2021.06.24
元有名アイドルが語る「緊張に負けない」方法8選|スピーチ中に噛んでもお客さんは気にしない
アイドリング!!!の元リーダー・遠藤舞さんが語る「緊張に打ち勝つ方法」とは?※写真はイメージです(写真:Ushico/PIXTA)
あがり症で目立つことが嫌い、人前恐怖症だった元アイドリング!!!リーダーの遠藤舞さん。そんな彼女が人前に出る際、緊張を克服できた理由とは? 「緊張に負けない8つの方法」を遠藤さんによるエッセイを集めた『若いカワイイからの卒業』より一部抜粋・再構成してお届けする。
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「緊張しない方法」ではなく「緊張に打ち勝つ方法」なのは、今現在でも私はとても緊張しいだからである。緊張しない方法があれば教えてほしい反面、緊張はしててもいいと思っている。まずはこれが大前提だ。
「緊張」というテーマを扱うに当たって、私の性格と経歴を軽く説明しよう。私の元々の性格は
・あがり症
・目立つことが嫌い
・人前恐怖症
・学生生活中にクラス内でついた役職? はお花に水をあげるなど極々地味な係
であり、元々はと書いてしまったけれども今だって変わっていない。自己発信は好きだが、できることなら人前は避けたい。
それに対し、私が11年間の芸能生活でやってきたことは
・アイドルグループのリーダー
・地上波のテレビ番組へのソロでの出演
・大きいところだとNHKホールや武道館、横浜アリーナなど(あれ、アイドリング単独では立ってないな……)での歌唱経験
・プレッシャーでいうとビルボード単独ライブなどなど。
とんでも緊張場面にさらされまくってきたのである。
こっ、これでは心が持たない……!と思った私は様々な「緊張に打ち勝つ方法」について考えてみた。その結果、なんとなくうまく緊張に対する向き合い方というものをつかめたような気がした。
その中で、割と人にオススメできそうなものをいくつかピックアップしたので紹介していこう。
諦めてしまおう
(1)緊張してしまうことを諦める
緊張してしまうことは悪いことだと信じきっていた私は、パフォーマンス前にどうにかこうにか緊張しないように意識を集中させていたのだが、それは無駄だった。
みなさん、シロクマ理論についてご存知だろうか? 「シロクマについて、考えないで ください!」と言われたら、逆にシロクマのことしか考えられなくなってしまったという実験のアレだ。説明が下手なので、知らない人はググってください。
これと一緒で、私みたいな緊張そのものにコンプレックスを抱えているタイプの人間は「緊張しないように……」と考えると余計に緊張して息苦しくなってくる。パフォーマンスそのものよりいかに緊張をしないかにフォーカスが集まってしまうことも。そこで、いっそのこと「ああまた緊張してきたぞ〜」と受け止めることにした。そっちのが全然楽。
(2)緊張ってそんな悪いことじゃないと知る
(1)の続きに近くなってしまうが、そもそも緊張って敵じゃなくて味方だと考え直すことが結構大事。これは自分の生徒さんにもお伝えしていて、そのマインドチェンジができただけで本番が怖くなくなったと言ってくれる子たちもたくさんいた。
これは本を読んで知ったことなのだが、緊張して起こる「脈が早くなる」「手足が震える」「喉がかわいて発汗する」などの体の変化はそもそも、大昔から人間に備わっている防衛反応なんだそうだ。例えばイノシシなどの危険な獲物を狩る時にリラックスして筋肉がホワホワだと機敏に動けないし自分を守れず危険だ。緊張しているときは体と頭が「本気モード」になっている証拠。
過度な緊張はよくないが、逆に程よい緊張状態に陥ると、脳はよく回転し、体はシュッシュと機敏に動く。緊張によって起こる、いい作用に着目して緊張を味方につけよう。
(3)自分の緊張のパターンを知っておく
さあ、緊張を受け入れたら今度は程よい緊張によって起こる体の変化のうち、自分のパフォーマンスに悪影響を及ぼしかねない変化に〝冷静に〞着目してみよう。
実際に緊張する局面に立たされたとき、に自分の体にどんなことが起きているかを観察し言語化する。
自分の場合、
・緊張のタイミングはいつがピークなのか?
