2019.04.08
「3回の壁」を越えられない婚活男性の共通点 │デートの割り勘は、アリなのかナシなのか
お互いを知るべくデートを重ねるうえで、真剣交際に入れるかどうかには「3回の壁」というものがあります(写真:tomos/PIXTA)
お見合いをして交際に入っても、1、2度食事をすると、その後が続かずに交際終了になってしまう人たちがいる。
仲人として婚活現場に関わる筆者が、毎回婚活者に焦点を当てて、苦悩や成功体験をリアルな声とともにお届けしていく連載。今回は、「お見合い後、交際から結婚につながらないのはなぜか」を考える。
3カ月ほど前、大木康司(38歳、仮名)が入会面談にやってきた。大手相談所で1年活動をし、お見合いは20回近くしたのにうまくいかなかったという。
「その中で、8人とは交際に入れたんです。でも、1度か2度食事をするとその先が続かなかった。僕が断ったり相手から断られたりすることもあったけれど、互いに連絡を取らなくなって、最終的に交際終了になったこともありました」
立ちはだかる「飲食3回の壁」
有名私大を卒業し、都内のメーカーで働いていている康司の年収は600万円。身長170センチにスリムな体型で、清潔感のある風貌には好感が持てる。お見合いは“条件ありき”の出会いなので、彼の見た目、年齢、年収があれば、お見合いはスムーズに組めるだろう。
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しかし、その後の交際が続かない。
「お見合いに“飲食3回の壁”があるのをご存じですか?」
私は、康司に尋ねた。1時間程度お茶を飲みながらのお見合いの場合、“話しやすかったな”と思っても、お相手の人柄まで把握することはできない。交際に入って一緒に食事しながら会話を交わすと、印象がガラリと変わることがある。
一緒に食事をしたときに、そのマナーが受け入れられないこともある。クチャクチャと音を立てて食べたり、運ばれてきた料理をシェアもせずに黙々と自分だけで食べてしまったり。マナーに気になるところがあると、交際は1度の食事の後に終了となる。
1度食事をしてみたものの、可もなく不可もなしだった。そうした場合は、「じゃあ、もう1回は会ってみるか」と2回目の食事に進むことになる。このときも可もなく不可もなしだった場合、人間の心理として、また次に進もうという気持ちにはなりにくい。
よって、お見合いを終えて1、2度の食事ののちに、交際終了になることがとても多い。いわゆるこれが、婚活における“飲食3回の壁”だ。
私がこの話をすると康司は言った。
「クチャクチャ音を立ててものを食べることはしていないと思うし、運ばれてきた料理は、まずは僕が取り分けて女性に先に渡すようにしています。それでも1、2度の食事で終わってしまうのは、やっぱり僕の話がつまらないからでしょうか。人間的魅力がないのでしょうか? 何を気をつければ、その先に進めるんですかね」
そこで、私はこんな失敗はしていないか、さらに注意を促した。
独りよがりの会話になっていないか
「今日のお見合い、すごく楽しかったし話も盛り上がりました。交際希望でお願いします」と報告してくる会員がいるのだが、お相手からはお断りがくることがある。そうしたときに、相手の相談室にお断りの理由を尋ねると、たいていこんな言葉が返ってくる。
「何だかご自身のことばかりをすごく楽しく話されていたようです。あまりこちらの話は聞いていただけなかったようでした」
独りよがりの会話をする人がいる。
例えば、「休みの日は、何をすることが多いですか」という質問をして、相手が「家の片付けをしたり、映画に行ったりしています」というと、「映画が好きなんですね。僕も好きで最近観た〇〇は、最高に面白かったな」と、その映画の話を楽しそうにひとしきり語る。相手に話は振るのだが、相手が答えたワードの1つを拾って自分の話をしだす。こういうタイプは、自分は会話を楽しんでいても相手は退屈しているのだ。
「僕は自分のことを語るタイプではないと思います。ただ、沈黙になるのが怖いので、やたらと質問をしてしまう傾向にはあるかもしれません」
康司のようにやたらと質問を振り、一問一答形式になってしまうのも、お見合いの会話を失敗させる悪いパターンだ。
また、お見合いの席で、婚活の活動歴を聞いてくる男性もいる。
「どのくらい活動されているんですか? 何回くらいお見合いをしたんですか?」
活動歴を尋ねられたら心地よくないだろうし、正直な数字を言う女性も少ないだろう。
「あ、活動歴は聞いたことがあります。質問することがなくなってしまって、会話が途切れるのが嫌で、苦し紛れについ聞いてしまったことがあります」
もう1つ大事なのが、お見合いやデート代の支払いをどうするかだ。私は、康司に尋ねた。
「お見合いのお茶代、デート代はどうしていますか? 割り勘や女子割にしていない?」
デートの割り勘は、アリなのかナシなのか
女子割とは、4:6や3:7で、男性が多めに払うことだ。これは、合コンなどの団体のときは有効だが、一対一の場合は無効。女性は100円でもお財布から出せば、「お金を払った」という感覚になる。
「例えば2人で1000円のランチをして、会計が税込2160円だったとしますよね。このとき、『160円細かいのを持ってない?』と女性に聞くのは、消費税分のたったの160円で男の株を下げてしまうのよ」
こう言う私に、康司はきっぱりと言った。
「支払いに関しては、僕がすべて出しています。女性に払ってもらったことは、一度もありませんよ」
デート代をどう支払うかに関しては、人それぞれ考え方が違うだろう。以前、私の会員でこんなことを言った男性がいた。
