2025.03.06
アジは栄養豊富で味がいい?~調理法による違いや旬の時期まで一挙公開~
当記事の執筆は、管理栄養士 佐藤久美が担当しました。 ※外部サイトへ遷移します。
「味がいいから」という理由で命名されたという説もある、アジ。
漁獲量が多く価格もリーズナブルなため、アジは古くから親しまれている魚です。
そこで今回は、日本人にとって馴染み深い魚であるアジの栄養について解説します。
アジは干物や塩焼きとして食べるほか、新鮮なものは刺身など生で楽しむことも可能です。
調理法による栄養価の違いや、旬の時期についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
アジの栄養と効能効果
アジには私たちの体作りに欠かせないたんぱく質やビタミン、さまざまな病気の予防に役立つDHAやEPAが含まれます。
味がいいだけではなく、栄養も豊富なアジについて詳しく見ていきましょう。
筋肉や臓器のもととなるたんぱく質
アジには、良質なたんぱく質が豊富に含まれます。
良質なたんぱく質とは、たんぱく質を構成するアミノ酸の中でも「体内で合成できないアミノ酸」がバランスよく含まれているたんぱく質のことです。
体内で合成できないアミノ酸が揃っていると、私たちは効率よくたんぱく質を利用できます。
なお、たんぱく質は私たちの筋肉や臓器、ホルモンの材料となるとても重要な栄養素です。
ちなみに、アジのたんぱく質量は全体の約20%で、豚肉(ロース)とほぼ同じ割合です。
※100gあたり
表のように、サンマや卵などほかのたんぱく質源となる食材と比べてみても、アジのたんぱく質量は多めだとわかります。
さらに、アジはカロリーが低めです。「低カロリーな食材でたんぱく質を補いたい」と考える方にピッタリな食材といえますね。
カルシウムの吸収を助けるビタミンD
ビタミンDにはカルシウムの吸収率を高める働きがあり、アジにも多く含まれます。
実は、丈夫な骨を作りたいからといってカルシウムばかり摂っていても、ビタミンDが不足するとカルシウムがうまく吸収できません。
したがって、骨の健康が気になるときにはカルシウムと合わせて、ビタミンDも意識して摂らなくてはいけないのです。
ちなみにビタミンDは、ビタミンを多く含むイメージのある野菜や果物にはほとんど含まれません。
魚やきのこ類、卵、乳類に多く含まれていますので、日ごろの食事でアジもうまく取り入れましょう。
健康維持に欠かせないDHAとEPA
アジにはDHAやEPAといった、良質な脂質が含まれます。
脂質と聞くと「太りやすい」などマイナスのイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、私たちの健康維持に欠かせない役割もあるのです。
・DHA:脳の発達を促す、認知症の予防、動脈硬化の進行抑制
・EPA:血栓の予防、炎症を抑える、高血圧の予防
なおDHAやEPAは魚油に多く含まれるため、肉や卵などにはほとんど含まれません。
したがってDHAやEPAの効果を期待する方は、アジをはじめとした魚介類を積極的に摂るとよいですね。
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刺身、焼き、干物など調理法による違い
アジは刺身や焼き物など、あらゆる食べ方を楽しめますが、それぞれ栄養価は異なるのでしょうか?
※100gあたり。刺身は皮なし、干物は焼きの値を記載
表を見ると、調理による栄養素の損失は少ないことがわかります。
ただし、干物はほかの調理法と比べてビタミンDが大幅に減少していますね。
またここには記載していませんが、干物は塩分が多いため食べる量や頻度には注意が必要です。
一方でフライは衣を付けて揚げるため、カロリーが高めです。
健康が気になる方は、刺身や焼き物を中心にアジを楽しむとよいでしょう。
小アジの栄養はどうか
小アジは骨ごと食べることが多いため、カルシウムを補うのにぴったりです。
100gあたりで比べると、アジのカルシウム量が66mgなのに対して、小アジは780mgと10倍以上も含まれます。
一方で、そのほかの栄養価に大差はありません。
※100gあたり
小アジは唐揚げにして食べることもあるかと思いますが、その際はカロリーが高くなるので食べすぎには注意しましょう。
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アジの旬はいつ?
アジは1年を通して味の変化が少ないため、はっきりとした旬はありません。
一般的には、産卵前の夏ごろに脂がのって美味しくなるといわれています。
ただし、大型のアジは秋から冬にかけて美味しさが増すようです。
体に悪いといわれる理由
アジが体に悪いといわれる理由は、干物の塩分量にあるかもしれません。
100gあたり(※)で比べると、焼きアジの塩分量が0.4gなのに対して、干物(焼き)は2.0gと5倍も多いです。
(※)アジの干物は1枚あたり100g前後のものが多い
ちなみに日本人の塩分摂取目標量は、1日あたり成人男性7.5g未満、女性6.5g未満です。
醤油をかけていないアジの干物でも、1枚食べれば成人女性が目標とする塩分量の1/3に迫ります。
もちろん他の料理にも塩分は含まれるでしょうから、毎日のように干物を食べると塩分の過剰摂取につながりやすいのです。
塩分の摂りすぎは、高血圧をはじめとしたさまざまな病気のリスクを高めます。
もちろん干物ならではの味わいもありますので、適度に楽しみましょう。
まとめ
今回は、アジの栄養について解説しました。
アジには良質なたんぱく質や脂質(DHAやEPA)、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが含まれます。
調理による栄養価の損失も少ないので、ぜひいろいろな調理法でアジを楽しんでくださいね。
カルシウムを補いたい方は、骨ごと食べられる小アジがオススメです。
それでは当記事を参考に、1年中楽しめるアジを味わってみてくださいね。
【参考文献】※外部サイトへ遷移します。
執筆者:管理栄養士 佐藤久美
和洋女子大学家政学部健康栄養学科卒業。卒業後は管理栄養士、登録販売者、健康運動指導士としてドラックストアに勤務。 健康相談、個別ダイエット指導、フレイル予防の運動指導に携わりながら、栄養・運動講座の講師を務める。 たくさんの方とお話しする中で、健康に関する正しい情報・自分に適した情報を得るのは難しいことだと知った。そこで現在は「食や健康に関する正しい情報をわかりやすく伝えたい」という思いで、記事の執筆や監修を中心に活動している。
記事提供:シンクヘルス株式会社
提供元:アジは栄養豊富で味がいい?~調理法による違いや旬の時期まで一挙公開~|【シンクヘルスブログ|シンクヘルス株式会社】