2017.07.28
仕事のできない人は「5W1H」がわかっていない|ビジネスのあらゆる場面で使える万能ツール
基本中の基本といえることが意外と大事です(写真:stock_pix / PIXTA)
・難しいフレームワークや思考・発想法を学んだが、うまく活用できていないと感じている
・物事の細部に入り込みすぎてしまい、「視野が狭い」「もっと全体を見て考えろ」「目的を忘れるな」とよく指摘される
・本質的な問題設定や抜本的な問題解決が苦手である
・説得力のある戦略プランが提案できない
・アイデアを出しても、「数が少ない」「平凡だ」とよく言われる
仕事をしていて、こんなふうに思い当たることはないだろうか? ビジネスの最前線で活躍する多くの人が、このような悩みや課題を抱えている。『シンプルに結果を出す人の 5W1H思考』の著者、渡邉光太郎氏がそのメカニズムと対処法についてアドバイスする。
PEST、5F、3C、SWOT、バリューチェーン、PPM、STP、4P、AIDMA、製品ライフサイクル、○○流問題解決メソッド、××式アイデア発想法……。
一部のビジネスリーダーだけでなく、若手を含む多くのビジネスパーソンがこうしたビジネスフレームワークを学び、使う時代になりました。経営戦略や業務改善、問題解決のために役立つツールとして、ビジネスの共通言語として、これらを使うビジネスパーソンが増えていると日々実感しています。いわゆる「フレームワークの大衆化」が起こっている状況です。
フレームワークを効果的に活用している人は少ない
ただ、残念ながら、企業にしろビジネススクールにしろ、これまで多くのビジネスパーソンと時間を共にする中、こうしたフレームワークを効果的に活用して成果を出している、つまり、よい分析やよい提案をしている人は非常に少ない、というのが私の実感です。
具体的にビジネスの現場では、3つの「フレームワークシンドローム」が、ちまたで蔓延しています。
(1)提案書の見栄えのために、複数の無意味なフレームワークを盛り込んでいる「見せかけ型」=中身がない!
(2)ただ機械的にフレームワークに情報を入れ込んで、列記・整理しただけになっている「実況中継型」=メッセージがない!
(3)なんでもかんでもフレームワークを使うことで、かえって思考が断片化・混乱している「やみくも型」=まとまりがない!
一言で言うと、大量のフレームワークや思考法、発想法などのツールに振り回されて、本来いちばん大切な思考のプロセスが疎かになっている、ということです。
「フレームワーク疲れ」に陥っている人も
かといって、分析の手掛かりにもなり、いまやビジネスの共通言語にもなっているフレームワークをいっさい使わない、というわけにもいきません。うまく使いこなせないのに、使わなければならない。このため「フレームワーク疲れ」と言っても過言ではない状況に陥っている方も、最近しばしば見受けられるのです。
そこで、私があえて皆さんにご提案したいのが、シンプルにたった1つのツール「5W1H」を使う思考法です。「いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どうやって(How)」の6点をしっかりと押さえること。文章を書くうえでも大事なポイントですが、ビジネスの現場に当てはめてみても「課題提起」「アイデア発想」「戦略プラン策定」「説得ロジック構築」「問題解決」など、あらゆる場面で使える万能の思考ツールでもあるのです。
「いまさら5W1H !?」
「5W1Hって小学校の国語の授業とか中1の英語の授業なんかで習ったあれ?」
「仕事で5W1Hが使えるのって、せいぜい“行動プラン”を作るときくらいでしょ?」
といった声が聞こえてきそうですが、この誰もが知っている万国共通のツールだからこそ、今すぐ誰でも使える魔法のツールとなるのです。
実際、私が伴走コンサルティングとして同席した、ある会社の新規事業提案の場でも、最終的にOKが出たのは、5W1Hでシンプルに戦略プランを練り上げたチームの提案でした。その場では、数チームが4カ月かけて調査・分析してきた成果である新事業戦略プランを発表しました。
ほとんどのチームは、この期間に習得した5F、3C、バリューチェーン、4Pなど、多くのフレームワークをそのまま使って発表するのですが、経営陣からの本質的で鋭い突っ込みにたじたじです。
「A市場やB市場ではなくて、なぜそのC市場を狙うのか?」
「市場の細かい分析はわかったが、具体的には誰が買ってくれるのか?」
「新製品のスペックはいいとして、要はどんな“価値”をターゲット顧客に提供することが大事なのか?」
「すぐにそんなことできるのか? 大枠でもいいから事業展開ステップを示してくれよ」などなど……。
この会社に限らず、多くの発表内容が、さまざまなフレームワークを持ち出すことで、かえって論点が断片化したり、伝えたいことが総花化したりして、「要は何が大事なのか」が見失われがちになっているのです。
そんな中でも、経営陣の本質的な疑問や懸念にしっかりと答えたチームの提案は、図のような5W1Hをベースにした「Why-Howピラミッド」の構成でした。事業戦略の必要要素を考慮した適切な論点のセットにアレンジすることで、シンプルにして強力な戦略ロジックを自然に組み立てられる構造になっているのです。
シンプルに落とし込めなければ伝わらない
このように、ビジネスのあらゆる場面で状況に応じて5W1Hをうまく組み合わせれば、多種多様のフレームワークに「使われる」ことなく、シンプルで骨太なアウトプットを生み出すことができます。
コンサルタントやビジネススクールの講師をしていて、私が最近つくづく思うことは、どんなにカッコいいフレームワークを使ってどんなに難しい分析をしたって、シンプルに聞き手に伝わるように落とし込めていなければダメなんだよな、ということです。
業種や職種を問わず、ビギナーの方は筋のよい思考の基本を身につけるために、ベテランの方は筋のよい思考のへの原点回帰のために。5W1Hはうってつけの思考のツールといえます。
『シンプルに結果を出す人の 5W1H思考』(すばる舎)。クリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
渡邉 光太郎 :ランウィズ・パートナーズ代表
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提供元:仕事のできない人は「5W1H」がわかっていない|ビジネスのあらゆる場面で使える万能ツール|東洋経済オンライン