→本番直前のステージ袖が実は一番ドキドキする
・体に起こる変化
→手足が冷たくなって震える、早口になる、言葉を噛む
・それに対するカバー方法
→ステージ袖の緊張マックスの時に手足を揉んで血を通わせておく、噛まないくらいゆっくり話すことを心がけるなど、緊張するタイミングやその内容、カバーの方法までをあらかじめ考えておく。するとそもそも緊張の正体がつかめてきて、あまり怖くなくなってくるのだ。
(4)準備に準備を重ねる
過去にすごく苦手な歌をライブで歌わなければいけないことがあった。つまり普段より失敗しやすいステージで、かつアウェイのイベントだったため、プレッシャーも大きい。
とにかく失敗したくないという思いから、めちゃくちゃ練習した。1日何時間もその曲を練習して、特に考えなくてもスラスラと、もう寝言でも歌えちゃうよねってレベルまでにした。すると、本番では「あれだけ練習したんだから大丈夫だよね」という自信が芽生え、無事その曲は歌いきった。なんなら他の曲で歌詞を間違えた(笑)。
ポイントは特に考えなくても勝手にパフォーマンスができてしまうくらいまで準備をすること。プロ(パフォーマンスが体に染み込んでいる人)は、本番中に自分のパフォーマンス自体に意識が向くと失敗する確率があがるらしい。確かに、緊張して失敗しないようにしなきゃと考えれば考えるほど、歌詞が飛んでしまったり発声が苦しくなった経験はある。
パフォーマンスが自動でできるくらいまで練習を重ねれば、自信が湧いてきて緊張もしづらくなるし、緊張したとしても失敗する確率も下がる。
とにかく場数を踏んでいくこと
(5)慣れ
身も蓋もない気がするが、回数を重ねていけばだんだん慣れていって緊張はしなくなってくる。日頃緊張感とは無縁の人がいきなり、大勢の前でスピーチをと言われればとんでもなくあがってしまうだろうが、普段からいろんなところでスピーチをしまくっている人からしたら、同じ大勢の前でのスピーチだとしても屁でもないだろう。
ライブはドキドキするが、週に1〜2回していた定期公演ともなると緊張はほぼ皆無で
ある。とにかく場数を踏んでいくというのも一つの手だ。
あとは、リハーサルで自らやたら緊張しておくというのもオススメ。リハで失敗したら罰ゲームをするみたいなペナルティを自分もしくは仲間内で設けて、ドッキドキリハーサルをやってみよう。
(6)本番中、本番と関係ないことに注目する
これは(4)の準備に準備を重ねる、を念入りにした上での試みなのだが、本番中に自分のパフォーマンスに集中がいってぎこちなくならないよう、全く別のことに注意を向けてみる作戦だ。
例えば我々のようにライブという本番がある職種であれば、メガネのお客さんを数えてみたりとか、ああハエが飛んでるな〜と思ってみたりとか。これをやってみると、不思議と自分に関係ないことを楽しむ余裕があるんだと錯覚してきて緊張が和らいだことがあった。自分の練習量に自信がある人、おためしあれ。
(7)めちゃくちゃ緊張する経験を一回してみる
(5)でも書いた通り、人は慣れていく。ことさら大きな緊張の前に小さな緊張は勝てない。
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私は19歳の時にクイズ!ヘキサゴンという地上波の人気クイズ番組に出演したのだが、あの時の緊張は今でも忘れられない。もしかしたらずっと白目をむいていたかもしれない。
そんなレベルで緊張した。それからしばらくは、緊張するシーンに直面しても「あのヘキサゴンでの緊張には敵わん」と思いながら乗り切ってきた。ちょっとした緊張が霞んでしまうくらいの経験が一つでもあると強い。
スピーチ中に噛んだらどうする?
(8)緊張して失敗しても大丈夫
じゃあ、仮にスピーチ中に緊張して噛んでしまったりしたところでそのスピーチは全く伝わらないのだろうか? 緊張して声が裏返ってしまったところで、お客さんは金返せ!と叫ぶだろうか? まあまずありえない。
失敗前提で臨むことはさすがにお客さんに失礼だと思うが、ろくに準備もしないでの失敗と、一生懸命伝えようとするあまりの緊張による失敗の違いくらいみんなわかる。世の中、そんなに敵ばっかりじゃない(笑)。
スポーツの世界では緊張による失敗は命取りになるかもしれないが、大体の人間の緊張による失敗はそんなに大したことない。失敗しちゃっても「人間だもの」と気楽にいることだって大事だ。
以上、私が現役中、いや今でも実践している緊張に打ち勝つ方法でした。今では緊張しなくなることの方が怖いので、たまに緊張するとオラワクワクすっぞ〜となっている。緊張を味方につけてよいドキドキライフを送ろう。
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提供元:元有名アイドルが語る「緊張に負けない」方法8選|東洋経済オンライン