2017.06.29

集中力を下げる!ダメな行動「ワースト3」|「手のひらを3秒見つめる」ほうがずっといい


「集中力」を身に付けるための小さな行動のコツとは?(写真 : Graphs / PIXTA)

「集中力」を身に付けるための小さな行動のコツとは?(写真 : Graphs / PIXTA)

集中できないのは、能力ややる気のせいではない

仕事は増える一方なのに時間が足りなかったり、集中力が続かなくてイライラしたり。人は思うような行動がとれないと、つい自分や周囲を責めてしまいがちです。でも、集中できないのは自分のせいでもなければ、周りの人のせいでもありません。

私は行動科学マネジメントのコンサルタントとして、多くの企業やビジネスパーソンのお手伝いをしています。行動マネジメントとは、誰でもすぐに理解できる「行動」に着目したメソッドです。「やる気」のようなあいまいな要素は排除して、とるべき行動を明確に提示するため、その行動をした人は、誰もがいい結果を出すことができます。

私が仕事を通して実感しているのは、この世にやる気のない人など1人もいないということです。同時に、ちょっとした集中のコツを知らない人がたくさんいるという現実も目の当たりにしています。「集中する方法」さえ知っていれば、毎日をもっとラクに過ごすことができるのです。

一部の超ハイパフォーマーを除き、普通の人は「集中しよう」と思ってもなかなか集中できるものではありません。集中したいときには、集中につながる行動をとることが大切です。

集中力にはやる気も才能も必要ありません。誰でも小さな行動のコツで「集中力」を身に付けることができるのです。

実は、自分では集中力を高めているつもりの行動が、逆にマイナスに作用してしまうこともあります。間違った行動をとっていないかどうか、この機会に普段の自分を振り返ってみてはいかがでしょうか。

ワースト行動その1 火事場の馬鹿力で乗り切る

アドレナリンを出しつつ短期間で物事を片づける「火事場の馬鹿力」は、つねに一定のパフォーマンスが求められるような仕事には不向きです。一気に頑張りすぎると、どうしても疲れや不満がたまってしまうからです。

集中したいことがあるときには、リラックスした状態で緩やかに始めること。これが長続きする集中のコツです。私は集中したい仕事があるときには、まずはゆっくりと腹式呼吸をして呼吸を整えるところから始めています。

燃え尽き症候群に注意

ワースト行動その2 切りのいいところまでやりきる

大きな仕事の到達点が見えてくると、一気に集中して完成させたくなるものです。でも、すべてが終わる前に次の仕事にも手をつけてしまうのが賢いやり方です。なぜかというと、大きな仕事であればあるほど、完成後には燃え尽きてしまい、次の動き出しまでに時間がかかってしまうから。

燃え尽き症候群にならないためにも、目の前の仕事が8割方終わったら、次の仕事にも意識を向けるようにしましょう。仕事のゴールが見えて気分がアップしている状態なら、集中力を上手に移行することができます。

ワースト行動その3 優先順位をつけて仕事をする

大切なことに力を注ぐというのは、正しい仕事のやり方です。ただ、誰もが限られた集中力のなかで仕事をしています。ですから、仕事のすべてに集中力を発揮しようとするのは無理な話です。

たとえば、営業という仕事の行動を細分化すると、「アポ取り」「事前準備」「訪問あいさつ」「商品説明」「クロージング」となります。この場合、大きな目的に直結する行動はクロージングです。ということは、できるかぎりクロージングに集中力を傾けることが大切だということです。

このように、大きな仕事や多くの仕事を抱えているときほど、いらないものを捨てていく“劣後順位”のスタンスが求められます。優先順位ではなく劣後順位で判断していくことで、そのときに集中すべきタスクを限定できるのです。

私たちは何かにつけて、「気分がのらない」と感じてしまうものです。そして、それを集中できない原因だと思い込んでいます。でも、その認識は間違っています。

たとえば、「はぁ、イヤだなあ」とため息をつけば、脳は「そうか。今はイヤな気分なんだ」と認識し、気分がのらない行動に出ます。つまり、集中するのとは反対の行動に向かっていくということです。

「気分がのらないから集中できない」というのは、まったく根拠のない歪んだ認知。それを転換することが、集中するための重要なポイントとなります。

一瞬で集中力を高められる3つの方法

次の3つの方法を試してみれば、すっきりとした状態で目の前の物事に集中していけるはずです。

1.机をコンコンコンとたたく

集中したいのに気分がのらないとき、多くの人は「のれない自分がダメなのだ」と考えます。でも、実は雑念に邪魔をされているだけ。要するに、余計なことを考えているのです。

さまざまな感情が湧いては消える「雑念」というのは、はっきりした姿では現れません。ですから、大抵の人はそのことに気づくことができないのです。

雑念に支配されている状況から抜け出すためにおすすめなのが、机をコンコンコンとたたくこと。その音を聞くことで、雑念に支配されている意識が自分に戻ります。集中するためには、いつも、「今、ここ、私」の意識でいることが大切なのです。

2.「上下左右」トレーニング

集中したいことがあるときは、雑念に邪魔されがちな意識を切り替えるトレーニングをしてから取り掛かると効果的です。

自分で「上」と思ったら上を向き、「右」と思ったら右を向くということを、上下左右で3分ほど続けてみましょう。このとき大事なのは、「なるべく脳の指令どおりに行動しよう」とすること。そこに意識を向けることで、雑念を消していくことができます。1人でやりにくいときは、誰かに方向を指示してもらい、それに従うという形でもOKです。

集中したいときには「感覚」に頼らず、集中モードに切り替える「行動」をとるようにしたいものです。

3.自分の手を3秒見つめる

試験勉強に集中しなくてはならないのに、床のホコリが気になって掃除を始めてしまう――。このように、自分の作業以外のものが視覚に入るととたんに集中力をそがれるのは、ひとつのことに集中するのに疲れた脳が、ほかのものを探し始めるからです。

せっかく仕事に集中していたのに、机の上に積み上げられた資料や人の話し声など、別のものに意識が向かい始めてしまった……。そんなときは、自分の手を3秒、見つめてください。それだけで、散らかりそうになった意識が自分に戻ってきます。

自分の意識を自分でコントロールすること。これが集中への第一歩なのです。

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コツさえわかれば、仕事も勉強も家事ももう疲れない

行動科学マネジメントの第一人者である石田淳さんとまとめた新刊『今すぐ! 集中力をつくる技術』の中でも紹介していますが、「行動科学セルフマネジメント」はいつでも誰でも、行動のコツを繰り返し実践していくだけでできるようになる手法です。この手法で集中するためのコツがわかるようになれば、短い時間で疲れることなく、すっきりと仕事をこなしていくことができます。ぜひ、活用してみてください。

冨山 真由 :一般社団法人行動科学マネジメント研究所コンサルタント

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「やる気はあっても動けない」自分を操るコツ

集中力の続かない人は「仕組み化」ができない

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提供元:集中力を下げる!ダメな行動「ワースト3」|「手のひらを3秒見つめる」ほうがずっといい|東洋経済オンライン

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