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2018.03.13

食後のコーヒーが効果的|食べた後血圧が下がる理由


低血圧が原因となり、「めまいがある」「立ちくらみを感じる」「寝起きが悪い」といった症状が現れることがあります。単に血圧値が低いだけであれば過度な心配は不要ですが、上記のように、生活に支障をきたす症状が出た場合は適切な対処が必要です。そこで今回は、低血圧の症状や原因、対処法などを解説します。

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目次
-低血圧とは
-低血圧の症状
-低血圧のメカニズムと原因
-低血圧に関係する病気
-低血圧の対策

低血圧とは

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低血圧とは、どのような状態を指すのでしょうか。ここでは血圧と、血圧が変化するメカニズム、低血圧の定義について解説します。

血圧とは

血圧とは、血液が血管を押す力「血管内の圧力」を指し、血液が全身の血管を巡って細胞に栄養や酸素を送り、老廃物や二酸化炭素を運びだすために必要な力です。ポンプの役割を果たす心臓が収縮して血液を押し出すときに最も高い圧力となり、逆に心臓が拡張して血液を満たすときに最も低い圧力となります。それぞれ「収縮期血圧(最大血圧または最高血圧)」、「拡張期血圧(最小血圧または最低血圧)」と言われ、一般的には、「上の血圧」と「下の血圧」と呼ばれます。

血圧は、「120/80」のように上の血圧と下の血圧を組み合わせて表し、単位は「mmHg」と表記されます(「ミリメーターエイチジー」あるいは「ミリメートル水銀柱」と読みます)。血圧の数値が120mmHgの場合、水を約1m63cm押し上げられる圧力と換算でき、血管にはそれだけ強い力がかかっていることになります。

血圧が変化するメカニズム

血圧は、「血液を送り出す心臓の力」と、送り出された血液が巡る全身の「末梢血管(※1)からの抵抗」の2つの大きく左右されます。ここでは、これら2つの要因と、末梢血管の抵抗に影響をおよぼす自律神経の働きをあわせて解説します。

血液を送り出す心臓の力

心臓が収縮すると血液が送り出され、その血液によって血管が押されます。血液が血管を押す力が、血圧です。心臓の力が強ければ送り出される血液の量も多く、押す力も大きくなるため血圧は高くなり、心臓の力が弱ると送り出される血液の量も少なく、押す力も小さくなるため、血圧は低くなります。

末梢血管の抵抗

全身にはりめぐらされた末梢血管が自律神経の働きにより固くなったり収縮したりすると、血管からの抵抗が大きくなるため、心臓から血液を送り出しづらくなり、血圧は上がります。血管が柔らかくなったり拡張したりすると抵抗は小さくなるため、心臓から血液を送り出しやすくなり、血圧は下がります。以下に自律神経が血管の抵抗を変えるメカニズムをまとめました。

●自律神経による血管のコントロール

末梢血管の抵抗は、自律神経の働きに影響されます。血管は内側から内膜、中膜、外膜という3層構造になっており、このうち外膜につながる自律神経が、交感神経と副交感神経のバランスで血管の収縮と拡張をコントロールしています。交感神経が働くと血管は収縮して抵抗が大きくなるため血圧は上がり、副交感神経が働くと血管は拡張して抵抗が小さくなるため、血圧は下がります。

低血圧の定義

低血圧は、血圧値が低い状態を指しますが、明確に定義化されておらず、一般的な目安として上の血圧が100mmHg未満の場合とされています。血圧が低くても生活に支障をきたす症状が出なければ問題とみなされず、治療の必要もないとされています。

日本高血圧学会では、上の血圧が120mmHg未満、下の血圧が80mmHg未満の場合を「正常血圧」と定義しています。また、上の血圧が120~139mmHg、または下の血圧が80~89mmHgの場合は「正常高値血圧」と定義されて要注意の値となり、さらに血圧値が上昇し、上の血圧が140mmHg、または下の血圧が90mmHg以上になった場合は「高血圧」と定義されます。

※1:末梢血管は、心臓から全身へ血液を供給して酸素や栄養を送り届けるための役割を担った血管。

低血圧の症状

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血圧が下がることで感じる自覚症状は、めまい、立ちくらみ、頭痛、全身のだるさなどです。以下に、低血圧になると出る症状についてまとめました。生活に支障が出るようなレベルの症状が見られたら、病気の可能性があるので、専門医を受診してください。

