2017.07.14

「会議の準備」で社会人の基礎力は見抜かれる|横書き資料のホチキス位置は、右?左?


たかが準備、されど準備。新人が任されることの多い会議の準備では、細かいながらも押さえておく必要のある作法がある(写真:Graphs / PIXTA)

たかが準備、されど準備。新人が任されることの多い会議の準備では、細かいながらも押さえておく必要のある作法がある(写真:Graphs / PIXTA)

会議室を予約したり、会議用資料を人数分コピーしたりするなど、会議の準備は、新人が頼まれやすい仕事のひとつだ。中には、取引先や会社の役員などが出席する重要な会議もある。そんな会議の準備で失敗すれば大変だ。今回は、失敗しないための会議準備のイロハについて紹介しよう。

会議準備で押さえておきたい”5W2H”とは?

先輩たちも、新人時代に大きな失敗をしている。

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「新人時代、よりによってコスト削減会議に、片面カラー印刷の資料を届けてしまい、『コスト削減の基本はモノクロ、両面』としかられた」(23歳・物流会社勤務)、「出席メンバー数を聞くのを忘れたので、とりあえず10部ほど持っていったら、出席者は50人! 焦って追加コピーをしようとしたら、古いコピー機だったためか内部が熱くなって動かなくなり、会議も中断。あのときはかなり怒られました」(25歳・流通)。

「こうした失敗が起こるのは、上司からの指示を理解していないから。言い換えれば、会議の準備で最も大事なのは指示受けです」と話すのは、パソナ ウィメンズキャリアカレッジ認定講師の大蔵あかね氏。

会議の準備を頼まれたら、5H「いつ(When)、誰が(Who)、どこで(Where)、どんな内容で(What)、なぜその会議をするのか(Why)」、さらに2H「会議の形式」(How)、「参加人数や会議の予算」(How much)を確認することが大切だ。

慣れないうちは、あらかじめメモに「いつ」「どこで」……と、項目を書いておくといいだろう。そこに答えを書き入れるようにしておけば、聞きそびれを防げる。さらに日程や開催時間、参加人数といった数字に関するものは、間違いを防ぐために、必ず復唱すべきだ。

会議の準備の第一歩は、会議室を押さえること。部や課で独立した会議室を持っているケースでは不要かと思うかもしれないが、その時間に別の会合をしている場合もある。ちゃんと空いているか、確認しておいたほうが安全だ。会議が伸びることを考えて、時間は少し余裕をもって押さえておいたほうがいいだろう。

複数の会議室がある場合は、どの会議室を選ぶか、考える必要がある。プロジェクターやホワイトボードを使うなら、そうした機器を使える会議室を押さえなくてはいけないし、社外の人や役員などが加わる会議であれば、窓がある会議室や静かな会議室がいいかもしれない。最も大切なのは参加人数に合った広さの部屋の確保だ。

もちろん、社外の人をどの部屋に通すのか、どの会議でどんなOA機器を使うのかなどは、各社ごとのルールがあるので、先輩などに確認しておこう。

モノクロ・両面印刷が基本

新人が頼まれるケースが最も多く、そして失敗しやすいのは、会議用資料の用意だろう。パワーポイントなど、カラーの資料がメールで届いたときには、新人はそのままカラーでプリントアウトしがちだ。

「コピーは、モノクロで、両面印刷、もしくは1枚に2ページずつコピーする2in1での印刷を推奨している企業が多いです」(大蔵氏)。カラー印刷のコストはモノクロ印刷の数倍かかる。たとえばセブン-イレブンでは、モノクロコピー1枚10円なのに対して、カラーコピーは50円と5倍。だから基本的にモノクロを使うわけだ。両面印刷や2in1にする目的は、紙の購入や処分の節約と省資源化にある。2in1と両面印刷を組み合わせれば、さらに紙を節約できる。

「ただし、外部のお客様がいるときは、片面印刷にすることもあります。片面印刷のほうがフォーマルだと一般に考えられているからです。また、色分けした細かいグラフなどがある場合は、モノクロでは見づらいケースもあります。新人のうちは、両面印刷か片面印刷か2in1か、モノクロかカラーかは、そのつど確認したほうがいいでしょう」(大蔵氏)

小さな数字が並んでいる場合は、拡大コピーで見やすくするなどの工夫や配慮ができるようになりたい。

企業によっては、会議で使用した資料をファイルで閉じて保存するところもある。そのために、2穴を開ける場合は、穴を開けるために横書き文書なら左の余白を確保しておかなければならない。余白を開けての印刷や縮小コピーなど、いくつかの方法があるので、これも確認しておいたほうがいいだろう。

全員分をコピーする前に、試し刷りをしておきたい。コピー形式を間違えている場合もあるし、コピーのガラス面に髪の毛やホコリなどが残っていると、汚れが目立ってしまう。

最近は、人数分に振り分けたり、ホチキス(ステープラー)留めが自動でできる便利な複合機が普及している。まずは会社の複合機にどんな機能が付いているのか、把握しておいたほうがいいだろう。

