2017.11.02

自分は「売れる商品」かを見極める4つの質問│競争のない分野へ自分を導け


あなたの商品価値を高めるには?(写真:xiangtao / PIXTA)

あなたの商品価値を高めるには?(写真:xiangtao / PIXTA)

もはや会社には頼れない時代、自分のキャリアをすべて会社任せにするのは危険すぎる。60歳定年の引き上げも秒読み段階に入り、生涯現役時代が現実のものとなりつつある今、いかに満足度高く、自分本位に働ける場を確保していくかは切実な問題だ。そこで必須なのが「あなたという商品づくり」であると、『「あなた」という商品を高く売る方法』を書いたマーケティング戦略アドバイザーの永井孝尚氏は指摘する。

『「あなた」という商品を高く売る方法』 ※外部サイトに遷移します

──そもそも多くの人が、自分を商品と考え「自分という商品づくり」に取り組む前の段階なのでは。

そうですね。あくまで僕の感覚ですが、9割以上の人が自分の商品力というものを考えていないんじゃないでしょうか。でももっと自分本位に動くべきです。自分本位は別に悪いことじゃない。もっとわがままになって、自分の商品力を高めることに取り組んだほうがいい。仕事が人生の大きな部分を占めるのは事実だし、自分が自立してその商品価値を把握し、自分の世界を築いていければ幸せじゃないですか。そこで、マーケティング戦略の考え方を応用した自分の商品価値の高め方をお伝えしようと、この本を書きました。

究極の目標は、戦わずして勝つことだ

──自分という商品づくりの出発点は、誰もやっていない自分の好きなことをすることだ、と。

そう、競争を避けて好きなことをする。好きなことって時を忘れて夢中になり、知らぬ間にそれが強みとなり、さらに強化されて気がつくと誰もかなわないレベルになっていたりする。「みんなと同じでなきゃ」とか「仕事で好きなことしていいの?」という定型的な考え方を捨てる。今やニーズは多種多様。細分化されたニーズに特化すればライバルはいなくなり、競争は避けられる。あなたを必要とする人は必ずどこかにいます。

実は、競争しないことは最高の競争戦略。究極の目標は戦わずして勝つことです。最初の段階こそ競争は避けられませんが、まず範囲を絞って一番を目指すこと。戦う範囲を課内や部内に狭めて、この分野でキミは一番って地位を勝ち取る。

もう一つは狙う範囲を絞る。経理部で原価管理ならキミが一番、宣伝部ならコピーづくりはキミが一番、この製品の営業ならキミが一番というような。これをだんだん増やし広げていく。部署の枠を超えていくのでもいいし、原価管理だけでなく管理会計もわかる、でもいい。一製品から、さらにこの製品群なら任せてください、でもいい。最初の強みの芽を育て、広げ、増やしていけばいい。

まず自分の強みを徹底的に考える

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永井孝尚(ながい たかひさ)/1962年生まれ。慶応義塾大学工学部卒業後、日本IBMに入社。マーケティングマネジャー、人材育成責任者として戦略の策定と実施を担当。2013年に退社、ウォンツアンドバリュー設立。著書に『100円のコーラを1000円で売る方法』シリーズほか多数。(撮影:今井康一)

──戦わずして勝つための方法が「バリュープロポジション」。

バリュープロポジションとは、相手のニーズに合っていて、自分にしか提供できない価値のこと。あなたの商品価値を高めるためにはぜひとも必要です。バリュープロポジションの作り方は、まず自分の強みを徹底的に考える。そしてそれを必要としてる人やターゲットは誰か、なぜあなたの強みを必要としてるか、ニーズはどこにあるのか、それにどう応え、具体的にどう仕事をするかを考える。

戦いは避けながら、ライバルがいない所で自分しか提供できない価値を提供し続けていく。机上の空論にならぬよう、多くの“お客さん”と接触してターゲットとニーズをつかむことですね。人と会う回数に比例して、自分の価値を本当に生かすチャンスは増えます。

──競争の徴候が出たら早くその場を去り、戦わずに勝てる新天地を探せ、と書かれています。

鮫同士が獲物を奪い合い血に染まるレッドオーシャンで、もがき苦しみ疲弊することを避けるため。細分化されたニーズに敏感に対応し、ポジションを少し横にスライドさせて新天地を目指すことは、それほど無理なことじゃない。

限られた労力は自分の強みを磨くことに使えという意味もあります。同じ労力をかけるなら、苦手を克服するより、強みの才能を伸ばして断トツの強みに育てることに集中すべき。消耗するだけの無駄な戦いには使いたくない。

──普通に会社勤めをする人が、そんな簡単に“新天地”など探せるものでしょうか。

たぶん、スキルを高めていくということですよ。結構チャンスはあると思うんです。強みを磨いて一段一段高めていけば、その人しか占められないポジションを得るチャンスはある。風船と同じで、自分の強みの露出面が膨らんでいくと人の目に触れる機会も増えていくので、「今度これをやってみない?」とか声をかけてくる人が増えます。

あなたの強みが本物かどうか

──そもそも自分の強みとは、才能、技術、知識の掛け算だと。

ここでいう才能は、誰もが必ず持つ性格や資質のこと。そして技術、知識は後天的な学習や経験で身に付く。自分の資質を生かせるポイントを探し、まずは今の仕事を好きになることがあなたの強みを作り、あなたの商品価値を高める近道です。与えられた仕事でも、自分なりに好きな部分を見つけそこを広げていくと、強みの種が見つかる。どうしても好きになれないなら、我慢せずに別の仕事に挑戦すればいい。損切りも大切です。

あなたの強みが本物かどうかは、その仕事が好きか、必要とする人がいるか、ほかに誰も提供できないか、その強みはまねするのが難しいか、の4項目すべてにイエスと答えられるかどうかで検証できます。

──50代以降でも自分の商品価値を作ることは可能ですか?

自分のバリュープロポジションを考えてこなかった人がこの世代には多い。自分の強みがどういう構造になってるかを一度整理して考えると、本来の商品価値を知る可能性は高いと思います。たとえば、製品にする部品や材料を若い人はまだ持ってないけど、50代の皆さんはお持ちなんですよ。でもその組み立てまではしてこなかった。だからまず自分を振り返って、才能、技術、知識の強みの3要素で自分という製品を組み上げる。

そしてそれに合った仕事を意図的にやっていくとか、自分が生かせるようやり方を変えていけばいい。自分の商品価値をわかっていれば、部会で「この部分は私に任せてください」と手を挙げる機会はどんな組織でも必ずあります。若い人には試行錯誤が付きものだけど、経験のあるシニアはやっていくうちにどこに落とし穴があるか勘でわかる。シニアの起業で失敗率が低いのはたぶんそういうこと。だから、50代でも十分に商品価値を作ることはできる、というのが私の意見です。

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『「あなた」という商品を高く売る方法―キャリア戦略をマーケティングから考える』(NHK出版新書 524)(NHK出版/208ページ)クリックするとAmazonのサイトにジャンプします

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提供元:自分は「売れる商品」かを見極める4つの質問│東洋経済オンライン

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