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2017.10.30

「アラフォー社員」が職場で孤立する理由│「仲間」をつくりにくい環境にある


就職氷河期のあおりをいちばん受けた今のアラフォー世代には、同期が極端に少ないか、いないことも…(写真:den-sen / PIXTA)

就職氷河期のあおりをいちばん受けた今のアラフォー世代には、同期が極端に少ないか、いないことも…(写真:den-sen / PIXTA)

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャ(R)」の大野萌子です。

就職氷河期世代の正確な定義は存在しませんが、一般的には卒業年が1993年度から2005年度の世代を就職氷河期世代といい、大卒の場合であれば、1970年4月2日生まれ~1982年4月1日生まれの人が該当します。現在の年齢でいうと35~47歳というところでしょうか。そして中でもいちばん厳しかったのが、2000年前後なので、まさにアラフォー世代がいちばんあおりを受けているといえます。

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当然のことながら採用数は少なく、「同期がいない」「すっぽりとその年代がいない」という企業も少なくありません。そこで今起きている問題があります。

アラフォーには信頼できる仲間がいない

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まずは、物理的に仲間がいないということです。そもそも人数が少ないうえに、ミスマッチにより離職するケースも多いからです。就職難の時期において、学生は「志望する企業」と違っても、ようやく取れた内定により就職するケースが増えるため、モチベーションを保つことが難しくなります。その結果として、俗に言う「やる気のない」同期との信頼関係を育むのが難しい場合があり、離職に至るケースも多く、さらにその年代の人員が減るという事態を引き起こしていて、心情的にも、物理的にも仲間をつくりにくい環境にあります。

そのような中で、職業上の悩みや相談などを抱え込みがちになり、孤立していくケースがあるのです。

また、これとは反対のケースもあります。

アラフォー世代の職員の数が極端に少なく、その世代間ギャップを埋めるために、中途採用をする企業も昨今増えています。最近、私も大手企業の「課長」と肩書のある方と打ち合わせをした際に、「実は、3カ月前に入社しました」と打ち明けられて、驚きました。

新しい人間関係の中で関係性をつくるのは難しく、厳しい現状があります。急に来た、現場を知らない管理職が部下をまとめられずに孤立化したり、年下にあごで使われたりして居場所を失っていくケースも目の当たりにしています。企業の中核を担う、管理職、中堅管理職に相談相手がいないということは、本人のみならず、企業における大切な技術・スキル・経験の継承がスムーズに行われずに、体力を失い、弱体化していくという由々しき問題を抱えている現状があちこちで聞かれます。

さらに問題を深刻化させる背景

ミドルエイジクライシス、この言葉をご存じでしょうか。

アラフォー世代に多い悩みの中心に、これが関係していることが現場でも多く見られます。この時期に顕著に表れる、仕事、家庭の問題にとどまらない「自分の人生、このままでよいのだろうか」という葛藤です。今まで強い不満がある方はもちろん、そうでない方でも「まだ、やり直せる」「最後のチャンスかも」というような切実な思いが強まる時期のことを指します。もう一度、人生の舵取りを意識するターニングポイントともいえるでしょう。

「何のために生きるのか」という思いは、永遠の命題ともいえますが、特に年齢的なものも絡み、「これを逃したら先がない」と追い詰められやすい傾向にもあるのです。

現状を変えなければという思いから、強い衝動を生み、場合によっては、転職、離婚のように大きく環境の変化を伴う行動に出てしまうことも少なくありません。この時期に、自分自身の気持ちの整理がうまくできれば問題ないのですが、そうでない場合は、うつ状態に陥るケースもあり、より対人遮断が起きることがあります。

長年やりたかったことに着手する、夢を追い続けることもすてきなことだとは思いますが、すべてを捨ててまでやるべきことなのかは、それぞれの状況にもよるでしょう。そこで、仕事や環境をがらりと変えるのではなく、自分の夢のプチ実現として、日常の中に、非日常を取り込んでいくことをお勧めします。

ちょっとした非日常の時間をつくることで

慣例や上司の言いなりではない、自分らしい仕事のやり方を取り入れたり、定年後を見据えて勉強を始めるのもいいでしょう。今さらプロサッカー選手にはなれないけれど、フットサルの教室に行ってみる、単に仲間と楽しんでいただけの大好きなカラオケにとどまらず、プロのボイストレーナーについてみるなど、やりたかったことを実際に始めてみたり、今までまったくやったことがなかったり、興味を持つことがなかったものに触れてみるのもいいかもしれません。

少し違う世界を見ること、ちょっとした非日常の時間をつくることで、気持ちは、ずいぶん解放されます。そこで、新しい人間関係が生まれ、新しい仲間ができるかもしれません。

何かしら、充実できたり、気分転換ができるようになるとモチベーションが上がり、職場でも人間関係にも好影響を及ぼします。

孤立化することを防ぐためにも是非、行動を起こしていただければと思います。

大きな展望も大切ですが、日常の小さな変化を実感できることが何よりも大切です。自分の今を認識し、やりたかったことなどを取り入れ、嫌なことは少しずつ排除していく、という日々の積み重ねが、極端な衝動に駆られることを防ぎます。もちろん、場合によっては、生き方の方向性を思い切って変えることも必要かと思います。しかし、その場合は、単に感情に振り回されることがないよう、とことん自分と向き合う時間が必要です。

アラフォーの時期を有意義なものにするためには、「今さら」と思わずに、日頃から、いろいろな人との接点を持つことが必要です。大切なことは人それぞれ違い、自分探しは永遠に続きますが、さまざまな考え方や経験は、きっと大きな財産になることと思います。

人生の午後と呼ばれる40歳以降が、陽だまりのように明るく暖かい時間となりますように。

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「働き方改革」のズレまくりな議論にモノ申す

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「不本意」な非正社員の満たされない現実

提供元:「アラフォー社員」が職場で孤立する理由│東洋経済オンライン

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