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2020.10.19

高望みアラフォー女性が婚活で惨敗するワケ|「最後のチャンスに出産したい」という常套句


「子どもが欲しい」と願って婚活に参入した女性が、なぜ婚活市場から去ってしまったのだろうか(写真:8x10/PIXTA)

「子どもが欲しい」と願って婚活に参入した女性が、なぜ婚活市場から去ってしまったのだろうか(写真:8x10/PIXTA)

婚活市場に参入したときに、誰もが陥る落とし穴がある。それは“自分の理想を曲げずに相手を選ぼうとすること”だ。しかし、選ぼうとしている相手からは、なかなか選ばれない。その厳しい現実に直面したときに、どうしたらよいのか。
仲人として婚活現場に関わる筆者が、婚活者に焦点を当てて、苦労や成功体験をリアルな声とともにお届けしていく連載。今回は、選ぶことばかりに固執し、数カ月で婚活市場を去った女性の話を軸にしながら、「婚活で結婚をするということ」を、改めて考えてみたい。

最後のチャンスに結婚して子どもが欲しい

現代の婚活は、婚活ポータルサイトに登録してマッチングを行うのが主流。そこには何万人という登録者がいるので、初めて参入した婚活者は、「こんなに選べる相手がいるのか」と驚くだろう。しかし、自分が会いたいと思う相手からはなかなか申し込まれない。また、会いたいと思う相手に申し込んでも、なかなか受けてもらえないのが現状だ。

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年明けに入会面談にやってきた大手企業に勤める満江(仮名、40歳)も、後にそれを感じることとなる。

「39歳なのですが、2月に40歳になります。今年中に結婚を決めて、最後のチャンスに出産もしたいんです」

満江は、開口一番にこう言った。アラフォーで婚活市場に駆け込んでくる女性の多くがこの言葉を口にする。そして、なぜこれまで独身でいたかというと、「恋愛や結婚よりも自分がやりたいことを優先してきた結果」だとも。

満江は言った。

「私が大学を卒業したときは、就職氷河期で大手企業の採用は狭き門でした。大学の仲間が苦戦しているなか、私は一応名前の通った会社に就職をしたんです。でも、一人暮らしなんてとてもできないお給料でした。世の中の景気に左右されている自分が情けなくて、20代はとにかく自立できる実力をつけなければと思ったんです」

実家住まいだったので、少ない給料の中からも貯金をし、キャリアアップを図るために、27歳のときにアメリカに2年留学をした。帰国後に、今の会社に就職をした。

彼女が、これほど自立にこだわったのには、理由があった。

「それは専業主婦の母を見てきたからです」

父親は大手企業に勤めており、日本のサラリーマンの平均的な年収よりもかなりいい額の給料を稼いでいた。経済面を担っている父が家族の中では絶対的存在であり、母のことを何かにつけ下に見ていた。

「父は今でいう“モラハラ夫”でした。『誰のおかげで生活できていると思っている』というのが口癖でした。キレやすい人だったので、腹を立てると、母のことを『このバカが』とか『脳なしが』と罵り、そのたびに母は泣いていました。

幼い頃は、家の中のことをキチンとして料理も上手な母のことが大好きでしたが、思春期に入った頃から、“母のような人生は送りたくない”と思うようになりました。結婚しても男性と同等でいるためには、私自身が自立しなきゃ、という気持ちが強くなっていきました」

父も母も教育熱心だったので、教育にはお金をかけて育ててもらった。大学も有名私大を卒業したのだが、世の中の景気の悪さに直面した。しかし、持ち前の頑張り屋気質で、突破口を見つけてきた。

「恋愛もしていましたよ。でも、20代の頃は、優先事項が自分のキャリアアップを図ることでした。そして30歳を過ぎたら、出会いのチャンスが途端に少なくなったんですよね」

