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2021.05.14

「自分だけの強み」を見つけるための17つの質問|自分の「才能のタネ」を見つけられる人の視点


自分の強みを具体的に把握し、伸ばすためには?(写真:metamorworks/PIXTA)

自分の強みを具体的に把握し、伸ばすためには?(写真:metamorworks/PIXTA)

成功している人の共通点は、自らの弱みの克服に時間を使うのではなく、強みを伸ばすために努力していること。しかし、多くの人が自分の本当の才能に気づいていないのが現実。だからこそ、まず取り組みたいのは、自己認識の精度を高めることです。

アメリカ・ギャラップ社認定ストレングスコーチ(R)としても活動する瀬戸和信氏は、MicrosoftやFitbitなど数々の外資系企業でマーケターとしてステップアップを続け、マネジメントにおいてもこの実践を続けてきています。その考え方と方法をまとめた著書『「自分」を殺すな、武器にしろ』から一部を抜粋・再構成して紹介します。

『「自分」を殺すな、武器にしろ』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

苦しいときこそ、絶好の機会

前回記事で、自己を正しく認識すること、その精度を高めることの重要性についてご紹介しました。多くの人が自分自身に対して客観的な視点を持てておらず、自分を過大評価したりといったワナに陥りがちです。

前回記事 ※外部サイトに遷移します

一方、自己認識の精度を高めていくと「私はほかの誰でもない」「私には、私だけの強みがある」と思えるようになります。最終的には、自分の武器にまで磨き上げられるような「才能のタネ」は、無数に種類があって、誰しもが持っているものです。ただ、これを見つけるにはちょっとしたコツがあります。

最初に、僕自身のキャリアについて少しお話しさせてください。

過去22年のキャリアのなかで、僕は現在の会社、Sonos Japanが8社目です。転職機会の少ない日本では、7度の転職は多いほうでしょう。転職を繰り返す人はジョブホッパーと呼ばれ、とくに日本企業においては信用されにくいです。しかしながら、僕にとっては、この7度の転職経験が人生においてプラスに働きました。

転職のたびに「自分は何がやりたいのだろう?」「何をしているときが最も楽しいのだろう?」「自分のどの能力で社会の役に立てるだろうか?」「個人で持っている才能と、どんな仕事をつなぎ合わせれば成果を最大化できるだろう?」と考えてきたからです。「自己分析」する機会と企業の人事から「他者分析」される機会が、7回もあったわけです。仕事を変わるとなると僕も必死なので、その都度、文字どおり一生懸命に考えます。

とくに、次の仕事がなかなか見つからない場合は、自身を的確に知ろうとする意識が高まりました。

仕事がない状態が長期間続くと、その間の収入が途絶え、人と会う機会も減り、退屈な日々を過ごすことになります。

そんなとき、こう思うのです。

仕事こそが自己の認識を決め、自分の満足感に大きく影響していたんだな、と。そう気づいたとき、本気で、そして必死に自分を見つめなおすことになります。違う言い方をすると、それしかやることがなくなる。

「もしも何も制約がないのならば、自分のこだわりと欲求は何か?」

「自分の強みを生かせる環境とは?」

「これから、どんな人生を送っていきたいのか?」

「そのために、自分の強みをどのように使っていくのか?」

といったふうに。

失敗することは挑戦した証拠と解釈される

僕は、キャリアにおいて失敗を経験しないと信用されないと考えています。

失敗するということは、つまり挑戦をしているということと解釈されるからです。そして失敗のたびに再起してきたということが証明されるからです。

失敗をしない人間はいませんから、とくに海外の企業では人材のそこに着目します。一方で日本のビジネスの現場では、あまり、そういう見方がされない印象を受けます。

7度の転職は、全部が自分にとって輝かしいというものではありませんでした。中には苦しい選択もありました。

しかし、苦しいときにこそ、才能のタネを見つけるエネルギーは湧いてきます。もし今、あなたが困難に直面している、あるいはどん詰まりの状況であれば、それは才能のタネを見つける機会です。才能を見つける最短距離にいると考えましょう。

リストラされたり、お金がなくなったり、病気になったり、恋愛で絶望したり……。

そんなとき、人は「このままでいいのだろうか?」と考えるようになります。物事が自分の思いどおりにいかず苦しいときに初めて、私たちは自分の中にある自分と本気で向かい合うことになります。ふと立ち止まったときこそ、「才能のタネ」が発見される可能性が高まります。その機会を逃さないでください。

7度の転職は僕にこんな“贈り物”をくれました。

それは、僕自身の才能のタネ「個別対応が得意な特性」と、業務で必要に迫られて身に付いた、いわば経験によって育まれていった才能のタネ、「日本市場に適したやり方を見出す能力」を自覚させてくれたことです。

海外企業が日本で製品を販売しようとするとき、いくら海外では人気のものであっても、多くの場合、そのまま持ち込んだだけではヒットしません。これを日本で売るにはどうしたらいいか。日本市場に適したやり方、それを考える力です。

僕が以前に勤めていた、Fitbitでの例で端的に説明します。

Fitbitは、2014年に日本法人を立ち上げた当時、Apple Watchよりも高いシェアを誇り、ウェアラブルデバイス市場で世界1位でした。しかし、日本では知名度がゼロに近かったのです。

本国であるアメリカは、人々が日頃から運動を生活に取り入れ、フィットネス意識が高いので、この製品を売るのにも、フィットネス、エクササイズ、ランニングといった言葉を用いて活動をしていました。