「男女平等の社会なんだから、お茶や食事をしたら女性からもお金を払ってもらってもいいと僕は思っていますよ。今後付き合うか付き合わないかわからない相手に、男性だけがお金を丸々払うのはおかしい。そのかわり、彼女と真剣に結婚を考える“真剣交際”に入ったら、僕は全額を出しますよ」
確かに理屈はそうかもしれない。しかし、婚活をうまくいかせたいならこれは真逆の支払い方法なのだ。お見合いを経て、交際に入ることを、業界用語で“仮交際”といい、この期間は、ほかにお見合いをしてもいいし、複数の人と仮交際をしていてもいい。なぜなら、ここは人柄を見極めている期間だからだ。
その中で、“この人となら結婚に向かえる”と思ったら、結婚を前提として付き合う“真剣交際”に入る。真剣交際に入ったときには、ほかに仮交際をしている人たちには“交際終了”を出す。
仮交際の期間は、女性が複数の男性とデートをしている。そんなときに、ある男性は毎回ごちそうしてくれるのに、ある男性はきっちり割り勘にする。またある男性は女子割にする。
抜きん出たコミュニケーション能力や人間的魅力があれば別だが、この3人が並列にいたら誰がいちばんポイントを稼ぐかというと、ごちそうをしてくれる男性なのだ。
また、真剣交際に入ったら、もう結婚に向けての具体的な話をして、お互いの価値観をすり寄せていく時期なので、ここからは割り勘や女子割にしてもいい。見栄を張ったり格好をつけたりするのではなく、お金の使い方を話し合っていくことも結婚を考えている2人ならば大事なことだからだ。
ただし女性も男性にごちそうになることに甘えてはいけない。 “デート代は、男性が払って当然”と思っている人は、男性からまず選ばれない。食事をごちそうになった後にお茶代を払ったり、次のデートのときにお礼のプレゼントを持っていったりするような気配りができる女性に、負けてしまう。また、デートの前に1万円札を千円札に両替して、合計金額の半分より少ない額を、「これ、取ってください」と男性に手渡す気遣いができる女性もいるのだ。
お金の払い方、使い方には、その人の人間性がいちばん出る。
飲食3回の壁の次に待つ「触れ合いの壁」
康司が私のところで活動するようになって、飲食3回の壁を越える女性、吉野小百合(38歳、仮名)が現れた。
「最初のお見合いのときから、不思議と緊張せずに自然体で話すことができたんです。何ていうのかな、吉野さんって、いつも気持ちがフラットで、どんな人も分け隔てなく公平な目で見ているというか。そういうところがいいなと思っています」
“自然体で話ができた”というのが、飲食3回の壁を越えられた最も大きなポイントだろう。これまでのお見合いは、対峙した相手に身構えてしまったり、沈黙が怖くて細かな質問を繰り返してしまったり、相手の反応が悪いと焦ってしまったりと、自分らしく振る舞えなかった。ところが小百合には、ごく自然にありのままの自分が出せた。そこは小百合のコミュ力の高さがそうさせたのかもしれない。
小百合に会うたびに惹かれていったようだが、飲食3回の壁を越えて、康司には次の課題が出てきた。面談のために事務所にやってきた康司は、ソファに座るなりこんなことを言った。
「お付き合いは順調なんですが、今後はもっと距離を縮めたい。手をつなぐとか、触れ合うタイミングがわからなくて。皆さん、どのタイミングでそういうことをしているんですか?」
飲食の壁の次に待っているのは、この“触れ合いの壁”だ。手をつないだり、抱きしめたり、キスをしたり、それをするのはたいてい男性側なので、どのタイミングでしたらいいのか。またしたことで拒否をされないか、悩むところだろう。
康司のみならず男性会員には同じ質問をされることがあるので、私はいつもこうアドバイスしている。
「自然に触れ合うことができるデートに行くといいですよ。例えば遊園地に行ってアトラクションに乗り降りするときに、手を貸してあげる。一緒に登山をして、女性の足元がおぼつかないところがあったら、自分が先に行って引っ張り上げてあげる。そうしたことでまずは自然に触れ合うきっかけを作れば、その次には手をつないで歩くこともできるようになるでしょう?」
そして、この触れ合いによって、また2人の関係に1つの答えが出てくることも確かなのだ。
「生理的に合う」「生理的に合わない」という言葉があるが、触れ合ったときに、それを心地よく感じるか、体が拒否反応を起こすか。それは本能が導き出す答えだ。どんなに誠実でいい人だったとしても、触れ合ったときに違和感を覚えることがある。これは理屈では拭い去れない。
そこで女性会員には、「いいなと思ってお付き合いしている男性とは、ドライブデートをしてみるといいわよ」とアドバイスしている。
車という狭い空間に2人でいることが嫌ではなければ、おそらく触れ合ったときに違和感もないだろう。また、車の運転というのはその人の人柄が出る。たまたま赤信号が続いたことにイラッとしたり、脇道から飛び出してきた自転車や車に舌打ちしたり、車にあおられたときに暴言を吐いたりするような男性は、それが後にパートナーの女性に向けられることになる。
康司は週末に、小百合とディズニーランドに行くことになったようだ。
「お天気だといいな。あ、でも雨だったら相合傘ができるから、そこでもまた距離が縮まりますよね」
“飲食3回の壁”を越えた2人が“触れ合いの壁”を越えられるか。
2人の今後を温かく見守りたい。
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提供元:「3回の壁」を越えられない婚活男性の共通点│東洋経済オンライン