2025.03.15
糖質ゼロなら飲んでもいい?知っておきたい体を労るお酒の楽しみ方
歓送迎会シーズンが到来しました。
「糖質ゼロだから安心」と思い込んでいませんか? 実は、糖質がゼロのお酒でも、飲み過ぎると健康リスクにつながることがあります。
ここでは、お酒を飲むことによる健康リスクや、体に優しくお酒を楽しむ方法をご紹介します。
糖質ゼロのお酒でも油断は禁物!?
糖質ゼロのお酒であれば、たくさん飲んでも大丈夫なのでしょうか?
実は、アルコールそのものが高カロリーで、1gあたり7kcalもあります。例えば、アルコール度数9%の缶チューハイ500mlでは、アルコール分だけで250kcalになります。
いくら糖質が低くても、飲み過ぎるとエネルギー過剰になるため注意が必要です[1]。
どれくらい飲んだら飲み過ぎ?
厚生労働省が掲げる健康づくりの指標「健康日本21(第三次)」では、生活習慣病のリスクが高まる飲酒量として、純アルコール量が男性1日平均40g以上、女性20g以上と定められています。純アルコール量20gというのは、アルコール度数5%のビール500ml、15%の日本酒約1合、12%の赤ワイン約200ml、3%の缶チューハイ約2本分に相当します[2,3]。
どうしてお酒の飲み過ぎはいけないの?
そもそも、なぜお酒を飲み過ぎてはいけないのでしょうか?以下に、主な健康リスクをご紹介します。
(1)ビール腹になる
なんとアルコールを代謝している間は、ほかの脂肪などの栄養素は使われないのです。
そのため、使われなかった脂肪は代謝されずにお腹に溜まり、いわゆるビール腹になることがあります[1]。
(2)生活習慣病のリスクが高まる
血圧や中性脂肪は、お酒を多く飲むほど高くなる傾向があります。そのため飲み過ぎると、生活習慣病に起因する脳出血や脂肪肝、急性すい炎などの原因になる可能性があります。
また、エネルギーの過剰摂取だけでなく、アルコールによる肝臓やすい臓へのダメージにより、糖尿病が発症・悪化する恐れもあります[1,4]。
(3)がんのリスクが高まる
わずかな飲酒量でも、男性では胃がんや食道がんのリスクが上がる可能性があります。また、女性では純アルコール量が1日14g以上になると乳がんの発症リスクが高まるとされています[2]。
こんな人は特に気をつけて!
飲酒による影響には個人差があり、例えば年齢、性別、体質、さらには体調など個人のそのときの状態によって異なります。
以下に、お酒の影響を受けやすいとされる人の特徴をご紹介します[2]。
(1)65歳以上の高齢者
高齢になると体内の水分量が減少するため、これまでと同じ量のアルコールでも酔いやすくなります。
その結果、認知症の発症リスクや、飲酒による転倒・骨折、筋肉の減少の危険性が高まります[2]。
(2)20歳代の若年者
20歳代の若年者は、脳が発達途中にあり、多量飲酒によって脳の機能が低下するとのデータがあります。また、高血圧等のリスクが高まる可能性もあります[2]。
(3)女性
女性は一般的に、男性と比べて体内の水分量が少ないため、アルコールの影響を受けやすいとされています。また、女性ホルモンの影響によっても、お酒の影響が増幅される場合があります[2]。
(4)アルコール分解酵素のはたらきが弱い人
アルコールを分解する酵素のはたらきには、遺伝による個人差があります。この酵素が弱い場合、飲酒により顔が赤くなったり、動悸や吐き気を感じることがあります。
弱い方がお酒に慣れたとしても、飲み過ぎるとがんのリスクが非常に高くなるといったデータもあります。
また、アルコールが長時間体内に留まるため、脂肪肝やビール腹になりやすいことも知られています[1,2]。
健康リスクを減らすお酒の飲み方4選!
ではお酒とどのように付き合うとよいのでしょうか?
ここでは健康的にお酒を楽しむ4つのコツをお伝えします。
(1)飲む量をあらかじめ決める
事前に飲む量を決めることで、過度な飲酒を避けることができます。また、自分のアルコール摂取量を把握することも重要です。
以下の計算式を参考に、お酒の量だけではなく、純アルコール量(g)を認識しましょう[2]。
お酒に含まれる純アルコール量の計算方法
純アルコール量(g)= 摂取量 (ml) × (アルコール度数/100)× 0.8
(2)飲酒前又は飲酒中に食事をとる
食事をとることで、血中アルコール濃度の上昇を抑え、酔いにくくする効果があります。ただしおつまみが脂っこいものであったり、アルコールによって食欲が亢進したりすると、肥満につながる可能性もあります。一緒にとる食事内容にも注意しましょう[1,2]。
(3)お酒と一緒に水(又は炭酸水)を飲む
お酒と一緒に水を飲むことで、アルコールの吸収がゆっくりとなり、酔いにくくなります。また、アルコール度数の低いものや、アルコールの入っていない飲み物を選んだり、少しずつ飲むことで、摂取する純アルコール量を減らすことができます[2]。
(4)休肝日を設ける
毎日飲酒を続けると、アルコール依存症の発症リスクが高まります。週に2日間程度の休肝日を設けることが推奨されています[1,2]。
体を労わりながらお酒を楽しみましょう
過度な飲酒は、病気や怪我のリスクを高めるだけでなく、危険な行動につながる可能性もあります。
飲み方に不安がある方は、医師や専門家に相談するのもおすすめです。
ご紹介した4つのコツを参考にして、体を労わりながら、歓送迎会を楽しんでください[2]。
【参考文献】(すべて2025年1月26日閲覧)※外部サイトへ遷移します。
[1] 厚生労働省, e-ヘルスネット, アルコールとメタボリックシンドローム
[2] 厚生労働省, 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン
[3] 厚生労働省, 健康日本21(第三次), 国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針
[4] 厚生労働省, e-ヘルスネット, アルコールと脂質異常症
【プロフィール】管理栄養士/インナービューティープランナー 高井利香
腸から美を叶えるをテーマに、発酵美容食の料理教室ricca.kitchenを主宰。
毎日の食事で体の内側から健康と美しさをサポートし、アトピーやニキビなどの肌トラブル改善を目指すプログラムを提供している。
また正しい健康情報を提供し、より多くの方の健康的な生活の実現に貢献したいという思いから、レシピ開発や、コラム執筆・監修なども行なっている。
記事提供:株式会社Wellmira
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