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2021.06.23

整形外科でわからなかった「腰痛」予想外の原因|長引く痛みの原因は帯状疱疹かもしれない


腰痛の原因を放置していると、思わぬ病気の可能性も……(写真:PIXTA)

腰痛の原因を放置していると、思わぬ病気の可能性も……(写真:PIXTA)

日本の国民病とも言われる「腰痛」。が、一口に腰痛と言ってもその理由は実にさまざまで、素人判断や間違った判断が命にかかわることもあり、痛みの原因をきちんと突き止めることが重要だ。本稿では、池谷医院院長の池谷敏郎氏著『腰痛難民 その痛みは、本当にただの腰痛なのか』から、整形外科で助間神経痛を診断されたが、実は帯状疱疹だったという例を紹介する。

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湿布でかぶれたと思って来院すると…

「湿布でかぶれちゃいました……」

高血圧の治療で来院された、40代男性のEさん。診察室に入ってきて椅子に座る際、痛そうに腰に手を当てていたので「腰、どうかされました?」と尋ねると、そう返事が来ました。

Eさんは最近仕事が忙しく、気を張り詰めた日々がずっと続いていたそうで、ようやく少しゆとりができたと思ったら、右側の腰のあたりにピリピリとした痛みを感じ、先日、整形外科に行ってきたそうです。

そこで症状を伝えると、「肋間神経痛ですね。少し様子を見ましょう」と、痛み止めと湿布を処方されました。その湿布を貼っていたら、痛痒くなってきて、皮膚を見てみるとポツポツと発疹も出てきていたので、「湿布でかぶれてしまった」と思い、湿布をやめたところだった、という話でした。

「痛むところを見せてもらってもいいですか?」

洋服をめくって腰のあたりを見せてもらうと、虫刺されのような水ぶくれを伴う赤い発疹が、たしかに右側にだけ、肋間神経に沿うようにできていました。

湿布を貼っていた部分にまとまってできているので、「湿布でかぶれてしまった」とEさんが思ってしまうのは無理もないでしょう。ただ、左右いずれかの片側に帯状にまとまってできる発疹で、痛みを伴うといえばまず「帯状疱疹」です。

一方、整形外科で指摘されたという肋間神経痛とは、胸椎の間から左右に出て肋骨に沿うように走っている肋間神経が痛む症状全般をさします。肋間神経が痛む原因にはさまざまなものがあり、そのひとつに帯状疱疹があるのです。

帯状疱疹の原因は、水痘・帯状疱疹ウイルスです。これは水ぼうそうの原因ウイルスのこと。最初に感染した時には水ぼうそうとしてあらわれます。水ぼうそうが治まったあと、このウイルスは体からいなくなるわけではなく、皮膚にできた湿疹から神経を伝わって後根神経節と呼ばれるところに潜んでいます。

ふだんは悪さをすることなくおとなしく潜んでいますが、最初に水ぼうそうを起こしてから何年も経ったあと、ストレスや疲れなどでウイルスに対する抵抗力が落ちると、再び活性化して帯状疱疹を引き起こすのです。そのため、帯状疱疹に対しては、抗ウイルス薬を使った治療が中心になります。

治療が遅れれば後遺症が残りやすくなる

帯状疱疹という病気は、Eさんのように「肋間神経痛」や「ただの腰痛」と判断されて整形外科で見逃されることが多いように感じます。私のクリニックだけでも、Eさんと同じような方が何人もいらっしゃるのです。

肋間神経痛やただの腰痛と診断されてしまうと、Eさんのように痛み止めや湿布を処方されて様子を見るという方針になりやすいのですが、それでは、ウイルスが原因の帯状疱疹には効きません。そして治療が遅れれば、後遺症としての痛みが残りやすくなります。

皮膚の症状が治まったあとに痛みだけが残ってしまうことを「帯状疱疹後神経痛」と言います。3カ月後で7~25%の人が、6カ月後でも5~13%の人が、痛みが続いているという報告もあるほどなので、決してまれではありません。

痛みを残さないようにするには、できるだけ早く抗ウイルス薬を使った治療をはじめて、体内でなるべくウイルスを増やさないことと、炎症を最小限にとどめることが肝心です。つまり、帯状疱疹であることをできるだけ早く突き止めて、適切な治療を行うことが大事なのです。

ところが、肋間神経痛やただの腰痛に間違われて治療が遅れてしまうことがあります。それはなぜでしょうか。

帯状疱疹の典型的な症状である帯状の発疹が出てくるとわかりやすいのですが、多くの帯状疱疹は痛みや皮膚の違和感からはじまります。

見た目の変化はあまりないまま、ピリピリ、チクチクとした痛みや皮膚の違和感が生じ、数日から1週間ほど経って赤い湿疹があらわれはじめ、やがて痛みが強くなるとともに盛り上がった赤い発疹や水ぶくれが帯状にあらわれるという経過が、一般的なのです。つまり、特徴的な発疹が出る前に、ピリピリとした痛みだけが出ることが多いのです。

帯状疱疹ができる場所はいろいろですが、基本的に体の左右片側に、神経に沿って帯状にあらわれます。

顔や足にできることもありますが、胸から背中にかけてできることがもっとも多く、腰のまわりにできることもあるので、腰痛と間違われてしまうのです。

帯状疱疹の初期は、皮膚表面に異常がない

皮膚の湿疹がほとんどない段階で、「腰がピリピリと痛くて……」と整形外科にかかれば、整形外科の先生はまず骨や筋肉、神経の問題を疑うので、帯状疱疹だとはなかなか思わないのでしょう。患者さんも、最初の段階では皮膚の病気だとは思っていないので、初診で整形外科にかかることが多いのです。

そして、その後、赤い湿疹があらわれてきたら、患者さんは整形外科には戻らず、今度は皮膚科や内科に行くので、結果的に整形外科の先生は帯状疱疹を診る機会があまりないのではないかと思います。

最初に診た整形外科の先生は、患者さんが再来院しないので「湿布で治ったのかな」「痛み止めが効いて、腰痛は良くなったんだな」と思っているのかもしれません。ただ、誤解のないように繰り返すと、帯状疱疹の初期には、見た目の皮膚変化はなく、痛みや皮膚の違和感のみがあらわれるので、わかりにくいのです。私も、最初のピリピリとした痛みだけの段階で「帯状疱疹だ」とは診断できません。

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ただし、腰のあたりの痛みも含め、「皮膚が痛い」と訴える患者さんが来院された場合には、帯状疱疹の可能性も否定できないことを必ず伝えています。そのうえで、次のようなアドバイスをしています。

「皮膚を毎日見て、虫刺されのような発疹が1つ、2つ、3つ……と重なって出てきたら、すぐに皮膚科に行くか、もう一度うちに来てください。それから、湿布を貼る時には、必ず皮膚の状態をチェックしてください。もしもポツポツが出てきたら、かぶれだと思って放っておかないでくださいね」

こうしっかり伝えておくと、帯状疱疹だった時に患者さん自身が「あ!」とすぐに気づいてくれるので、早めに見つかり、スムーズに治療に入れるようになります。

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提供元:整形外科でわからなかった「腰痛」予想外の原因|東洋経済オンライン

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