2021.07.12
暑さと湿気で「自律神経が乱れる」時期の服選び|急激な気温差は、体調不良の原因にもなる
(写真:miSaPhotographer / PIXTA)
「天気が崩れ始めると頭痛がする」
「梅雨は体が重くて動けない」
など、天気による不調を感じている人は多いのではないでしょうか。なかには天気による不調が原因で、本来の実力が発揮できないと感じている人もいるかもしれません。
『ビジネスパーソンのための低気圧不調に打ち勝つ12の習慣』では、天気による体の不調が起こるメカニズムと、通勤中やデスクワーク中にもできる、不調を予防・改善する方法を紹介しています。
本稿では同書より一部を抜粋・編集しお届けします。
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湿気と温度を、服でコントロールする
私たちの体は、天気が変化することによって、自律神経にさまざまな影響を受けています。本来、自律神経が正常に働いている人であれば、「気圧」「湿度」「温度」の3つの変化にうまく体を適応させることができます。しかし、自律神経が乱れていると、これらの対応がうまくできません。
現在、気圧の変化を防ぐような服というのはありません。ある意味、宇宙服がそうかもしれませんが、さすがに一般的ではありません。そこで対策としては、「湿度」と「温度」をキーワードにし、自律神経に悪影響を及ぼさない服を選ぶことが第一となります。
夏や梅雨時は、湿気の多い時期ですので、湿気を逃がす通気性のよい素材の洋服を着るようにしましょう。気温が高くなると、私たちの体は、汗をかいて体を冷やそうとします。その汗は、水蒸気となって蒸発しますが、通気性の悪い服を着ると、その熱や汗が服の中にこもってしまいます。
昔から、通気性や吸水性、速乾性に優れた素材として知られているのは、麻(リネン)です。麻には熱と湿気を取り除く性質があり、触るとひんやりします。化学繊維でも、通気性や吸水性に優れた素材も多く開発されていますから、そういった素材の機能性インナーもおすすめです。
また、水分は下のほうに溜まっていく性質があるので、シャツの裾を外に出すだけでも、ずいぶん通気性が良くなります。他にも、首元が開いた服、袖などもゆったりとしているデザインの服を選ぶとよいでしょう。
冷えが気になって、何枚も服を重ね着したり、靴下を3重にも4重にもはいたりしている人がいますが、自律神経の乱れを改善するという観点では逆効果になってしまいます。なぜなら、温度調節を服に頼ってしまうことで、体が自己調節機能をサボってしまうからです。
そこで、おすすめなのが、ポイントをしぼって温めることです。大切なのは、3つの首(首、手首、足首)を冷やさないことです。
これらには、いずれも太い血管が走っており、さらに外気にさらされやすい場所です。そこで、ここを温めることで、冷気が体の中に入っていくのを防ぐことができます。逆に、夏や梅雨時期に湿気を逃がしたいときは、この3つの首の通気性をよくすればいいのです。
マフラーやスカーフ、ネックウオーマーなど使って首元を温めていれば、他のところが少々薄着でも保温がしやすくなります。
また、人間は、足の裏と手のひらが体温を調整するために重要な部分になっています。例えば手袋をするだけでも保温になりますし、足は足首を一緒に温めることを意識すれば、何枚も靴下を重ねる必要はありません。レッグウオーマーと靴下の組み合わせで冷えを防ぎましょう。
パジャマ選びのコツ
家の中でも冷えを感じている方は、常に首に巻きものをしてもよいでしょう。また寝ているときの格好も、夏でも半袖半ズボンにせずに、長袖長ズボンにする。さらに速乾性があり、熱がこもりにくい生地のパジャマを着るようにしましょう。
もちろん、人によっては、長ズボンではとても眠れないという人もいることでしょう。そういう方は、その人なりの体温調節パターンがあるので無理強いはしませんが、「半袖半ズボンなのに暑い」という人や、「パンツ1丁でも暑くて寝られない」という人は、ぜひ、長袖長ズボンを試してみてください。
また、下半身に水が溜まりやすい人や、むくみが生じやすい人は、下半身を冷やさないことが大切です。
「水が溜まる」というのは、足に血液が溜まったり、血液から染み出した水分が足の筋肉や皮膚の間に溜まったりすることです。そうなった状態では、血流が滞ってしまいます。心臓からの温かい血液がなかなか流れないのですから、血液がどんどん冷たくなり、冷えの原因となります。
例えばオフィスでも、場所によって温度が2〜3度違う場合もありますから、足元が冷える場合は、膝掛けを利用するとよいでしょう。
夏は、外に出ると気温が高いですが、室内は冷房が利いていてキンキンに冷えていることがあります。また、冬はその逆で、外気は寒いのに、電車の中や職場はガンガンに暖房が入っていて蒸し暑いことも多いです。
このような急激な気温差は、体調不良の原因となります。
そこで、できるだけ気温差のないように、エアコンや服で体温調節をしてから、外に出るようにしましょう。
例えば、急に外の暑い場所に出る場合、自宅ならば1回冷房を切って室温を上げ、5〜10分ほど体を暑さに慣らしてから外に出ます。職場であれば、カーディガンや膝掛けなどで、少し体を温めてから外に出るようにしましょう。体が冷えたまま暑いところに出ると、熱中症のようになってしまいます。
寒い季節に暖房が利いた屋内から寒い場所に出るときにも、暑い季節と同様に外の気温に慣らしていきます。自宅の場合は、まず暖房を切ってから洋服を着替えるくらいでちょうどよいでしょう。職場でも、1枚上着を脱いで、5〜10分ほど慣らすようにましょう。
どちらも、ドアを開けた途端に気温差が起きないように、徐々に体を慣らしてから出入りするのがポイントです。
急激な温度差は「ヒートショック」にもつながる
ヒートショックという言葉を聞いたことがある人も多いと思いますが、温度の急激な変化は、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす場合もあります。高齢者が入浴後に亡くなるのは、多くはこのヒートショックが原因です。
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私たちの体は、寒いと血管が収縮して血圧が上昇し、逆に暑いと血管が拡張して血圧が低下します。めまいや立ちくらみも、ヒートショックの軽度の症状のひとつです。職場や商業施設などは、自分でエアコンの調節はできませんから、できるだけ急激な気温差が生まれないよう、服で調節をするようにしましょう。
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提供元:暑さと湿気で「自律神経が乱れる」時期の服選び|東洋経済オンライン