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2018.10.18

家計管理がうまい夫婦の関係が良好な理由│夫と妻、どちらが家計を握るべきか?


子供の成長など、ライフステージに合わせて家計の管理方法も柔軟に変えていくのがベスト。それに欠かせないのが夫婦のコミュニケーション(写真:HM/PIXTA)

子供の成長など、ライフステージに合わせて家計の管理方法も柔軟に変えていくのがベスト。それに欠かせないのが夫婦のコミュニケーション(写真:HM/PIXTA)

私は、30代のワーキングマザーの家計専門FP(ファイナンシャルプランナー)として、さまざまな家計の悩み相談に乗っています。

子供の教育、家の購入や建て替えといった夫婦間の「お金」について、奥さんからの相談をよく受けます。その中で圧倒的に多いのが、「夫がお金を勝手に使ってしまう」と「夫婦とも家計管理が苦手で何もしていない」の2つのケースです。家計管理のパターンは、(1)夫にお小遣いを渡す、(2)夫が妻に生活費を渡す、(3)共通口座にお金を出し合う、の3つが代表的です。では、実際には夫と妻、どちらがどう家計管理をするのがいいのでしょうか。

「妻の小遣い」もしっかり設定しているか

まずは(1)の「夫の収入を妻がすべて預かり、夫にはお小遣いだけを渡す」タイプから見ていきましょう。世界的には珍しいですが、日本では昔ながらのスタイルですね。このタイプのメリットは、夫婦ともに小遣い制がきちんと実行されていれば、いちばん貯まりやすい点です。収入と支出全体が把握しやすく、小遣いは金額が決められているので、管理しやすいのです。

一方、デメリットは夫からすると「妻から小遣いをもらう」ことに抵抗があったり、小遣いの額が低く設定されやすいため不満を感じる点です。またこのケースで盲点なのが、「夫は小遣い制なのに、妻は野放し」というケースです。「そんなに使わないから」と、家計費に紛れ込ませた「妻費」がいつの間にか増えていくことで、お金が貯まらないケースはよくあります。

小遣い制の場合、妻の小遣いも必ず設定して、小遣いで使える範囲を定義することが必須といえます。また、妻による「独裁家計」にならないように、毎月の支出、貯蓄など、積極的な情報開示とコミュニケーションが必要になってきます。

次に(2)の「夫が給与の中から妻に一定の生活費を渡し、妻がそれでやりくりする」タイプも昔からよくとられています。

このタイプのメリットは、夫は自分の収入や細かい支出まで口出しされることがないので、「自分のお金」を自分の意思で使っていると感じやすく、主導権を握りたい人には適している点です。

デメリットは、妻が夫の収入や渡されている生活費以外の支出をまったく把握できないので、家計の総合管理ができない点です。渡した金額の中で貯金もするのか、それとも夫が貯金をしたうえで生活費を渡すのかにもよりますが、このケースの場合、貯金や大きな支出については夫任せになることがほとんどです。夫自身がきちんとお金の管理ができないと、余計な保険に入っていたり、将来の出費に対しての貯金ができていなかったりするのです。

また、子供が成長して支出が増えたときに手渡す生活費を増やさずに、妻のやりくりに難癖をつけて、いつの間にか「生活費を適正に渡さない」という「経済的家庭内暴力」のような状況に陥っていることもあります。収入やお金の使い道を知らされないことで、口に出さないまでも不満や不安を抱いている妻は少なくありません。収入や支出の情報開示をしながら、生活費の金額についても定期的に話し合う必要があります。

貯金は共有口座ですべきか、各自ですべきか

最後に、「共有口座を設けて、そこにお互いが家計費を出し合う」タイプを見てみましょう。これは特に共働きでよく見られるケースです。

このタイプのメリットは一見公平で、それぞれの収入について口出しされる心配がない点です。ずっと共働き前提の夫婦は、この形をとる場合が多いですね。一方、デメリットは、老後費や教育費といった「どちらの責任か」をいえないお金であとあともめやすい点です。貯まっていると思っていたのに、まったく貯まっていなかったというトラブルもよくあります。共有口座ですべてを貯めていくのか、それともそれぞれが自己責任で貯めるのかで大きく違ってきます。

また、出産や子育ての際、妻の収入は変動します。そのため、出し合う金額の調整ができなかったことで、「独身時代の貯金から何とか共有口座に入金しなければならず困っている」といった類の相談もありました。この形をとる場合、「貯金計画」が重要になります。お互いに口出しされなくていい状態にしたいのなら、家族に関する貯金はガラス張りにすることが大事です。

ほかには、次のような方法もあります。住宅関連と保険、水道光熱費は夫、通信費と食費、日用品、子供関係は妻といったように、費目で負担を分けるケースです。このケースも、共働き夫婦の家庭でよく見受けられます。それぞれ割り振られた費目に関して責任をもって対応すれば、残りは自由に使えるというタイプです。

メリットは、共有口座の場合と同じく「自分の収入に口を出されたくない」人に適している点です。デメリットは、担当費目の支出の増減が起きたときや、収入のバランスが崩れたときに不公平感が生まれやすい点です。

この方法はどちらかが家計の管理をするわけではなく、お互いの裁量で管理されるので、しっかりとした計画がないと「生活には困らないけど、貯金はない」という状態に陥ることです。それぞれが自立しているのはいいことですが、そのせいでかえって、「恋人が同棲している」ような状態になり、子供にまとまったお金がかかるころになって、急にトラブルが発生することになります。費用負担を決めるのと同時に、貯金についても話し合い、定期的に状況を報告し合うなどして、「家族として」の貯金が用意できる状態にしておきましょう。

ライフステージに合わせて管理方法も変えていく

いずれのタイプの家計管理をしていても、うまくいかないというケースの8割は、夫婦のコミュニケーション不足が原因です。以前、相談を受けたケースでは、夫が「自分の給料はすべて俺の金」というスタンスを崩さず、困っているというものでした。いろいろな手を講じてお互いにとって最もいい形を目指しましたが、話し合いをする度に「今さら変えられない」の一点張り。おおよそ1年間の相談期間で、話がどんどん「離婚」の方向に向かっていったのです。妻も経済的には自立できる程度の収入があり、育児休業中も日々の暮らしにも困っていなかったので、コミュニケーションをとらなくても問題ありませんでした。しかし、徐々に不信感を募らせていってしまったようです。

結局のところ、重要なのは、どちらかが主導権を握ることではありません。そして、どちらかに責任を押し付けず、独裁者にならないこと。あと何十年も一緒に暮らす家族と話し合いができないなんて、どう考えてもデメリットしかありません。

一度決めた家計管理の方法は一生続けられるものでもありません。ライフステージや暮らし方の変化とともに変えていくものです。結婚したときや子供が生まれたタイミングは、「家族のお金」を意識する起点となります。そこでコミュニケーションを怠ったがために、「一緒にいる意味がわからない」「仲が悪いが、お金もないので離婚できない」という残念な夫婦にならないためにも、コミュニケーションを厭わず、お互いにとって心地のいい家計管理の形を作り上げていただきたいと思います。

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提供元:家計管理がうまい夫婦の関係が良好な理由│東洋経済オンライン

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