンデミック(世界的な感染拡大)は既存の動向を鈍化させることが多かった。さらには逆転させたケースもある。新型コロナウイルス感染症はその例には当てはまらない。なぜなら、パンデミック以前の動向をたいてい加速させているからだ。

高齢化を考えてみればいい。パンデミックとそれに伴う景気後退によって、若い男女が子どもを持つことを先送りするようになり、人口ピラミッドの高齢世代が徐々に膨らんでいく。

また、パンデミックは東アジアの新興市場国の台頭を加速させた。というのも感染者数、入院患者数、犠牲者数のどれをとっても、世界のほかの地域、とりわけ欧州とアメリカよりも少ないからだ。

さらにパンデミックは、技術を使って働き、学び、買い物をし、楽しむ傾向を強めた。その結果、『2030』で分析した人口動態的、経済的、技術的な動向は加速し、『2030』で描いた2030年の世界はより早く到来する。

自称専門家たちによれば、パンデミックは小売りを消滅させ、通勤や通学を終わらせ、グローバリゼーションの逆転をもたらすという。コロナ危機の傷痕は生涯、そしてその先まで消えないだろうというのが私の考えだが、さまざまなデータが揃うまでは多くの転換を大袈裟に取り上げたり、唱えたりしないことが重要だ。

オンラインショッピング、リモートワーク、そして保護貿易主義や外国人排斥といった反グローバル化の動向は実際、極めて重要だが、だからといって必ずしも自称専門家たちが提唱する方向に向かっているわけではない。もっと視野を広げれば、グローバリゼーションのプロセスは減速しているのでも逆転しているのでもなく、変化しているのだ。

これから見る日本の例でもそれは明らかだろう。

長い目で見れば、日本は今回のパンデミックの影響を、世界のほかの地域ほどはネガティブに受けないだろうと私は考えている。日本はすでに超高齢社会であるため、高齢化の動向はほとんど加速しない。日本はまた、製造業とサービス業においてますます統合が進む、ダイナミックな東アジア経済に属している。同様に、企業が将来的な業務の中断を回避しようとして自動化の気運が高まったが、日本はすでにロボット工学の分野で世界的なリーダーだ。

だが、未来は不透明だ。私は1990年代中頃に一度だけ日本を訪れたことがあり、自動車、電子機器、鉄鋼、銀行、保険など多くの企業を視察した。日本企業は以前と変わらず革新的であるにもかかわらず、経済は長期にわたって低迷している。人口の3分の1以上を60歳以上が占めることによる財政的、経済的な課題が、地平線の上に大きく迫っている。

移民がもたらすダイナミックな影響

『2030』で紹介したさまざまなメッセージのなかで、とりわけ日本に当てはまるものが2つある。1つは、移民がもたらすダイナミックな影響についてだ。日本には移民の伝統がないことは、私もよく理解している。おそらく、日系移民がブラジルの企業や経済部門に果たした中心的な役割に注目することが重要だろう。ブラジルにはいまも、日系移民の子孫が多く暮らしている。

移民について考え方を切り替えるのは難しい。特にあちこちの国が移民に厳しい態度をとっている時代であればなおさらだ。だが、日本も移民を受け入れることで、アメリカが移民から大きな恩恵を受けたのと同じくらい、大きな利益を得られるはずだと私は確信している。

日本に対する2つ目のメッセージは、技術そのものは強い影響を及ぼさないという点である。ほとんどのイノベーションは、既存技術の新しい創造的な活用方法を見つけ出すことにある。

日本企業はデジタルプラットフォームやデジタル経済全体を裏で支える、多くの技術を発明したり完成度を高めたりしてきたが、世界規模の日本のデジタル企業はほとんどない。私の意見では、日本経済が1970~80年代の全盛期に戻ることが重要だ。当時の日本は、製造現場での斬新な生産方式、ずば抜けた製品、輸出の伸びにおいて世界を牽引していた。

日本はリモートワークとギグエコノミー(オンライン上のプラットフォームなどを通じて行う短期的な労働のこと)のリーダーになれる可能性がある。そのどちらも、60歳を過ぎても仕事を続けたい、少なくとももっとフレキシブルにパートタイムで働きたい人たちに、非常に好まれる働き方だからだ。

日本は世界でも極めて生活水準が高く、平均寿命もトップレベルだ。日本経済復活の秘訣は、あらゆる世代の才能と経験を結集し、一丸となってグローバル経済で競争することだ。

『2030』のなかで私は、女性が社会と経済に果たす新たな役割について強調した。日本は、世界でも女性が握る富の割合が高い国の1つである。日本の女性の平均的な教育水準は並外れて高いにもかかわらず、中間管理職や経営陣として活躍する女性の数はいまも限られている。

