2020.06.19
コロナを経て急増「脱・現金派」に伝えたい知恵|キャッシュレス生活をよりお得にするコツ
6月30日で政府のキャッシュレス・ポイント還元事業が終了します(写真:saki/PIXTA)
6月30日は、1年の折り返しの日でもあり、また政府のキャッシュレス・ポイント還元事業が終了する日でもある。
昨年、消費税10%引き上げ後の景気対策として打ち出されたが、新型コロナ蔓延ですっかり見える景色は変わった。感染予防策としてキャッシュレス決済を選択する人が増えたからだ。
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バンドルカードを提供するカンムが発表した「お金に関する衛生観念と行動の変化 意識調査」(2020年4月発表)によると、57%が「お金の取り扱い意識が変わった」と答えており、とくに「硬貨を触る(58%)」「紙幣を触る(52%)」「ATMを操作する(56%)」といった接触を気にしている。そのため、約半数が「キャッシュレス支払いを選ぶようにしている」と回答。
同社が行った過去のアンケート結果と比較すると、「ほぼすべてをキャッシュレスで支払う」と答えた人の割合は、2019年6月が4%だったのが、2020年4月には10%まで伸びている。誰が触ったかわからない現金への恐れは、一度芽生えるとなかなか消えないだろう。2025年までにキャッシュレス比率を4割までに高めたいという政府の願いは、皮肉にもコロナ禍のせいで実現しそうだ。
6月で終わるこのポイント還元事業、必要なものがあれば取りこぼさずに買っておきたい。テレワークに必要な機材やデスク用品、ウイルス対策用の空気清浄機、エアコンをつけずに涼を取るための卓上クーラーなど、ネットの5%還元ショップで買うのもありだろう。
近場レジャーや防災装備にも活用できるアウトドアグッズをそろえるのも1つだし、かなり値段が落ち着いてきた箱マスクを秋冬用にまとめて買っておく方法もある。
さすがに6月末が近づくと、駆け込み購入も起きかねず、そうなると手ごろな価格のものはどんどん品切れになる可能性もある。気になっている商品があるなら、くれぐれも出遅れないようにしたい。
スマホ決済はこれから巻き返しに?
政府のポイント還元策の総括はまだだが、経済産業省の報告によれば、2020年3月9日までにポイント還元を受けるために決済された金額は、約6.9兆円。15歳以上の日本の人口約1.1億人で割ってみると、1人当たり約6万円をキャッシュレス決済で支払ったことになる。また、ポイント還元額の約9割(約2440億円)は個店によるもので、チェーンであるコンビニの還元額は約11%の300億円ほど。還元事業の出だしは、コンビニ使用が牽引する形だったが、ずいぶん変化している。
なお、対象決済金額別にみると、金額が多い順にクレジットカード(約64%)、その他電子マネー等(約29%)、QRコード決済(約7%)となっているが、これは順当だろう。巣ごもり生活でネット決済が増えたこともカードが強い一因だと思われる。QRコード決済、いわゆる「〇〇ペイ」については、外出自粛でお家芸たるポイント増額キャンペーンが打ちにくかったせいか、やや尻すぼみにも見える。
とはいえ、緊急事態宣言解除とともに消費マインドも向上しつつあり、そろそろ太っ腹キャンペーンが打ち出されるだろう。さっそくPayPayは対象のオンライン加盟店を対象にした「最大10%戻ってくるキャンペーン」や、抽選で決済額の10倍のPayPayボーナスが当たる「ペイペイジャンボ(オンライン)」を打ち上げた(6月末まで)。
政府のポイント還元事業はいったん終了するにしても、感染防止のために示された「新しい生活様式」では、キャッシュレス決済を推奨している。還元事業に参加した約115万店はすでに対応を整えた。消費者も現金忌避の意識が高まっており、Withコロナの時代は引き続きキャッシュレスが消費のメインストリームになることは間違いないだろう。
しかし、コロナ前とは明らかに消費の“場”は変わりつつある。
テレワークによる在宅勤務が増え、電車に乗ることが減れば、外出途中のターミナル駅周辺などでの消費は減り、自宅周辺で食品や日用品を買うことも多くなるだろう。となると、交通系電子マネーよりも近所のスーパーやドラッグストアで還元メリットがあるカードやスマホ決済を選ぶほうがいい。
また、ネットショッピングやデリバリーなどの利用で、オンライン決済は今後も増えるだろう。支払いにそのまま使えるポイントがたまりやすいものを選べば節約につながるはずだ。
クレジットカードの選び方にも変化が出てくる。これまでせっせとマイル修行をしてきた人も多いが、国内外の旅行がままならない現状では士気も下がる。空港ラウンジやホテルでの優待をうたうカードも同様だし、接待で使う店の相談に応じてくれたコンシェルジェサービス付きのプレミアムカードも出番がない。今は「すぐに役立つポイントがたまる」カードのほうが役に立つかもしれない。
