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2021.06.04

下腹太りに悩む人は座りすぎの悪影響を知らない|筋トレやマッサージより深部リンパケアを


特に加齢によって、ぽっこりとお腹が出てしまうことに悩んでいる人は男女問わず少なくありません(写真:つむぎ/PIXTA)

特に加齢によって、ぽっこりとお腹が出てしまうことに悩んでいる人は男女問わず少なくありません(写真:つむぎ/PIXTA)

男女問わず、やせたい部分の上位に入り続ける下腹。

ダイエット系のウェブ記事や雑誌の特集でも最も人気があり、痩身マッサージのメニューにも入ってくる部位ですが、じつは辛い筋トレや費用のかさむマッサージをしなくても、下腹を凹ませる有効な方法はあるようです。

YouTubeチャンネル登録者数10万人で、半年先まで予約が取れない整体師の永井峻氏が上梓した『不調が消えてやせる うるおう体のつくりかた』から一部抜粋、再編集してお届けします。

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悩む人が多い「下腹やせ」に効果があるのは?

下腹が出ているという悩みは、来院された方々からも「何をしても下腹だけは落ちない」「ぽっこり出ているのが嫌」など、頻繁に耳にします。多くの人が気にしている部位だけに、下腹やせを実現するための方法として、筋トレやマッサージなど多種多様なものが紹介されるようになりました。その多くに目を通し実際に試してきましたが、私が10万件の施術や健康指導をするなかで、いちばん下腹やせに効果があったのは、体の深部で滞ったリンパのケアでした。

「リンパ?」と思われたかもしれません。

リンパと申し上げると多くの方は「何をするものかよくわからない」と仰り、健康情報に興味のある方は「体の老廃物を回収する体液」「マッサージで流すもの」などという認識があるようです。

じつはリンパには「浅いリンパ」と「深部リンパ」があり、マッサージなどで一般にリンパと呼んでいるのは皮膚のすぐ下を中心にめぐる「浅いリンパ」です。下腹やせに高い効果を示したのは、体の奥深くにある筋肉や臓器をめぐる「深部リンパ」のケアでした。

リンパの流れる深さについて触れる前に、まずリンパがどんなものかをご説明しましょう。

リンパのおもな役割は、数十兆あるとされる全身の細胞に必要なものを届ける「物流」です。血液も物流をこなしていますが、両者には違いがあります。血液が血管という高速道路で大量の荷物をすばやく運ぶ「大型トラック」なら、リンパは1つひとつの荷物をていねいに各家庭まで届ける「配達員」です。

リンパのめぐりがいいと酸素や栄養素、免疫細胞が体のすみずみまで行き渡るため、体のどの部分でも回復力や免疫力が高まります。しかもリンパは、配達するだけでなく体内に生じたゴミ、いわゆる老廃物まで持ち去ってくれるのです。

もしリンパの流れが悪くなると、酸素も栄養素も不足して老廃物が回収されなくなります。これは食料も水もないゴミだらけの部屋に閉じ込められたようなもの。細胞はどんどん元気を失っていきますし、治るものも治りません。この状態から脱する唯一の方法が、体の奥深くを流れるリンパのケアなのです。

リンパは血液の3倍もの量がある

じつは私たちの体内から老廃物を出す方法は、体液に溶かす以外ありません。その働きの最大の担い手がリンパです。

リンパは血液の3倍もの量があります。極小の細胞1つひとつに、必要とするものを届けてゴミ(老廃物)を回収する「流通網」をつくるには、量も必要なのです。リンパがなければ細胞は死滅しますし、もちろん人は生きていられません。

そしてリンパの成分は大きく変化します。体内にウイルスや細菌などが侵入すると免疫細胞が大量に供給されますし、体内に生じたゴミを回収するとリンパはドロドロに。二酸化炭素などごく小さなゴミをメインに回収する血液と違い、リンパはたんぱく質や脂肪、細菌やウイルス、傷ついた細胞などといった大きなゴミを大量に回収しています。だから、つねにサラサラではいられないわけです。このリンパのゴミ回収能力は、最大で血液の20倍にまで達します。

では、なぜリンパは滞るのでしょうか。

まずお伝えしておきたいのが、リンパが全身をめぐるのに12~24時間もかかることです。血液は1分ほどで全身を1周するため、リンパはその1000倍もの時間をかけてめぐっているということになります。これほどの差がつく最大の理由は、心臓という強力なポンプに送り出された血液の圧力がリンパには届かないから。キッチンで食器を洗う水をシャワーにすると、極細の水の通り道が無数にあることで水圧は弱まりますが、リンパも同様に通り道1つひとつにかかる水圧が弱まるわけです。

