2021.05.31
「ゼロキロカロリー」は本当に「0 kcal」なの？管理栄養士が解説する「ゼロキロカロリー」の落とし穴
みなさんは、ダイエット中に食べることへの罪悪感を減らすために、“ゼロキロカロリー”や“糖質ゼロ”などと表示された商品を手にしていませんか？これらの表示は“栄養強調表示”と呼ばれ、正しく理解していないと、間違ったダイエットをしてしまうことがあるので注意が必要です。
今回は、栄養強調表示の本当の意味について、“ゼロキロカロリー”や“糖質ゼロ”などと表示された商品が本当にダイエットの味方をしてくれるのかについて解説します。
“ゼロキロカロリー”は本当にゼロなの？
最近では、“ゼロキロカロリー”や“糖質ゼロ”などと表示されている商品がバラエティ豊かにあり、コンビニやスーパーなどにも豊富に並んでいますね。これらの表示を見ると、「どれだけ食べても太らないのではないか？」という気持ちに陥ってしまいませんか？
しかし、これらの栄養強調表示には下記のようなルールが定められています。利用する前に一度これらの本当の意味を確認してみましょう[1]。
上記のように“ゼロキロカロリー”や“糖質ゼロ”と表示されていても、必ずしもゼロではないということがわかります。例えば、“ゼロキロカロリー”と表示された500mlのペットボトルのジュースには１本あたり25kcalのエネルギーが含まれている可能性があるのです。“ゼロ”や”オフ”などの栄養強調表示が書かれている商品であっても食べ過ぎ、飲み過ぎには注意が必要ですね。
敵？味方？人工甘味料の体への影響
ダイエットの敵とも言える甘いお菓子やジュースですが、最近では、ゼロキロカロリーの商品も増えてきました。ダイエット中の方にとっては、甘くて美味しいのに食べても太らないという夢のような商品ですよね。このような商品には、砂糖の代替甘味料として人工甘味料が使用されています。人工甘味料は一見ダイエットの強い味方に見えますが、本当にそうなのでしょうか？
人工甘味料は甘さを感じるものの、消化や吸収、代謝がされにくいため血糖値の上昇が起こりにくいのが特徴です。そのため、人工甘味料を摂取すると脳が混乱してしまい、食欲のコントロールに影響を与え、ほかのものを食べる量が増えることによってむしろ太りやすくなる可能性があることが報告がされています[2]。
ほかにも、腸内細菌叢への悪影響や脳卒中や認知症のリスク上昇との関連も示唆されています。まだヒトを対象にした研究が少なく、私たちの健康に対して善悪どちらの要素が強いかはわかりませんが、人工甘味料は私たちにとって嬉しい働きばかりではないのかもしれません[3]。
人工甘味料だけじゃない！糖の代替え品の糖アルコール
“ゼロキロカロリー”の商品には、人工甘味料以外の甘味料として“糖アルコール”がよく使われています。きのこ類や果物などに含まれる天然のものと人工的に作られたものがあり、代表的なものとしてキシリトールはみなさんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか？
糖アルコールは糖と似た構造をしていて、甘みを感じますが、ブドウ糖やショ糖に比べ消化吸収されにくく低カロリーです。また、虫歯の原因になりにくいという特徴もあります。
しかし、糖アルコールのなかには、摂取しすぎてしまうと腹痛や下痢などを起こしてしまうものもあるので、カロリーが低いからといって摂りすぎには注意しましょう[4, 5]。
食べてしまう罪悪感は、食事を楽しむことでおさらばしましょう
“ゼロキロカロリー”や“糖質オフ”の商品を選ぶ方の多くは、食ベることに罪悪感を抱いているのではないでしょうか。極度な食事制限や、過剰に意識してダイエットに良いと言われる食品、サプリメントを摂取しなくても、健康的にダイエットを成功させることは可能です。ダイエットの基本は、バランスの良い食事を３食規則正しく食べることです。まずは、主食、主菜、副菜がそろった食事をし、菓子やアルコールの量や質を見直してみましょう。そして、日々のお食事を楽しむことを意識して、満足感を得てみてくださいね[6]。
【参考文献】（すべて2021年4月11日閲覧）
[1]厚生労働省｜栄養表示基準に基づく栄養成分表示 ※外部サイトに遷移します
[4] M Grembecka, Natural sweeteners in a human diet, Rocz Panstw Zakl Hig. 2015; 66(3): 195-202. ※外部サイトに遷移します
[5]厚生労働省| e-ヘルスネット「う蝕の原因とならない代用甘味料の利用法」 ※外部サイトに遷移します
[6]厚生労働省|e-ヘルスネット「健康的なダイエット：適切な体重管理で、健康づくりをしよう！」 ※外部サイトに遷移します
【プロフィール】管理栄養士 金澤りな
大学を卒業後、保育園施設で調理、給食管理、食育活動などの栄養士業務を経験。管理栄養士の資格を取得後、現在は糖尿病のクリニックで食事指導を行う。長年、生理不順に悩まされ不妊体質と告げられたことをきっかけに食事の大切さを実感する。「トラブルによって同じ思いをしている人の力になりたい」と生理不順やPMSなどの女性ホルモンの悩みを抱える人の心と体づくりを食事を通じて支える活動をしている。
記事提供：リンクアンドコミュニケーション
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