2025.03.04
辛い花粉症!少しでも症状を改善する方法はある?
年々患者数が増え、日本人の多くの人が悩まされる花粉症。症状や重症度は人によって様々ですが、暖かくなるのが憂鬱になってしまいますよね。
この記事では、花粉症のメカニズムと辛い花粉症を少しでも改善するための対策方法について解説します。
そもそも花粉症ってどうしてなるの?
花粉症とは、花粉によって生じるアレルギー疾患の総称です。大きく分けて、くしゃみや鼻水が生じるアレルギー性鼻炎と、目がかゆくなり充血するアレルギー性結膜炎があります[1,2]。
花粉が体内に入ると、体が異物と認識し、異物に対する抗体が作られます。花粉が鼻や目に何度も侵入することで、抗体量が増加し、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどのアレルギー症状が発症します。そのため、今まで花粉症の症状がなかった人でも、突然発症してしまうことがあります。また、小さな子どもでも同様のメカニズムが起こり、小児の花粉症が報告されています [1,3]。
日本人の花粉症の原因はこれ!
日本人の花粉症の約70%がスギ花粉、次いで多いのはヒノキ花粉を原因とるす花粉症です。花粉の飛散する時期は、花粉の種類や地域によっても異なり、スギは2〜4月、ヒノキは3月〜4月を中心に飛散します。時期だけでなく、晴れて気温が高い日、空気が乾燥して強い日、雨上がりの翌日は特に花粉が多くなるので注意が必要です。
花粉症の種類は、スギやヒノキの他にも、シラカバやケヤキ、ブタクサなど50種類以上あると言われています。症状が出る季節で原因となる花粉を推測できますが、辛い症状を改善するためにも、医療機関を受診して検査を受け、まずは原因を特定する事をおすすめします[1,2,4]。
花粉症を改善するにはどんな方法がある?
辛い花粉症を和らげる治療方法は大きく分けて以下の2つに分類されます。医療機関に相談し、自身にあった治療法を見つけましょう。
(1) 対症療法
内服薬や点鼻薬、点眼薬、そして鼻噴霧用ステロイド薬、点眼ステロイド薬を組み合わせて、花粉症の症状を抑える治療法です。上手に薬剤を使い分けることで約半分の人がほとんど症状を感じず暮らすことができています。ポイントは飛散開始時期や症状がごく軽いときから薬の使用を開始すること。そのためにもご自身を悩ます種類の花粉が本格的に飛散開始をする1週間前までには、医療機関や薬局を活用して薬を準備し、使用を開始しましょう[1,2]。
(2) アレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法とは、花粉の成分に体が慣れるように、少しずつ投与して、アレルギーの反応が発生しないようにするための治療法です。方法としては、皮下免疫療法と舌下免疫療法の2種類があります。皮下免疫療法は、病院でアレルゲンである花粉の抽出液を注射にて定期的に投与する方法です。一方、舌下免疫療法は、スギ花粉症に対しての治療法で、スギ花粉のエキスを毎日舌に含ませ投与します。皮下免疫療法に比べ、アナフィラキシーショックを起こしにくく、自宅でもできる方法です。どちらの治療法も花粉の飛んでいない時期に治療を開始し、2〜3年間の治療が必要です[1,2]。
セルフケアで症状と上手に付き合おう!
医療機関での治療を受けることも大切ですが、生活のなかで予防をしてセルケアを行うことも大切です。
(1)マスクやメガネをする
アレルギー症状の原因である花粉が目や鼻への付着を防ぐために、マスクやメガネをつけましょう。近年、花粉専用のメガネも販売していますが、通常のメガネやダテメガネでも、メガネをしていない時の目に入ってしまう花粉の量を6割程度にできると言われています。それを聞くと、同様にコンタクトレンズでも防げるように思いますが、こちらは逆に、花粉がコンタクトレンズと結膜の間で擦れて、悪化してしまうこともあるようです。花粉が多い時期はメガネに変えることもおすすめです[1]。
(2)室内の花粉を減らす
花粉が飛び始めたら、室内にも花粉をなるべく入れない工夫が必要です。花粉が飛んでいる期間は洗濯物や布団の外干しを控え、床掃除やカーテンの洗濯などもこまめに行いましょう。また、24時間換気システムが設置されている場合は、花粉が常に取り込まれてしまう可能性があるため、花粉に対応したフィルターを装着するなどの工夫をしましょう[2]。
(3)外出時の服装にも注意
さらに花粉を室内に持ち込まないために、外出時の服装にも気をつけましょう。ウールの服は綿の服に比べて約10倍も花粉が付着しやすいと言われています。また、からだに花粉が付着することを避けるためにも、なるべく肌の露出は避けましょう[2]。花粉情報を確認し、もし可能であれば、花粉が多い日の外出を避けるという方法もあるかと思います。
花粉だけでなく日々の生活の見直しも
花粉症患者が増加している要因として、飛散する花粉数だけでなく、食生活の変化や腸内細菌の変化が指摘されています。花粉症にいいとされる食材ばかりを多く摂っても、医学的には大きく症状が変化することはないといわれています。何かの食品に偏ることなく、バランスのよい食事を心がけましょう。また、最近の研究では症状を悪化させる可能性があるものとして、喫煙やストレスの影響や空気の乾燥などが考えられています[2,4]。花粉症への治療や対策だけでなく、日常の規則正しい生活や食生活にも意識を向けましょう。
【参考文献】(すべて2025年1月29日閲覧)
[1] 環境省, 花粉症対策 スギ花粉症について日常生活でできること
[3] 増田佐和子, 乳児期から思春期までの小児におけるスギ花粉感作の実態, アレルギー, 2006, 第55巻, 第10号
【プロフィール】管理栄養士 金澤りな
大学卒業後、保育園施設の栄養士業務の経験を経て、管理栄養士の免許を取得。栄養士養成課程の助手、糖尿病専門クリニック(糖尿病療養指導士)、食育講師などの現場に勤務。科学的根拠を基に正しい情報を発信し、健康な人を増やしたいという想いから、コラム執筆やセミナー講師などフリーランスとしても活動中。
記事提供:株式会社Wellmira
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