そんななかで、“いい出会いがあったら結婚もしたい”と思っていたのだが、そんな出会いもなく年を重ねてしまった。

「気がつけば、もう40歳です。最近、浜崎あゆみさんや滝川クリステルさんが40歳を過ぎて出産したじゃないですか。あの方たちも、20代、30代と自分のやりたいことを全力でやり抜いてきた。そして、40歳を過ぎて母親になる夢もかなえた。行動を起こした人が勝ち。私も続きたいと思ったんです」

今までの人生を努力して切り開いてきた人の発言だ。

「本気で頑張ろうと思います。子どもを授かるなら、これが最後のチャンスですから」

そこには、確かな決意があった。

お見合いしたい相手が1人もいない

ただ努力だけではどうにもならないのが婚活である。結婚できる相手に出会えるのは、運も大きく関係している。努力家な人ほど、前のめりのやる気が、逆に空回りしてしまうことになる。

登録をして婚活を始めてみると、満江にお申し込みをかけてくるのは、40代後半、50代の、満江よりも年収の低い男性ばかりだった。

「お見合いを受けたいと思う男性がいません」

登録して2週間経った頃に、満江からこんな連絡がきた。もちろん理由は、年齢が上すぎること、年収が安すぎることだ。

私は、満江に言った。

「面談のときにもお話ししたと思います。高学歴、高収入の女性が、歳の近いご自身と同じくらいの年収の男性とお見合いするのは非常に難しいんです」

そもそも年収1000万円稼いでいる人は、日本全体の6%弱しかいない。その中には既婚者も含まれているから、独身者はもっと少ないパーセンテージになる。また、アラフォーで年収1000万円前後の男性は、20代後半、もしくは30代前半の女性と結婚したがっている。

「女性は歳を重ねるほどに、歳の近い男性と結婚をしたいと思っていますよね。それは、満江さんのように子どもを望んでいるからです。“働き手になる男性は少しでも若いほうがいい”という。でも男性は男性で、歳を重ねるほどに若い女性と結婚したがるんですよ。

アラフォー男性で、年収が1000万円近くあったら、20代後半か30代前半にお申し込みをかけますし、またその年齢層の女性とお見合いできます。40代後半、50代、60代の男性でも年収がいいと、10歳、15歳、20歳下の女性とお見合いしたがる。それもこれもやっぱりみなさん、子どもが欲しいからなんですね」

こうして、お互いに求めるベクトルが、きれいにすれ違ってしまう。

条件にこだわらず興味を引かれる人に会ってみては

以前、私の会員だった47歳の男性に、48歳の女性がお申し込みをかけてきたことがある。そのとき、彼がこんなことを言った。

「48歳? 話になりませんね」

これが25歳の男性と26歳の女性なら、結婚は十分にありうる話なのだ。

「お見合いを受けたい男性がいない」という満江に、こんな話をしながら、「40歳でも見た目や考え方が老成している人がいますし、50代でも見た目や考え方が若々しい人はいますよ。年齢や年収にばかりこだわるのではなく、興味を引かれる人がいたらお会いしてみたらどうですか?」と勧めた。

しかし、満江はけんもほろろだった。

「興味を引かれる方は、1人もいらっしゃいませんでした」

さらに、こんなことを言った。

「婚活における自分の立ち位置は薄々わかっていましたけど、こんなに市場価値が低いとは思いませんでした」

やる気満々だった人が出鼻をくじかれると、素直に取り組んでいた気持ちがどんどん萎えてしまう。ことに、これまでの人生を自分の力で切り開いてきたタイプの人は、努力ではどうにもならない婚活の理不尽さに、気持ちも後ろを向いてしまうのだ。

3月に入ると、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、オンラインお見合いが盛んに行われるようになった。

あるとき、満江から連絡がきた。

「申し込まれたこの男性の中に2人、気になる方がいます。出て行ってまで会う気持ちにはないけれど、オンラインならお見合いしてみたいです」

そこで、その2人の男性とのオンラインのお見合いをすることになった。ところが終えてみると、2人の男性からお断りがきた。

これは、さもありなんで、“出て行ってまで会いたくはないけれど、オンラインならお見合いしてもいい”。そんな満江のおごった気持ちがお見合いの会話の端々に出たのではないか。そんな女性と結婚したいと思う男性はいない。