ケータイ会社のポイントはスマホ払いの原資になる
「すぐに役立つポイント」とは、キャッシュレス払いの原資に使えるポイントを意味する。代表的なのは、抜群の強さを誇る楽天ポイントだが、これから強いのは携帯会社が付与するポイントだろう。
ドコモユーザーには毎月のケータイや「ドコモ光」利用料金1000円(税抜)ごとに10%のdポイントが還元される。今回、在宅勤務のために光回線を引いた人もいるだろうが、そういう人も恩恵にあずかれる。
たまったdポイントは、「d払い」の残高としてスマホ決済で使うことができる。さらに、クレジットカード「dカード」を保有し、ドコモ料金の支払いに設定すれば「スーパー還元プログラム」の対象になり、d払いかiD払いをした際のdポイント還元率が1%アップされる。
通常のショッピングでdカードを使えば100円で1%還元、dポイント加盟店ならさらに提示で1%がつく。ネットショッピングの際は「dポイントUPモール」を経由することで、さらに1.5~10.5倍たまる。たまったdポイントはAmazonの支払いにも使えるのが強い(事前に設定が必要)。
auユーザーには契約年数とデータ定額料に応じてもらえるポイントがあるが、これまで付与されていたau WALLETポイントが、共通ポイントのPontaに統一された。これまで加盟店で提示するだけでたまっていたPontaがau PAYの残高としてチャージすることが可能となった(PontaとauのIDを連携することが必要)。au PAYアプリにはデジタルPontaカード機能も搭載されていて、対象店舗ではPontaカードの提示とau PAYの決済で最大1.5%のポイントが獲得できる。
さらに「au PAY カード」を保有し、それでau PAY残高へのチャージまたは利用(通常ポイント)で別途1%が加算される。しかし、現在「リクルートカード」を保有していれば、やはりau PAYが使いやすい。還元率1.2%で人気のこのカードでたまるリクルートポイントをPontaに交換すれば、Ponta経由でau PAYの残高にできるからだ。
ちなみに、ローソンが近所にあるならau PAY決済でいいだろう。200円(税込)で4%の8ポイントが還元され、カード提示と合わせて5%還元になる(期間限定のキャンペーン)。
スマホ決済でトップを走るのはPayPayだが、ソフトバンクユーザーにはスマホ利用に応じたPayPayボーナスそのものの付与はない。しかし、毎週日曜日はYahoo!ショッピングやPayPayモールでの買い物で、最大10%のPayPayボーナスライトが付与される。
また、PayPay残高へのチャージには「ヤフーカード」が欠かせない。PayPayの各種キャンペーンは残高払いが条件になることが多く、現在クレジットカードでのチャージはこのカードしか対応していないからだ(カード以外でもATMからのチャージなども可能)。ヤフーカードでYahoo!ショッピングの決済をすればPayPayボーナスライトが1%付与されるメリットもある。
ネットショッピングの際に使うデバイスは、PCよりスマホが主流だ。そして、決済にもスマホが大きな役割を果たす。カード決済でたまるポイント、ネットショッピングでたまるポイント、リアル店舗でのスマホ決済でたまるポイント、そしてスマホの利用料でたまるポイントのすべてが合致し循環できれば最強だろう。
むろん、ポイント戦略・カード戦略は自社サービスに囲い込むためのものだ。その狙いを承知したうえでなら、キャッシュレス払いのサイクルを集中させるのは悪くないだろう。
決済時の接触ストレスがないことも大事
店舗でのキャッシュレス決済は、コロナ感染予防としてはカードやスマホのタッチ式(非接触型)やコード決済(提示式)を選ぶことになるだろう。クレジットカードやデビットカードだと、カードをレジの店員に手渡し、決済端末に暗証番号を指で入力するという行動が発生するためだ。
クレジットカードも近年はタッチ(コンタクトレス)決済で使えるタイプが増えてきてはいるが、まだまだ対応店舗が少ない。アップルペイやグーグルペイに対応しているカードを選んでタッチ決済するのが望ましい。
生活必需品を扱う店に目を向ければ、クレジットカードのほかにコード決済を取り入れるスーパーがずいぶん増えた。ドラッグストアや家電量販店も大手はほぼスマホ決済に対応しているので、現金のやり取りは必要ない。
ポイントカードやクレジットカード情報はスマホに格納し、たまるポイントを店舗での支払いに充当すれば、コロナ時代の節約術として大いに活躍するはずだ。
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提供元:コロナを経て急増「脱・現金派」に伝えたい知恵|東洋経済オンライン