2017.11.21
真の成功者になるために|自分のペースで仕事をするための2つの方法
アメリカ人医師のフリードマンは、せっかち、負けず嫌い・競争心が強い、成功欲・出世欲が強いというような性格傾向を持つ人を”タイプA”と分類し、タイプAの人は心臓疾患にかかりやすいという事を報告しました。
しかし、こういった人は一見有能に見えても、職業上の地位が必ずしも高いわけではないとも述べています。
真の成功のために、物事を大局的に捉えて、やるべきこと、今は待つべきことを的確に判断できる「落ち着いた人」になるためには、どうすればよいのでしょうか。
時間に追われ、待つことができない…せっかちすぎる人の行動とは?
気がつけばいつも目の前の些細なことにカリカリ、イライラし、「せっかちな自分」になっていませんか? そんな自分から「落ち着いた自分」に変わるためには、何が必要なのでしょう?
せっかちな人には、いつも何かに追われているような切迫感、「物事を速く進めなければならない」という思い込みをもつ方が少なくないように思います。たとえば、日常の中でこんな自分に気づくことはありませんか?
-スケジュールを目いっぱい詰め込み、いつも時間に追われている感覚がある
-同時に複数のことを行っていないと、時間を損しているようで満足できない
-何もしない時間に不安や罪悪感を覚える
-動作がせかせかしていて、早口、早食い、早歩きになっている
-人の話を最後まで聞くことができず、相手の言葉を先取りしてしまうことが多い
-待つことが苦手。約束の時間に人が遅れたり、列に並んだりするだけでイライラする
-物事をしみじみと味わうことができず、サッと観たり、食べたりするだけになっている
-家事やルーティンワークのような単調作業に、時間をとられることが苦痛である
-同じようにせっかちな人に会うと、妙に気が急いて競争心にかられる
これらの傾向は、「タイプA」の性格傾向の人によく見られる行動の例です。タイプAの人は、短時間にスピーディーかつ多くのことをこなそうとし、いつもせかせかしていて気持ちに余裕をもてない傾向があります。
せっかちすぎるとステップアップのチャンスを失う?
こうした傾向がある人は、常に生活上の効率性、生産性を上げることに躍起になっています。そのため、たとえばパソコンの動作が遅くなったりフリーズしたりするだけで過剰にカリカリし、物事を休み休み進めたり、だらりと過ごす人を見たりすると、イライラが募ってしまったりします。
こうしたタイプの人は一見有能に思えますが、真の成功者にはなりにくいと考えられています。
タイプAを研究した米国の医師であるM.フリードマンとR.H.ローゼンマンは、職業上の地位とタイプA行動パターンをとる人の間には、明白な相関が見られないと述べています。さらに、フリードマンらは、昇進は「早くする人より賢い人」「攻撃的な人より機転の利く人」「競争的な場面で機敏な人より創造的な人」に与えられることが多い、と述べています(『タイプA 性格と心臓病』P.80-81、創元社1993年)。
真の成功者は、目前の行動のスピードや隣人との競争にこだわることより、物事を大局的に捉えて、やるべきこと、今は待つべきこと、真の成功のためにすべきことを的確に判断して行動できる人です。
したがって、目の前のことにカリカリ、イライラしながら時間に追われて余裕なく走り続けていても、真に価値のあるものを生み出せずに感情の消耗だけが繰り返されていくのではないかと思います。
さらに、M.フリードマンらは「タイプA」の性格傾向をもつ人には、ストレスから心臓病(虚血性心疾患)を発症することが多いことを発表しています。せっかちすぎる人は心臓に負担をかけるだけでなく、自らの心身の健康のバランスを乱す生活習慣に偏りやすいのではないかと考えられます。
たとえば、せっかちすぎる人は寝るべき時刻になってもやるべきことに追われ、1日の多くを緊張状態の中で過ごしている方が少なくありません。このことから、寝つきが悪い、寝ても熟睡が得られにくいといった不調につながることもあります。
「せっかちな自分」から「落ち着いた自分」に変わる2つの方法
では、そんな「せっかちな自分」を卒業するには、どのようなことを心がけるとよいのでしょう? できるだけゆとりをもち、目の前の効率性だけにとらわれずに生活をすること、すなわち「落ち着いた自分」を目指すことが大切です。
落ち着いた自分になるためには、考え方と行動を変えていく必要があります。たとえば、次のようなことを意識するとよいでしょう。
考え方を変える
-サクサク進まずに苛立った時には、「スピード落とせ」のサインだと受け止める
-のんびりペースの人に苛立った時には、「自分が速すぎるのでは?」と考える
-「あれもやらなきゃ」と思った時には、「本当にやる必要があるの?」と問い直す
-「効率性を偏重して失うもの」について考える。家族との時間、笑顔、創造性など…
-「○○ねばならない」と思ったら、「できれば越したことはないが、できなくてもさほどの問題はないのでは?」と問い直す
-競争心が湧いたときには、「人は人、自分は自分だよね」と自分に言い聞かせる
行動を変える
-いますぐにやらなければならないこと以外は、翌日以降に回す
-一つのことをじっくりやってみる。じっくり食事を作り食べる、じっくり歯を磨くなど…
-1週間に一度は何も予定のない日をつくり、家でただのんびり過ごしてみる
-前日に十分な睡眠がとれなかったら、翌日はその分だけ早く布団に入って休む
-できるだけゆっくり動く、ゆっくり話す、ゆっくり食べる
-せっかちな人とは距離を置き、ゆっくりペースの人と交流してみる
このように、「せっかちな自分」の普段の考え方と行動を見直し、「落ち着いた自分」の領域を広げていくことが大切です。
人生を楽しく豊かなものにし、心と身体を健やかに保つためにも、ぜひ「せっかちな自分」の考え方と行動を見直し、「落ち着いた自分」に近づいていくことをお勧めしたいと思います。
photo:Getty Images
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大美賀直子
早稲田大学教育学部を卒業後、出版社やIT関連企業に在籍し心身の健康等の編集の仕事に携わり、独立。メンタル領域専門のコラムニストとして、ストレスや心の健康、対人関係、モチベーション等に関する執筆活動、講演活動を行う。同時に心理カウンセラー、研修講師としても活動し、メンタルヘルス支援企業「(株)ハートセラピー」に所属。法人向け研修、労働者や大学生へのカウンセリングを行っている。雑誌・新聞等メディアへの出演も多く、著書多数。『長女はなぜ「母の呪文」を消せないのか』(さくら舎)、『なぜあの人の働き方は「強くて美しい」のか?』(明日香出版社)などの書籍を出版している。
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