自分が妥協してお見合いした相手からお断りをされて、満江はますます婚活に失望し、うまくいかない状況に怒りを覚えるようになっていった。

申し込んでまで会いたい人ではない

4月に入り、緊急事態宣言が出された。仕事がリモートワークになったという満江から、連絡が来た。

「実は直属の上司に、婚活を始めたことを伝えていたんです。それで上司から『緊急事態宣言期間中は、婚活をやらないように』と釘を刺されました。

『あなた個人にとって婚活は不要不急の外出ではないかもしれないけれど、会社で働いている人間として考えるなら、それは不要不急の外出です。あなたがコロナの感染者になったらいちばん迷惑を被るのは、一緒に働いている人たちなので、そこを自覚してください』と言われました。今月は休会とさせてください」

さらに、こう続けた。

「ただ今お申し込みがきている中で、2人お見合いを受けたい男性がいるんです。どうしたらいいでしょうか?」

そこで、私はこんなアドバイスをした。

「今は受けずに、お見合いを流してしまったらどうですか?」

結婚相談所の場合、受けたお申し込みも、かけたお申し込みも、なんの返事もしなければ2週間で無効となるという規約がある。

「今回は流してしまって、コロナが落ち着いたときに、こちらから申し込みをかけたらいいと思いますよ。もちろんそのときに、お2人の男性がまだ活動を続けていればの話ですけど。

そして、そのお申し込みをかけるときに、私が相談室に、『お申し込みをいただいたのが緊急事態宣言中のこともあり、お見合いが受けられませんでした。今どなたともお付き合いしていなかったら、お見合いを受けてくださいませんか?』とメッセージを添えますよ」

すると、満江は言った。

「申し込まれているから、お見合いしてもいいと思ったんです。こちらから申し込みをかけてまで、お会いしたい相手ではありません」

希望する相手とは、お見合いができない。また、コロナで婚活することを会社から制限される。そんな悪循環が彼女をますますいら立たせているのがわかった。

結局、その2つのお見合いは、返事をしないままに流してしまった。

5月に入って緊急事態宣言が明け、満江は年下の1000万円以上の男性6人にお申し込みをかけた。しかし、OKの返事は1件ももらえず、「ここには、私が結婚したいと思う男性はいませんでした」という言葉を残して、6月の末に私の相談所を退会していった。

婚活をして結婚するというのは、どういうことか

選べる相手はサイトの中に無数にいるし、お見合いの申し込みをかけるのは自由だ。

しかし、選ばれるよりも選ぶことばかりを考え、相手への理想を高く掲げていると、結婚にはたどり着かない。

50歳で私の相談所に入り、「子どもが欲しい」と言って、30代の女性にばかりお申込をかけている男性がいる。あれから3年が経ち53歳になったが、今も婚活真っただ中だ。昨年あたりから、女性の年齢を42歳まで引き上げたが、それでも結婚する相手にめぐり逢えずにいる。

出会いを放棄したら結婚はできないのだから、会い続けることが大事なのは言うまでもない。しかし、お見合いできたとしても、相手の気持ちをこちらに向けることができなければ、結婚にはたどり着けない。

男女ともに、“子どもが欲しい”という思いが、相手の年齢に制限をかけ、それが婚活を難しくしている。また、年収の高い女性は、年収の低い男性を選ばない傾向にあるのも婚活をこじらせている。

ただ、今の社会の中では結婚することが“人生における絶対的な価値”ではないので、自分が掲げている条件を取り下げて、妥協して結婚していくこともほぼ無理な話なのだろう。

婚活はしてみたが、理想の相手には出会えず、満江のように婚活市場から去っていくのも、個人の選択なのかもしれない。

今、なぜ自分が結婚をしたいのか。婚活に苦戦している婚活者は、今一度原点に立ち返って考えてみてほしい。

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提供元:高望みアラフォー女性が婚活で惨敗するワケ|東洋経済オンライン

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