横書き・縦書きでホチキスの位置は変わってくる

ただ、自分でホチキス留めをする場合は注意が必要だ。「資料はA4横書きが多いと思いますが、その場合は左上をホチキスで留めるのが基本です。縦書きの場合は逆の右留め。本の開き方と同じになるようにとじればいいわけです。理由は、そのほうが字の流れが連続して読みやすいから。ホチキスは資料を開きやすいように45度の角度で留めます」(大蔵氏)。

もし、A4の書類にB4やA3といった複数のサイズの資料が混じっている場合は、書類の向きを変えずに読めるように、まず、文字の向きをA4横書きにそろえ、左上をホチキスで留める。A3横のように、右側だけがはみ出す場合は、まず、A4縦の幅に合わせて内側に折り、もう一度逆に折り返すZ折りにするときれいに収まる。A3縦のように、縦横がはみ出す場合は、長い部分はZ折り、短い部分は二つ折りにする。大きさが違う資料が複数枚ある場合は、それらをひとつにとじ、別添資料にするというやり方もある。

A4横書きの文章にA4縦書きの資料が混在するといったケースでは、縦書きの1行目を上にして左上をホチキスで留めるのが基本だ。ただし、横書きから縦書き、縦書きから横書きに変わる都度、資料を90度ずつ回転させたほうがいいだろう。

もちろんこれは基本で、多くの場合、会社の独自のルールがある。典型はパワーポイントなどの場合。両面印刷の上下をそろえて帳面留めをするところもあれば、ページごとに上下を逆にして反転留めをするところもある。

「このように、コピーひとつとっても、会社によってやり方は千差万別。一つひとつ確認していてはきりがないので、『コピーは、モノクロ両面印刷で、ホチキスは左上留めでいいですか?』といった具合に、ある程度、自分で考えて、まとめて聞くことを目指しましょう」(大蔵氏)

加えて、本当にホチキスでいいのかも考えよう。たとえば資料の枚数が多ければ、無理にホチキスで留めるよりも、ガチャ玉やクリップのほうがいいかもしれないし、複数の人の資料を並べて使う場合は、クリップなどで留めるよりも、ファイルに入れたほうがいいかもしれない。つねにどれが最適のやり方かを考えたい。

すべてとじ終わったら、落丁などがないか全冊チェック。さらに、何かあったときに備えて、1部か2部余分に作っておきたい。ちなみに次のような先輩からのエピソードもある。

「会議の席で、大切なお取引先から、血が飛び散った資料で気味が悪いから取り替えてくれとクレーム。どうやらそれは、前日の準備のときに、紙の端で切ってしまった私の指の血……。後で上司からもきつく怒られました。お客様と上司からの信用がた落ち。なんで、前日、資料のチェックをしなかったのか、大後悔でした」(金融・28歳)

資料が準備できたら、次は会場の準備だ。前の会議の予約と次の会議の予約の間が一定時間空いているところ、詰まっているところ、いろいろな予約システムがあるが、可能であれば、会議が始まる15~30分前に準備にかかりたい。

まずは会議室のテーブルのセッティング。代表的な会議のレイアウトは、「コの字」「ロの字」「対面型」「スクール型」「アイランド型」の6つ。たとえば、ホワイトボードやプロジェクターを使う場合は、みんながプレゼンターやプロジェクターの映像などを見やすいコの字型にするし、少人数でじっくりと商談などをするときなどは、お互いの顔が見やすいテーブル同士を向かい合わせる対面型に並べる。

役職と席次をきちんと合わせて資料を並べる

レイアウトができたら、全員の席に、議事に沿って順番に資料を並べる。出席者の名札も並べる場合は、役職と席次をきちんと合わせる。当然、席次が頭に入っていなければ間違える。会議内容よりも、席次を気にする人もいる。それくらい重視されることなので、席次がわからないからと適当に並べることは、絶対にやってはいけない。

プロジェクターなどを使う場合は、ちゃんと動くかどうかチェックするのも、準備を任された新人の役割だ。また、ホワイトボ―ドを使うのであれば、マーカーがきちんと書けるかどうかもチェックする。

「そして大事なのは空調ですね。人間の心地よさには温度、光、音が影響しますが、中でも強く影響するのは温度。寒かったり暑かったりすれば、早く部屋から出たくなるので、実のある会議に発展しません。女性が多いときには少し温度を高めに、男性や建物の外から入ってくる出席者が多い場合は、少し低めに設定しておくといった配慮が必要かもしれません」(大蔵氏)

こうしてみると、会議の準備には、「段取り力」「確認する力」「先読みする力」など、社会人にとって基本となるさまざまな能力が必要なことがよくわかる。言い換えれば、会議の準備をすることによって、こうした力が鍛えられるわけだ。

もちろん、漫然と準備をしているだけでは、こうした力は身に付かない。何よりも大切なのは、会議がうまく進むようにと考えることだ。仕事に慣れ、そんな気持ちが湧いてきたら、ぜひ、積極的に会議準備の手伝いをしてみよう。

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竹内 三保子 :カデナクリエイト

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提供元:「会議の準備」で社会人の基礎力は見抜かれる|横書き資料のホチキス位置は、右?左?|東洋経済オンライン

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