2021.01.25
脳の専門医・霜田里絵さん「幸せな脳をつくる」小さな習慣<前編>|特集/ブレインヘルスの最新事情
「美のためにしていること」と聞かれれば、髪や肌を外から、あるいはからだの中からケアすることを思い浮かべがちですが、考えてみれば、からだのすべてをコントロールしているのは"脳"。脳のコンディションをよい状態に保つことは、からだ全体を美へ導くための近道です。医師の霜田里絵さんは、日々多くの患者さんと向き合うなかで、「日常の中で幸せを感じとることができる人は美しい」と実感していると語ります。その幸せは、けして特別な、大きなことではありません。ご自身も実践する、"幸せな脳をつくる"ための美の流儀とは? 前編では、朝カフェから眠るときの香りまで、1日を追ってご紹介します。
「朝カフェ」で脳内をスッキリさせる
私がここ10年、1日も欠かすことなく続けている習慣が「朝カフェ」です。どんなに忙しくても、これは譲れません。銀座のクリニックに出勤する前に、カフェに寄って、40〜50分過ごします。気に入っている店が5つくらいあって、お天気や時間、気分によって使い分けていますね。
カフェにいる間は、特別なことをするわけではなく、ただぼーっとしているだけなのですが、この時間が、私にとってはすごく重要。数年前、「デフォルト・モード・ネットワーク」という脳の機能があることが発表され、「人はぼんやりしているときに脳内を整理している」ことが証明されたのですが、実は私は、学生時代からよくぼーっとしていて、友達に心配されたりからかわれたりしていたんです。ぼーっとすることの意義がわかってもらえてよかった(笑)。私にとっての朝カフェは、よい状態で仕事を始めるために必須の習慣です。
「デフォルト・モード・ネットワーク」 ※外部サイトに遷移します
午後の診療の前に15分間横になる
もうひとつ譲れないのが「お昼寝」。午後の診療の前には必ず15分間お昼寝します。寝られないときでも、目をつむって横になります。午前の診療を終えて頭をクールダウンし、午後へ向けてアイドリングをする時間です。これも、朝カフェと同じく、私にとっては仕事のパフォーマンスを上げるためにマストの習慣です。仕事中はなかなか横になれないという方も多いと思いますが、せめて、パソコンやスマホから手と目を離して、脳を休める時間をもつようにするとよいと思います。
1日に1〜2杯の赤ワインを飲む
帰宅後は料理をつくり、毎日、赤ワインを飲みます。赤ワインに含まれるポリフェノールが動脈硬化を予防することはよく知られていますが、脳にとっても、認知機能を向上させるなどよい効果があります。私は1〜2杯、アルコールがNGのときはノンアルコールの赤ワインを飲んでいます。張りつめていた気持ちもほぐれ、精神的にリラックスできることも、脳によい効果を与えていると思います。
美しい写真を眺める
就寝までのリラックスタイムには、写真や絵を眺めます。私は、どちらかというと視覚からの刺激が効果的なタイプで、写真集や画集のほか、Pinterest(ピンタレスト)でいろんな画像を探しては、気に入ったものを集めています。風景が多いですが、都会、田舎、カラー、モノクロと、そのときの気分に合うものを選んでいますね。
音楽も聴きます。たとえばドビュッシーの『月の光』を聴きながら、静かな水面のイメージを思い浮かべる...。そうすると幸せな眠りにつくことができるんです。
好きな香りに包まれる
クリニックにはさまざまな患者さんがいらっしゃいます。医師という仕事柄、日中は香りをまとうことはできないので、私は夜眠るときに、香水をつけるんです。アロマの効能としては安眠に適したものもいろいろとあるのでしょうが、私がつけるのは、とにかく"自分が好き"な香り。柑橘系のものが多いですね。好きなものに包まれることで、睡眠の質も上がり、脳もゆっくり休めます。
霜田里絵(しもだ さとえ)
医師・医学博士。銀座内科・神経内科クリニック院長。順天堂大学卒業後、同大学病院の脳神経内科医局を経て、都内の病院勤務。2005年から銀座内科・神経内科クリニック院長を務める。2011年に医療法人社団ブレイン・ヘルスを設立、理事長に就任する。パーキンソン病、アルツハイマー病、脳血管障害、頭痛、めまい、しびれなどが専門。日本神経学会専門医、日本内科学会認定医、日本抗加齢医学会専門医、アメリカ抗加齢医学会認定専門医。『絶対ボケない頭をつくる!:脳の専門医が教える 元気に、長生きする方法』(学研パブリッシング刊)、『一流の画家はなぜ長寿なのか』(サンマーク出版)ほか著書多数。
取材・文/剣持亜弥
撮影/高木亜麗
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提供元:脳の専門医・霜田里絵さん「幸せな脳をつくる」小さな習慣<前編>|ワコール ボディブック