めまい

めまいは低血圧の代表的な自覚症状です。ふらつく、周囲が回っているように感じる、バランス感覚を失う、気を失いそうな感覚などが、具体的な症状として現れます。血圧が低いために血液の巡りが悪くなり、体内に十分な酸素が回らず、脳へも必要な酸素が送られなくなるために起こります。

立ちくらみ

ふらつく、視界が暗くなるなど、立ちくらみも低血圧の代表的な自覚症状です。立ち上がる際の急な姿勢の変化に心臓が対応しきれず、心臓から送り出される血液の量が減り、脳への血流も一時的に減少、脳が酸欠を起こすためです。起立性調節障害とも呼ばれています。

頭痛

低血圧によって、頭痛に悩まされることもあります。血圧が低いために血液の巡りが悪くなり、脳への血流も減少、十分な酸素が送られなくなります。そのため、脳の一酸化窒素の濃度が高まり、血管の拡張が起こることなどが原因と考えられています。

身体のだるさ

身体のだるさも低血圧の自覚症状です。低血圧で血液の巡りが悪くなると、全身の筋肉や肝臓などへ酸素や栄養がうまくいきわたらなくなるため、新陳代謝が低下してしまうことが原因です。また、血行不良によって肩こりに代表される「こり」を感じることもあります。

低血圧のメカニズムと原因

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低血圧は、血液が血管を押す力「血管内の圧力」である血圧が、何らかの原因で弱くなってしまったため起こります。ここでは低血圧が起こるメカニズムと原因について解説します。

循環血液量の減少

血液は、血管を押し広げることで血圧を保ちます。脱水状態などで体内の水分が不足すると循環血液量も減少するため、血圧は下がりやすくなります。また、手術やケガなどで出血した場合も循環血液量が減り、低血圧になります。

心拍出量(※注2)の低下

ポンプの役割を果たす心臓が血液を全身に送り出すことで血液が血管を押し、血圧は保たれています。しかし、加齢などで心臓の力が弱まれば、心臓が送り出す血液の量「心拍出量」が減少し、血管を押す力も弱くなるため低血圧になります。

末梢血管抵抗の低下

心臓から全身へ酸素や栄養を送り届けるための血管である末梢血管が拡張すると、抵抗が減るため、血液は流れやすくなり、血圧は低下します。交感神経よりも副交感神経が優位になると、血管は拡張した状態になるため血圧は下がります。筋肉が衰えると、筋肉により血管が押される力が弱まり抵抗が減るため血圧は下がります。

急な姿勢の変化

立ち上がった時に脳への血流が一時的に減り、脳が酸欠になることを「起立性低血圧」と呼び、一般的には立ちくらみと言われます。急な姿勢の変化に心臓の対応が追いつかず、血液が上半身より下半身に偏るために起こります。運動の習慣がない人に起こりやすく、起立性調節障害とも言われます。

食事によるもの

高齢の人のほか、高血圧の人、パーキンソン病の人は、食事の後に血圧が下がりやすく、立ちくらみが起こるケースがあります。これを起立性低血圧の一種「食後性低血圧」と呼んでいます。食べすぎたときや糖質の多い食事、アルコールを飲んだ時に起こりやすくなります。

遺伝によるもの

血圧の高低は、遺伝的な原因にも左右されると考えられています。このため、低血圧の症状があっても原因が特定できない場合があります。このようなケースを「本態性低血圧」と呼びます。

ほかの病気に起因するもの

何らかの病気に起因して低血圧となるケースが「二次性低血圧」です。例えば、心臓病の場合は心拍出量が低下するため低血圧になりやすく、糖尿病の場合も、自律神経の異常により低血圧になることが知られています。

※2:心拍出量とは、心臓が送り出す血液の量のこと

低血圧に関係する病気

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前述のように、直接的な原因によって起こる低血圧以外にも、ほかの病気が原因となって低血圧となる場合があります。この二次性低血圧の原因として想定される病気には、さまざまなものがあります。ここでは、主な原因である心臓病や糖尿病について解説します。