もちろん、日本でも、これらの言葉は日常的に使われていますし、運動を習慣にしている人もいます。しかしながら、アメリカと比較すると、こういった習慣のある人口は圧倒的に少なかったのです。

そこで僕たちは、フィットネスと健康との違いを明確にしました。

フィットネスとは、運動をするための身体能力を高めること。それに対して健康とは、身体のすべての機能が最適な状態にあること。このように定義して、アメリカはフィットネスに関心が高く、日本は健康に関心が高い、と仮定したのです。

日本では、ウォーキング、睡眠、理美容。Googleトレンドで調べると、その傾向は如実に表れていました。そこで、すべて健康という方向から消費者に仕掛けることにしたのです。つまり、アメリカのようにフィットネス、エクササイズ、ランニングから入るのではなく、日本の実情に合わせ、ウォーキング、睡眠、理美容といった健康管理から入ったのです。

すると、仮説どおり、日本人の“腹落ち度”は圧倒的にいいものとなりました。僕が辞めた後、2019年にFitbitはGoogleに買収されるという報道がありましたが、運動、食事、体重、そして睡眠を記録することで、健康を改善する製品として、日本でも広く知られるようになりました。とくに導入している企業では、従業員の健康に対する意識を向上させ、日々の行動変革へ導く役割を果たしています。

僕は幸運にも、こういった海外で人気のある商品を日本市場に適したやり方で持ち込むという実績を、Fitbitより前に在籍していたMicrosoftやAcerでも積む機会がありました。

ですから、現在僕が勤めている、ワイヤレスオーディオメーカーのSonosから日本法人代表の話をいただいたとき、僕のこの“強み”に期待されていると自己分析したのです。

マーケターでも、営業でも、開発でも、経営者でも、職業はなんでもよくて、僕が「やりたいこと」と「できること」、そして「他者から求められること」が交わる点が、この日本市場に適した売り方を考えることだったのです。

自分自身の才能のタネを発見し育て上げる

記事画像

『「自分」を殺すな、武器にしろ』(朝日新聞出版) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

転職という機会を通して、自分自身に正直に「なにがやりたいのか」「なにができるのか」を問いかけ、面接企業の反応を見続けたことで、職業の枠を超えて、自分自身の才能のタネを発見し、強みに育て上げることができた。

僕のエピソードから言えることは、転職は才能のタネを見つける1つの大きな機会だということです。

この記事を読んでいるあなたには、転職の予定がなくても、転職をすると仮定したら、自分のどんな能力が武器になるかを考えてみることをおすすめします。

では、具体的に才能のタネを見つけるための方法を2種類、紹介します。意外な「本当の自分」に気づかされるはずです。ぜひ実践してみてください。

具体的に才能のタネを見つけるための2つの方法

才能のタネを見つける方法(1)<キャリアの棚卸>

まずは、あなたのキャリアの棚卸しをします。「あなたが主人公」の物語を書くつもりで、過去を振り返ってみてください。そして自分自身に次のような質問をしてみます。才能のタネは自分の過去の経験から学ぶことによって見つけることができます。

(1)何をしているときが、最も楽しかったですか?
(2)そのとき、あなたのどんな能力が発揮されていましたか?
(3)あなたの仕事人生で、最も人から感謝された出来事は何ですか?
(4)そのとき、あなたのどんな能力が発揮されていましたか?
(5)あなたの人間関係が好転したと感じた出来事はありますか?
(6)そのとき、あなたのどんな能力が発揮されていましたか?
(7)過去に大変な状況から抜け出せた、逆境から立ち直れたことはありますか?
(8)そのとき、あなたのどんな能力が発揮されていましたか?
(9)これまでの人生で「あのときはよかった」と思う時期はいつですか?
(10)それはなぜですか?
(11)そのとき、あなたのどんな能力が発揮されていましたか?
(12)あなたがこれから最もやりたいと思う仕事は何ですか?
(13)その仕事をするとき、どんな能力が発揮されると望ましいですか?

1つひとつの質問に対して、できるだけ具体的に考えてみてください。複数の回答を思いつく場合は、それらの事例に共通する点はないかもあわせて考えてみます。

「質問に対する答え=あなたの才能」と決まったわけではありません。この時点では未確定であいまいなものですが、自己認識を高めていく、1つの重要なヒントになります。

才能のタネを見つける方法(2)自分の行動や感情の振り返り>

定期的に自分自身の行動や感情の振り返りを行うことも、才能のタネ探しのヒントになります。次の項目で思い当たることがあれば、書き出してみましょう。

(1)新しく自分ができるようになったこと。そこに、自分のどんな特性が発揮されていたと思いますか。
(2)最近、動機づけされた出来事。そこに、自分のどんな特性がかかわっていると思いますか。
(3)うまくいった仕事。そこに、自分のどんな特性が発揮されていたと思いますか。
(4)心に浮かんできた将来のビジョン。そこに、自分のどんな特性が関係していると思いますか。

慣れないうちは、明確に言葉にできなくても、思い付きでも、こじつけでも構いません。気楽にメモする気分で書いてみてください。

自分で自身の才能に確信を持つことは容易ではありません。しかし、自分に向き合わなければ、一生知ることはできません。肩の力を抜いて、実験的な発想で、普段の生活を振り返ってみましょう。回数を重ねることで、徐々に内省が深まり、精度を高められるはずです。

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【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します

「10年後に稼げない人」と稼げる人の決定的な差

渋沢栄一が「自分の未来に悩む30代」に贈る言葉

自分の人生を生きていない「日本人」の行く末

提供元:「自分だけの強み」を見つけるための17つの質問|東洋経済オンライン

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