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2018.10.17

「ホワイトニング」本当は怖い健康被害の実態|個人輸入の薬剤を使い歯肉がボロボロに


医療機関以外でのホワイトニングはリスクもあるようです (写真:kou / PIXTA)

医療機関以外でのホワイトニングはリスクもあるようです (写真:kou / PIXTA)

「芸能人は歯が命」――。

このキャッチコピーを覚えていますか? 1995年に話題となったサンギの歯磨き剤・アパガードのコマーシャルで使われていました。東幹久さんと高岡早紀さんのコミカルな演技が話題を呼び、なんと1996年の同商品の売り上げは140億円に達したそうです。ものすごいですよね……。

私が子どもの1970年ごろの歯磨き粉のコマーシャルと言えば、「リンゴをかじると歯茎から血が出ませんか?」でした。当時の日本人の歯周病罹患率はかなり高かったそうで、デンターライオンの名はこのCMでかなり浸透したようです。

このように歴史からみても日本国民の口腔意識は時代とともに変化してきています。虫歯や歯周病の疾患治療だけでなく、輝く白い歯にして欧米人のように相手に好印象を与える歯の審美的な意識が強くなったのでしょう。

ホワイトニングは歯を削らず明るくする

近年ではホワイトニング(歯牙漂白)に注目が集まっています。歯を美しく見せる審美歯科治療の1つで、薬剤を用いて色素を抜き天然歯を白くすることすべてを指します。歯を大きく削り被せ物をするセラミッククラウンや、歯の表面を少し削り薄い板を張り付けるラミネートべニアなどの修復補綴(ほてつ)処置を含める場合もありますが、一般的にはホワイトニングといえば歯を削ったりすることなく明度をアップさせることを示します。

ホワイトニングは歯科クリニックで行う「オフィスホワイトニング」と、自分で行う「ホームホワイトニング」の2つに大別されます。

オフィスホワイトニング用薬剤は濃度が高いので特に注意が必要です。濃度が高い分早くホワイトニング効果が出るので、国家資格を持つ歯科医師や歯科衛生士が必ず取り扱わなければなりません。

オフィスホワイトニングは最初に基本的な口腔内検査を行い、大きな虫歯や不適合な充塡物がある場合はまずその処置を行います。そのままホワイトニングをすると薬剤がすき間に入り込んで痛みを誘発したり、神経に悪影響を及ぼしたりしますので、この事前のチェックは必ず行わなければなりません。

また、術前クリーニングをしっかり行わないと汚れが沈着したままですので、歯質に薬剤が浸透せずホワイトニング効果が落ちることになります。そういった術前準備をきちんと行ったうえで、高濃度の薬剤を安全に使用していかなければなりません。その後、歯肉を保護し高濃度のジェルを歯に塗布します。ハロゲンライトやLED、レーザーなどを薬剤に照射すると過酸化物の分解が促進されるのでホワイトニングがスピードアップします。歯の厚みなどは個人差も大きいので、効果と歯質への影響を注意深く確認しながらホワイトニングを進めていきます。

ホームホワイトニングは安全な低濃度の薬剤を使用してご自身で行う方法です。薬剤が歯肉にはみ出ないように、歯科医院で個人の歯形に合った専用のマウスピースを作り、そこに自分でジェルを流して装着します。

ただし、どうしても薬剤量のコントロールが難しいので、はみ出てしまうことも。そんな場合でも歯肉に悪影響が出ないように濃度を低くして安全性を保っています。そのため、オフィスホワイトニングに比べて白くなるスピードはゆっくりですが、白さの維持力が長いとも言われています。そんなことから、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用して行う方法をとるクリニックもあります。

医療機関以外での施術でトラブル多発

街で「ホワイトニング専門クリニック」や「ホワイトニングサロン」をよく見かけます。一般の人から見るとどちらも一緒のように思えますが、この2つはかなり違うので注意が必要です。「ホワイトニング専門クリニック」は歯科医院。そのため、そこには必ず歯科医師が在籍していますし、国家資格を持った歯科衛生士と一緒に安全なホワイトニングを行ってくれると思います。もちろん前述した基本的な検査や虫歯治療なども行ってくれるでしょう。

しかし「ホワイトニングサロン」は医療機関ではないところが多く存在します。法的に「医院」や「クリニック」といった名称をつけることができないので「サロン」などとしているのかもしれません。医療機関でもないのにどのようにしてホワイトニングを行っているかというと、あくまでも「ご自身で行うホワイトニングの場所提供」なのだそうです。「セルフホワイトニング」ともいわれています。

最近はスポーツクラブや美容サロンでもこのセルフホワイトニングを行えるようですが、トラブルが多いようでご相談をいただくこともあります。まつげエクステがトラブル多発で美容師しかできなくなったように、もしかしたら何らかの指導が入るかもしれません。

つい最近来院された患者さんは歯肉が白くただれており、「痛みが強く耐えられない」と相談にいらしたのです。よくよく話を聞くと、昔歯科クリニックでホームホワイトニング用に作ったマウスピースに、海外通販サイトで購入したホワイトニングジェルを入れて装着し、いつものようにお休みになったそうです。

ところがその購入したジェルはホームホワイトニング用の濃度が低いものではなく、オフィスホワイトニング用の高濃度のジェルでした。本来はメーカーやディーラーを通して医療機関しか購入することができないものです。通常20~30分ほどしか使えない高濃度のジェルを6時間以上も歯につけていたのですから大変。幸いエナメル質や神経への影響は今のところなく経過観察中です。

輝く白い歯を手に入れ最高のスマイルで好印象を与える!そのためには、きちんとした知識を身に付けたうえで安全に行わなければ健康被害も出てしまうので注意が必要ですね。

記事画像

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提供元:「ホワイトニング」本当は怖い健康被害の実態|東洋経済オンライン

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