心臓病

心臓病とは、心臓の働きに異常を起こす病気の総称です。心臓の拍動のリズムに狂いが生じる「不整脈」、心臓の筋肉に血液をうまく供給できなくなる「虚血性心疾患」、心臓の筋肉そのものに異常が起こる「心筋症」や「心筋炎」などがあります。心臓病になると、心臓から血液をうまく送り出せなくなるため、心臓が送り出す血液の量である心拍出量が減り、低血圧につながります。

糖尿病

糖尿病とは、食べ物に含まれる糖をエネルギーとして正常に利用できなくなる病気です。糖尿病になると、細胞の活動メカニズムが狂うなどで神経細胞が必要としている酸素や栄養が全身に行きわたらなくなり、自律神経のバランスが崩れます。すると血管を正常に収縮させることができなくなり、血圧が低下することがあります。

低血圧の対策

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低血圧で生活に支障が出た場合は、循環器専門の医療機関に相談しましょう。二次性低血圧であった場合には、まず原因となる病気の治療が必要になるため、それぞれのガイドラインなどに沿って治療します。

ここでは、病気以外の「低血圧」の症状を改善するための対処法を紹介します。

生活習慣の改善

低血圧の症状が現れているときには、すぐに薬を使わず、食生活の見直しや運動などを生活習慣に取り入れます。

食生活の改善

メニューの偏りに注意し、栄養のある食べ物を規則正しくとるようにします。低血圧では貧血や低栄養状態にあることも多いため、高たんぱく高エネルギーな食事をとるようにします。塩分も適量の範囲で摂取することで身体の水分を保ちやすくなり、血液の量が増え、血圧を上げることにつながります。

運動

低血圧の時は、心臓が送り出す血液の量である心拍出量が低下したり、自律神経の働きが乱れたりしています。運動は身体の血流を促し、交感神経の働きを高めて血管の正常な収縮をコントロールできるようにするなど、血圧を上げることにつながります。

水分摂取

脱水状態では血液の量が減って血圧の低下につながるため、体に適度な水分量を保つことが大切です。こまめな水分補給を心がけましょう。

睡眠リズムの見直し

睡眠不足や昼夜逆転の生活は避けましょう。夜は寝て日中に活動するという生活は自律神経の活動を正常化し、交感神経の働きも高めてくれます。結果、血管の正常な収縮をコントロールでき、血圧を上げることにつながります。

一時的な対処療法

食後性低血圧や起立性低血圧のときには、カフェインの摂取、弾性ストッキングを履くなどの一時的な対処療法で症状をおさえることが可能だとされています。

カフェインの摂取

食後性低血圧の場合、カフェインを含むコーヒーなどを飲むと、症状が和らぐことがあります。食後は副交感神経の働きが優位になる傾向にあるので、カフェインの持つ交感神経の働きを高める効果によって、自律神経のバランスを保つことができます。

弾性ストッキングの着用

起立性低血圧は、急に姿勢を変えたときに症状が起こります。心臓の働きが追いつかず、血液が下半身にかたよってしまい、脳に正常な量の血液が送り出されないためです。足を締め付ける弾性ストッキングは、血液を下半身から上半身へと押し上げることを助けてくれます。

昇圧薬の使用

昇圧薬は、医療機関を受診して初めて使うことになります。本態性低血圧、起立性低血圧の治療のために、主に交感神経を刺激して、酸素や栄養を送り届けるための血管である末梢血管を収縮させたり、心筋の収縮を増やしたりする薬が使用されます。
使ってはいけないケース(禁忌)もあるので、使用にあたっては注意が必要です。必ず医師の診断に従って服用するようにしてください。

監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)

参考文献

血圧と睡眠の関係-低血圧だから朝起きられない? 睡眠不足で高血圧?(フミナーズ) ※外部サイトに遷移します

書籍「ハリソン内科学第5版」
デニス・L・カスパーほか編・福井次矢ほか監修(メディカル・サイエンス・インターナショナル)
書籍「今日の治療指針2017年版」
福井次矢など編(医学書院)
書籍「家庭の医学」(主婦の友社)
新啓一郎など著
書籍「第3版栄養食事療法必携」(医歯薬出版)
中村丁次編著
書籍「今日の治療薬2017」(南江堂)
浦部晶夫など編

photo:Getty Images

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提供元:食後のコーヒーが効果的|食べた後血圧が下がる理由│フミナーズ

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