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2017.12.25

唾液がもたらす「口の中」への小さからぬ影響│質良くたっぷり分泌するのが肝要だ


「汚いもの」ではありません(写真:kou / PIXTA)

「汚いもの」ではありません(写真:kou / PIXTA)

「唾液」あるいは「つば」と聞くと、「汚い」などのネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。

ところが近年では、唾液には虫歯を予防したり消化を促進したりする効果が多くわかってきています。筆者は、歯や口周りの情報を「ムシバラボ」というサイトで発信していますが、その中で紹介していることの1つが、唾液の驚くべき効果と唾液の質がなぜ重要なのかです。

「ムシバラボ」 ※外部サイトに遷移します

そもそも唾液とは何?

唾液とは唾液腺から口の中に分泌される液体です。人間1人あたり1日に1~1.5リットルも分泌されるといわれています。その99%以上は水分で成り立っています。水分にナトリウムやカリウム、リン、カルシウムなどの無機成分と、アミラーゼや免疫グロブリンA、ムチン、ラクトフェリンなどの有機成分が入っています。

ベタベタしている唾液を粘液性唾液、比較的サラサラしている唾液を漿液性唾液と呼びます。粘液性唾液は交感神経系が作用することで分泌され、糖タンパクが多く含まれるためにベタベタとした感触になります。心身が刺激やストレスを受けたときに交感神経系が作用しますので、ベタベタした唾液が出ているときは、身体や心に何らかの刺激を受けているとも考えられるでしょう。

一方、サラサラした唾液は、心身が穏やかな状態にあるときに作用しがちな副交感神経系によって分泌されることが多いです。水分が多く含まれていますので、べたつきがほとんどありません。また、粘液性唾液と比べると分泌される量も多いので、食事の消化吸収もよくなります。

唾液の特筆すべき効果は主に5つです。

唾液がすごい!5つの効果

(1)食べ物をのどに詰まらせない

のどごしのよくない食べ物でも、唾液と一緒になることで、のどに詰まらせずに食べることができます。高齢者が食べ物をのどに詰まらせやすいのは、唾液分泌が加齢によって衰えるからです。乾燥した食べ物を食べるときやのどごしがよくない食べ物を食べるときは、水分をたっぷりと取ったほうがいいのです。

(2)発声を助ける

のどが乾燥していると声を出すことができません。聞き取りやすい声を出すためにも、唾液が不可欠なのです。お口の中を潤し、唇や舌、頬などの動きを滑らかにすることで、歯がこすれて粘膜を傷つけるのを防ぐ役割もあります。

(3)消化を助ける

唾液にはアミラーゼと呼ばれる酵素が含まれており、このアミラーゼによってでんぷん等を消化することができます。食べたものがしっかりと胃の中で消化されるためにも、唾液が役立っているのです。

(4)虫歯や歯周病を予防する

口内が酸性に傾くと、虫歯や歯周病の原因菌となる細菌が増殖しやすくなります。唾液が十分に分泌されると歯や歯の周りについた酸性成分や食べ物のカスを洗い流すことができ、口内が中性に近づき、原因菌の繁殖を抑えられます。

唾液自体が歯をコーティングしますので、原因菌や食べ物のカスなどが歯につきにくくなります。唾液でしっかりと歯が湿ることで、乾燥した歯よりも余計なものが付きにくい歯になります。

食事中や食後は、唾液の分泌が活発になります。唾液の持つ効果をフルに活用するためにも、食後30分は歯を磨かない、という一説もあります。30分あけることで歯磨きすることを忘れてしまう方は、食後すぐに磨いたほうがいいでしょう。

(5)初期の虫歯を修復する

虫歯によって溶け始めた歯は、初期なら唾液による再石灰化で修復できます。もちろん、ある程度以上に虫歯が進行してしまうと、唾液の再石灰化では修復することができません。虫歯が進行してしまう前に気づくことができるためにも、こまめに歯科医院で虫歯のチェックをしましょうね。

虫歯の治療は虫歯部分を削って、それ以上虫歯が進行しないようにすることが一般的です。できるなら歯を削りたくないという人は、虫歯にならないようにセルフケアをしっかりとすることや歯科医院で定期的に歯のクリーニングを心がけましょう。セルフケアと医院でのケアをしっかりと行っているなら、虫歯になったとしても進行する前の初期状態で気づくことができます。

少し余談となりますがセルフケアの基本は次の3つです。

<1>1日3回、食後に歯をしっかりと磨きます。歯ブラシを歯茎に押さえつけるように磨くと、歯茎を傷つけてしまいます。力を入れすぎないように注意して丁寧に磨くのがいいでしょう。電動歯ブラシと普通の歯ブラシを両方使用すると、さまざまな方向から磨くことができますので磨き残しが減ります。

<2>1日に1回は、歯と歯の間を掃除します。デンタルフロスや歯間ブラシを使って、丁寧に掃除しましょう。特に奥歯や親知らずが横を向いて生えている場合には、食べ物のカスが詰まりやすいです。時間をかけて丁寧に取り除いてください。

<3>就寝中は唾液があまり分泌されませんので、磨き残しなどがあると夜中に口内で虫歯や歯周病の原因菌が繁殖してしまいます。夜に歯を磨いた後は、食べ物や糖分・酸などが入った飲み物は摂取しないようにしてください。寝る前にナイト専用(虫歯予防効果のあるもの)のデンタルリンスを使って口をゆすぐことも、虫歯予防効果を期待できます。

唾液は全部同じじゃない!

心身ともにストレスを受けていない状態のときに出やすくなる漿液性唾液は、唾液の中でも上質なものといえます。糖タンパクが含まれていませんので、サラサラと歯全体を包み、虫歯予防にも高い効果を発揮するのです。

十分な量の唾液が出ていないと口内が乾いてしまいますので、食べ物が詰まりやすくなったり、発声や消化がしにくくなったり、虫歯になりやすくなったりします。このような状態をドライマウスと言いますが、ドライマウスになってしまうと、口臭が強くなったり、細菌がのどにくっつきやすくなったりしますので、メンタル面でも身体面でも良好な状態とはいえなくなります。

唾液が出にくい人は、ガムをかむことで唾液腺を刺激することもできます。もちろん、ガムの糖分が虫歯の原因になってしまっては意味がありませんので、砂糖が入っていないもの、できれば再石灰化効果があるキシリトール成分が入っているものを選ぶといいでしょう。

サラサラとした唾液は、多くが耳下腺で作られます。耳下腺とは奥歯のかみ合っている部分あたりのことで、親指を除いた4本の指の腹をかみ合わせから頬(頬骨の下)に当て、ゆっくりと円を描くようにマッサージして耳下腺を刺激するといいでしょう。

唾液にはさまざまな良い効果があります。質の良い唾液をしっかりと分泌することで、健康な口内環境を作れます。歯や歯茎の健康に注意することも大切ですが、唾液にも注意していきたいですよね。質の良い唾液を分泌する活動は、ストレスに気を付けたり、ガムをかんだりと、いずれも簡単に始めることができます。

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【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します

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提供元:唾液がもたらす「口の中」への小さからぬ影響│東洋経済オンライン

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