多くの女性が家庭の外で働く国のほうが経済が速く成長し、高い生活水準をもたらすことは、秘密でも何でもない。移民のほかに、日本が21世紀の課題に人口動態的な方法で取り組む2つ目の方法は、女性の活躍にある。

デジタル化の潮流には抗えない

新型コロナウイルス感染症が経済に及ぼした影響が最も明らかなのは、技術の世界である。パンデミックは、遊び、学習、仕事、ショッピング、エンターテインメントの分野で、デジタルプラットフォームの利用を大きく加速させた。

だが、コロナウイルスによって発達が進んだ技術はそれだけではない。自動化の傾向が強まったのだ。今回のような公衆衛生上の緊急事態も含めて、自然災害に見舞われた時には、人間の労働者よりもロボットのほうが、信頼性が高いことに企業は気づいている。

ソーシャル・ディスタンシングの時代に、サービス部門において顧客と従業員とのやりとりのあり方は変更を迫られ、自動化は新たな好機を提供する。こうして私たちは、ロボットの数が労働者の数をしのぐことになる新たな時代を目撃している。大きな成長が見込まれる別の分野はナノ技術、すなわち分子と分子以下の構造を操作する技術である。その目的は、より耐久性に優れ、高効率で用途の広い原材料をつくることだ。

私は『2030』のなかで、2030年になる頃には、人間の脳よりも多くのコンピューター──正確に言うと、マイクロプロセッサー──が世の中に溢れているはずだと予測した。モノのインターネット、ブロックチェーン、そのほかの革新的な技術は経済を変え、企業や組織が内部で機能する方法を変え、サプライヤーや顧客と関わる方法も変える。

重要なのは、人間をAIや機械学習に置き換えることではなく、人間とデジタル機器との労働の役割分担が、より高い生活水準をもたらす方法を見つけ出すことにある。

しかしながら、自動化とAIの複合的な効果によって、大勢の人が仕事を失う可能性があることも事実だ。技術に仕事を奪われる現象は、もはや未来の可能性ではなく、厳しい現実である。だからこそ、『2030』で述べたようにベーシックインカムの導入や、もしくはロボットに税金をかけるような政策には効果があるだろう。

最後に取り上げるのは、世の中を変える可能性が最も高い破壊的(ディスラプション)技術の1つだ。私たちは将来、政府や中央銀行が発行した少数の通貨ではなく、さまざまな仮想通貨を使って、決済したり貯金したりしているだろう。

世界を根本的に変えた発明は数えるほどしかない。だが、火の利用、車輪、印刷機、蒸気機関、抗生物質と並んで、お金はそのとても短く特別なリストに名前があがる発明品だ。お金を使わない物々交換は、はるかに低い生活水準しかもたらさない。

外国人排斥は自滅の道を開くだけ

そうは言っても、仮想通貨自体はそこまで成功しないだろうというのが私の考えだ。その理由は、金融政策や貨幣供給のコントロールを失うことを恐れて、政府が仮想通貨の普及に歯止めをかけるだろうからだ。日銀やFRBがどう考えるかは、想像するしかない。

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私の予測では、仮想通貨が成功するのは、デジタルな割引券やインセンティブ(景品)、スマートコントラクト(契約の自動化)、あるいはそのほかの「デジタルトークン(電子暗号)」のような要素と組み合わせて利用される時だ。それが未来だ。そしていったん、仮想通貨が経済効率を高める莫大な可能性に気づいたら、異議を唱える政府や中央銀行はほとんどなくなるだろう。

そのような変化は、日本だけでなく東アジア諸国、世界全体に影響を与える。国全体として変化に対応する唯一の方法は、世界の動向と一体化し、世界との相互接続を深めることだ。そうすれば、そこから生まれる巨大な好機をうまく活かすことができる。外国人排斥はもちろん保護貿易主義や大衆迎合主義は、長期的に見て自滅への道を開くだけである。最善の方策は、自国の社会と経済をグローバルな動向に合わせることだ。

コミュニティや個人もまた、困難の先にある大きな機会に気づく必要がある。最も重要なのは、世界が変化しているという現実を受け入れることだ。私たちは極めて大きな、真の変化のただなかに生きている。私たちが変化に対応する準備ができるのを、時の流れは待ってくれない。時計の針も戻せない。

変化に対応するただ1つの可能な方法は、変化に対応する方法そのものを変えることだ。その現実を受け入れたなら、未来へのカギは、新たな状況に適応する決断を下し、状況の変化によっては決断を修正することにある。それが『2030』のメッセージだ。そう心に刻み、行動を起こそう。

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提供元:日本がコロナの「マイナス影響」最も受けない根拠|東洋経済オンライン

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