2017.10.04

話が「長いだけの人」と「短くまとまる人」の差│見出しをつけてズバッと要約してみよう


話が長いだけで要領を得ない人、周りにいませんか?(写真:xiangtao / PIXTA)

話が長いだけで要領を得ない人、周りにいませんか?(写真:xiangtao / PIXTA)

「つまり?」「だから?」「結論は?」

相手に何かを伝えるときに、こんなことを言われたことはありませんか? ビジネスの現場では、急に報告を求められたり、会議で意見を求められたり、自己紹介を振られたり。何かを伝える機会が突然やってきます。

そんなときでも、落ち着いて、端的に、わかりやすく相手に伝えられたらベストですが、日常はそうはいきません。

頭の整理ができず、「あ、、あの件ですね、あれはですね~、、」「つまりその~、、」「実はその件ですが~なんというか~」みたいに、ついつい話が長くなったり、結局何が言いたいのかわからなくなったりすることが多々あります。

いかに、その場の状況に応じて、瞬間的に頭を整理して、わかりやすく、端的に、自分の主張を展開するか。拙著『10秒でズバッと伝わる話し方』でも詳しく解説している方法のいくつかをお伝えします。

『10秒でズバッと伝わる話し方』 ※外部サイトに遷移します

できるビジネスマンの要約力に着目!

私はモチベーション&コミュケーションスクールというビジネススクールを全国20会場で運営しています。過去1万人の方が来校され、たくさんのビジネスパーソンにお会いする中で、話が「長い人」と「短い人」の違いを徹底的に研究してきました。

その結果、行きついた結論があります。それが「要約力」です。

話が長くなる人は1~10まですべて話そうとします。

たとえば、「先日のイベントはどうだった?」と上司に聞かれた場合、「先日のイベントは時間どおり9:00にスタートしまして、午前中は来場者が結構来場されたんですが、お昼過ぎからかなり足取りが鈍りまして、また運が悪いことに15:00過ぎに急に雨が降ったものですから、そこで一気に人がひけてしまい、最終的には目標来場者数には届きませんでした」というような報告です。

起こった出来事をすべて語ろうとするあまり、結局何が言いたいのか伝わってきません。本来は、「目標来場者数に届きませんでした」ということがいちばん伝えたかったことだと思いますし、上司もそれが最初に聞きたかったと思います。このように一言でまとめる力。これが要約力となります。話がわかりやすいビジネスパーソンは、一瞬で大事な部分を特定する要約力が非常に強いのです。

みなさんの中には新聞を読まれる方も多いと思います。新聞の記事は、なぜ読みやすいと思いますか?

それは、見出しがあるからです。見出しとは、記事のダイジェストです。記事の言いたいことを一言で要約した部分になります。

たとえば、2020年の東京オリンピックが決定したときの新聞は、まず「2020年の東京五輪が決定!!」という見出しが1面を躍りました。まさにこれが記事の要約部分になります。要約してから細部に移行すると非常にわかりやすい文章になります。

これは普段の会話も一緒です。「いまの話に見出しをつけるとしたら何とつける?」と自問することで要約力が磨かれていきます。

要約力を磨く日々のトレーニング方法

では、日々の中で、どのようにして要約力を磨けばよいでしょうか?

たとえば、下記のように、今日の営業報告をメールで行うケースを想像してみてください。

本日の報告です。

本日は商談3件でした。
そのうちA社からご契約いただけました。

お断りをいただいたB社ですが、もう少し納期を早めてもらえると話が進めやすいということでしたので、納期を1週間前倒しして、再度商談に伺ってもよろしいでしょうか?

またいちばん契約が期待されていたC社ですが、いまは完全にニーズがないようでしたので、半年後に再度アタックする形でいったん様子をみてもよろしいでしょうか?

というメール。上司からすると非常にわかりづらいです。これに見出しをつけたらどうでしょうか?

本日の報告です。

【結果】
本日は商談3件で、1件ご契約いただきました。
ご契約をいただいたのはA社です。

【ご相談2点】
1点目: お断りをいただいたB社ですが、もう少し納期を早めてもらえると話が進めやすいということでしたので、納期を1週間前倒しして、再度商談に伺ってもよろしいでしょうか?

2点目:いちばん契約が期待されていたC社ですが、いまは完全にニーズがないようでしたので、半年後に再度アタックする形でいったん様子をみてもよろしいでしょうか?

話の中に、【結果】【相談】と見出しがあるので、上司は何に答えなければいけないのかが一目瞭然で非常にわかりやすいです。

こちらの文章を読んでみてください。

ある機関が50代の方に行ったアンケートです。

要約力の練習をしてみよう!

今回、総合データバンクが、50代の方に、「今抱えている不安はなんですか?」と調査しました。結果、34%の方が退職後の生活資金が心配、27%の方が社会保障費が加算していくのが心配、15%の方が子供の養育費が心配、8%の方が会社が倒産したときの収入確保が心配と回答しました。

この文章を要約すると、どういうことがいえるでしょうか。一言で要約してみましょう。

先ほどの文章をひもといてみると、

50代の方の心配事は、

1位:退職後の生活資金が心配(34%)
2位:社会保障費が加算していくのが心配(27%)
3位:子供の養育費が心配(15%)
4位:会社が倒産したときの収入確保(8%)

となります。

1~4位は結局、何の話をしているのでしょうか?

退職後の生活費、社会保障費、子供の養育費、倒産時の収入確保――。これらはすべておカネの話です。

そして上記1~4位の%をすべて足すと84%になりますので、

先ほどの文章を一言で要約すると、

「50代が抱える将来の不安は、80%以上がおカネに関する不安です」

となります。

まず、このように、ズバッと見出しをつけてから、詳細は〇〇が〇〇%で……と話してあげたほうが、聞き手の理解度は断然早いです。

私たちは、日々の生活の中で、たくさんの情報に触れます。目にする記事、メールの文章、誰かの会話、自身の会話。その情報をベースに、「一言でまとめると?」と自問し、見出しをつけてみること。これを繰り返し実施することで要約力が非常に磨かれていきます。

記事画像

『10秒でズバッと伝わる話し方』(扶桑社)。クリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

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提供元:話が「長いだけの人」と「短くまとまる人」の差│東洋経済オンライン

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