このリンパが渋滞するしくみも、食器洗いを例にするとわかりやすいかもしれません。汚れた食器を洗うと細かいゴミや油汚れが排水口に流れますが、流す水がチョロチョロ程度のゆるやかさだと、ゴミや汚れは溜まりがちに。すると排水口に水が流れにくくなります。同様に体内でリンパが滞ると「汚水化」したドロドロのリンパが溜まっていくのです。リンパの汚水化が皮膚のすぐ下で起きると肌にも影響します。その代表例がくすみや肌荒れです。

ではリンパマッサージをすればいいのかというと話は単純ではありません(写真:Ushico/PIXTA)

ではリンパマッサージをすればいいのかというと話は単純ではありません(写真:Ushico/PIXTA)

リンパマッサージの限界とは

体内でリンパが滞ると「汚水化」する。想像するのも嫌な感じですが、その汚水化したリンパは、どうなるのでしょうか。

正解は、むくみです。むくみは、よほど重度でないかぎり軽視されがちですが、むくみを漢字で書くと「浮腫」。「腫」という字が示すように、リンパが皮下組織に流れ出て、腫れ上がったような状態です。顔や脚などかなり広い範囲が腫れ上がるわけですから、体にいいわけがありません。

そして、あまり知られていませんが、じつは下腹をぽっこり出させる主犯格がむくみなのです。むくみと言えば顔やふくらはぎのイメージが強いと思います。しかし、いちばんむくむのは、上半身と下半身から流れつく汚水化リンパを一手に引き受ける下腹です。次にむくみやすいのがお尻で、悩ましいたるみの半分はむくみでできています。

下腹やお尻がむくみやすいいちばんの理由は、臓器がすぐそばにあるからです。

臓器で、消化や解毒などをするときに汚水化したリンパが大量に発生し、それが鼠蹊部(脚の付け根)のリンパ節で詰まってあふれ、むくむのです。この汚水化したリンパでむくむのがぽっこり下腹の第1段階で、その上に脂肪がつくのが第2段階と考えてください。

まずぽっこり下腹の第1段階がどう起きるのかについて、ご説明しましょう。

むくむということは、まず血流やリンパの流れが妨げられた部位が生じています。なかでも下腹にむくみを呼ぶ最大の要因は、座る時間の長さです。

座るということは、股関節もひざ関節も折り曲げているということ。通常はまっすぐになっている部分が長時間曲がっていれば、血液の流れは悪くなりますし、それに伴いリンパの流れも悪くなります。しかも座っているときは太もも裏側が上半身の重みで潰されるため、下半身のめぐりの悪化に拍車をかけるのです。

下半身のリンパのめぐりが悪化すると鼠蹊部に汚れたリンパが滞っていき、そこが詰まることで、むくみを呼びます。めぐりが悪いことで冷えて栄養素や酸素が届かない部分が生じ、基礎代謝は低下。すると脳は「体の危機だ! 冷えた部分を温めないと」と判断し「保温機能のある脂肪をつけろ!」という指令を出します。こうして汚水リンパで下腹がむくむだけでなく、脂肪までついて本格的に厚みを増し始めるのです。

リンパ節の詰まりにマッサージは効きにくい

排水口の汚れは、勢いよく水を流せば落ちます。だとしたらリンパをガンガン流せば、滞った状態も解消できるはずです。この考え方はもっともで、健康な人なら運動や入浴で血流をアップさせるだけでもリンパの流れは改善します。しかし深部リンパが渋滞するクセがついた人は、リンパの通り道に詰まりがあるためうまく流れません。

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この状態は、キッチンの排水口に食べかすや油などが溜まってヘドロ状になり、下水管まで詰まらせたようなもの。勢いよく水を流したところで詰まったままです。リンパも同様に、老廃物というゴミが溜まると詰まりを解消できません。こうして行き場をなくした汚水化リンパは、皮下組織にあふれ出して、むくみだけでなくセルライトまでつくるのです。

もし、リンパマッサージなどを受けても数日で効果が消えるとしたら、リンパの出口が詰まったままの可能性が高いと思います。大前提として、さすったりもんだりする刺激はリンパの詰まりには効果が薄いからです。神業的手技でもなければ、リンパは一時的に移動するだけ。詰まりを解消しないかぎり、残念ながらリンパは元の位置に戻ってしまいます。

もし、どうしても下腹が凹まないとお悩みでしたら、鼠蹊部のリンパ節のケアと、お腹の深部にあるリンパの流れを改善する方法をお試しください。

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提供元:下腹太りに悩む人は座りすぎの悪影響を知らない|東洋経済オンライン

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