2019.05.15
【特集/年齢に負けない髪に】 加齢とともにヘアに起きていること
----ここ数年、黒髪が注目されているものの、ブラウン系などの明るい色のほうが「肌に合う」「おしゃれに見える」という理由で、成人したころからカラーリングを繰り返している人は多いのではないでしょうか。となると、気になるのが髪へのダメージ。さらに、30代半ば以降は白髪やボリュームダウンといった悩みも加わるため、ヘアケアを見直したいところです。女性頭髪専門外来で診察をしている浜中聡子先生に、大人の髪の状態について伺いました。
30代後半から髪の毛に変化が
髪の毛は、頭皮の外側にある毛幹と、頭皮の内側にある毛根からできています。私たちが普段"髪"と呼んでいるのは毛幹ですが、髪がつくられるのは毛根の中の毛球部分。毛球の中には毛母細胞が詰まっていて、中心に毛乳頭という組織があります。毛乳頭が「髪をつくりなさい」という指示を出すと毛母細胞が分裂し、肌の角層が角化して毛髪となり伸びていくのです。このように、毛母細胞の働きが活発になり、細胞分裂を繰り返して髪の毛がつくられる成長期(2〜6年)の後、毛母細胞の働きが少し衰える退行期(2〜3週間)へと移行し、毛母細胞の働きが停止する休止期(3〜8か月)を経て、髪の毛は抜け落ちていきます。
全部の髪の毛が一斉に成長期に入るわけではなく、ヘアサイクルは1本1本異なります。だから毎日抜けても、一定の量を保つことができるのです。ところが30代後半になると、抜け毛の量が増える、髪が細く柔らかくなってくる、うねりが出てくる、頭皮が乾燥する......といった変化が大なり小なり、誰にでも出てきます(1日80〜100本程度の抜け毛は正常の範囲)。
変化の主な原因は、 血流の低下とホルモンバランスの乱れ
頭皮に限らず、全身に言えることなのですが、加齢とともに血流がよくなる部分は残念ながらありません。血流量が低下することで、毛母細胞が酸素や栄養をスムーズに取り込めなくなり、ヘアサイクルが乱れます。すると、毛が成長しないまま休止期に入ってしまうため、短くて細く柔らかい抜け毛が目立ってくるのです。また、女性ホルモンの分泌量低下も髪の量や質が変化する一因です。無理なダイエットによる栄養バランスの乱れ、睡眠不足、お酒の飲み過ぎ、喫煙も影響してくると考えられます。
頻繁に行うカラーリングは、頭皮に負担をかける原因のひとつ。ブリーチは、メラニン色素を分解して脱色し、髪の内部で染料を結びつけるため、頭皮へのダメージは避けられません。一方ヘアマニキュアは、メラニン色素は脱色せず、表面をコーティングするだけなので、頭皮への負担は少ないのが特徴です。カラーリング時に、頭皮になるべくつかないように染めてもらうなどの工夫をしていると思いますが、繰り返すことでツヤがなくなるなどのダメージが進むうえ、頭皮・頭髪に合わない成分が入っているとトラブルになる可能性もあります。とはいえ、白髪が目立ち始めると、白髪染めをする頻度が高くなってしまいがち。部分染めをうまく活用するなど、極力、頭皮・頭髪のダメージを軽減できるよう工夫してみてください。
----「肌の表皮は生まれ変わりますが、髪(毛幹)は死んだ細胞の集まりなので、自己修復力がありません。一度傷んでしまうと自然に元に戻ることはないため、トリートメントやヘアオイルなど外からの補修に頼らざるを得ないわけですが、髪質の変化や抜け毛、薄毛の予防はからだの内側からケアすることが大事」と話す浜中先生。次回、加齢による抜け毛や髪質の変化を遅らせる方法をご紹介します。
浜中聡子
ウィメンズヘルスクリニック東京 院長。医学博士。国際アンチエイジング医学会(WOSAAM)専門医、米国抗加齢医学会(A4M)専門医、日本抗加齢医学会専門医。『髪をあきらめない人は3つの生活習慣をもっている』(学研プラス)、『女性のための頭皮外来』(扶桑社)など著書多数。
先生/浜中聡子(ウィメンズヘルスクリニック東京 院長)
取材・文/山崎潤子
イラスト/はまだなぎさ
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提供元:【特集/年齢に負けない髪に】 加齢とともにヘアに起きていること|ワコール ボディブック