2025.02.04

認知症は40代から予防が大切!生活習慣を見直そう


記事画像

物忘れは誰にでもあることです。しかし、親などの身近な人や、自分自身において、ある程度の度を超していると感じると、認知症ではないかと不安になることはありませんか。
認知症は誰でもなりうる病気ですが、根本的な治療方法はないため、予防することが重要になります。

認知症予防には“何歳から始めるのがよい”という明確な根拠はありません。65歳未満の場合に該当する若年性認知症の推定発症年齢の平均は51.3±9.8歳であり、約3割は50歳未満で発症しています[1]。
よって、発症リスクが高まる40代になる前から始めたい、今すぐに日常生活に取り入れる予防法について解説します。

認知症と加齢による物忘れの違いは?

記事画像

認知症と物忘れの違いを知れば、早期診断・早期治療に繋げることができます。
「今日の朝ごはんは何を食べたか」一部を忘れるのが加齢による物忘れ、「朝ごはん食べたこと」自体すべてを忘れるのが認知症による物忘れです。認知症は、脳の神経細胞の働きが低下し、認知機能である記憶力や判断力などが低下し、対人関係や社会生活に支障をきたしている状態をいいます [2]。

認知症は増えている?

記事画像

内閣府の「平成29年版高齢社会白書」によると65歳以上の認知症高齢者は2012年の時点で約7人に1人でしたが、2025年には約5人に1人になると推計されています。高齢化に伴い認知症の人は、日本だけでなく世界的にも増加しているため、世界共通の課題となっています[3,4]。

40代前から意識したい!認知症予防の4つのポイント

認知症の予防とは、認知症にならないようにするのではなく、発症を遅らせること、認知症になっても進行を穏やかにするということを示します。

今のところ、認知症の確実な予防法は確立されていませんが、食事、運動などの生活習慣と関連があることが明らかになりつつあります。今日からすぐに意識できる認知症を予防する生活習慣改善の4つのポイントをWHOのガイドラインからご紹介します。できることから取り入れてみましょう[2]。

1. 週150分の有酸素運動を行う

記事画像

運動は、認知機能の低下を予防し、脳の健康に良い影響を与える可能性があります。65 歳以上の成人には、週あたり 150 分の中強度有酸素運動、週あたり 75 分の高強度有酸素運動、または、同等の中~高強度の運動を組み合わせた身体活動を行うことなどが勧められています[4]。

2. バランスの良い食生活をする

記事画像

主食、主菜、副菜を揃えたバランスの良い食事は、認知症のリスクを低下する可能性があるという研究結果が発表されています。特定の食品や栄養素だけを補給するよりも、大豆製品、野菜、藻類、牛乳や乳製品、肉、魚などの様々な種類の食品を組み合わせた食事が良いようです [4]。

3. お酒を飲みすぎてしまう人は量を控える

記事画像

認知機能が正常または軽度認知障害の成人の中で、お酒を飲み過ぎる傾向がある人は、量を減らしたり禁酒することが、認知症のリスクを軽減するために重要であることが明らかにされています。お酒をやめられない場合は、アルコールは飲むことによって健康が害されていることを知ること、なぜ飲んでしまうのかを探り、上手に付き合う戦略を立てることが効果的です。必要な場合には、カウンセリングやセラピー受けることも推奨されています[4]。

4. 過体重や肥満の人は減量をする

記事画像

中年期の過体重・肥満の人は、減量を目的とした生活活動をすると、認知機能の領域の注意・記憶・言語に改善ができると報告されています。減量の方法は、バランスの取れた食事を摂ること、座っている時間を減らし、ウォーキングなどの身体活動を毎日行うことが勧められています。ただし、老年期の体重減少(痩せ)は認知症発症のリスクを高めるという研究結果もあるため、痩せすぎないよう注意することが必要です[4]。

40代前、なるべく若い頃から生活習慣の改善を!

認知症予防に関しては様々な情報がメディアで飛び交っていますが、未だ解明されていないことが多い現状があります。偏った情報に流されないようにしたいものです。認知症は生活習慣と深い関係があります。生活習慣を変えていくには、時間がかかりますから、40代前のなるべく若い頃から取り組むのがおすすめです。まずは、認知症を予防する4つのポイントを参考にして、生活習慣病の予防である睡眠、飲酒、喫煙等も含めて、できることから始めましょう。

【参考文献】(すべて2025年1月15日閲覧)※外部サイトへ遷移します。

[1] 厚生労働省, 若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について

[2] 内閣府:政府広報オンライン, 知っておきたい認知症の基本

[3] 内閣府:平成29年版高齢社会白書(概要版), 第1章 高齢化の状況 , 第2節高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向(3),3高齢者の健康・福祉

[4] 令和元年度 厚生労働省老人保健健康増進等事業:WHOのガイドライン, 認知機能低下および認知症のリスク低減 

【プロフィール】 管理栄養士・学術修士(医療・福祉マネジメント) なかがわ けいこ

乳幼児から高齢者まで各ライフステージの栄養指導を経験。現在も科学的根拠に基づいたアドバイスをモットーに、現実的で続けやすく、豊かな食生活が送れるようなプランを考え食事のサポートしている。また、生活習慣病や高齢者の健康の情報発信としてコラムの執筆活動も行っている。

記事提供:株式会社Wellmira

記事画像

『世界中の誰もが、自然に健康になれる社会を創る』をミッションとし、「テクノロジー・エビデンス・専門家ネットワークを活用し毎日の健康を自然にサポートできる社会システムの構築」を目指しています。

株式会社Wellmira ※外部サイトへ遷移します。

おすすめコンテンツ

関連記事

がんは予防が大切!今から始める5+1の対策

がんは予防が大切!今から始める5+1の対策

医師が指南「食後の血糖値急上昇」防ぐ5つのコツ|毎食後「3分間」イスから立ち上がるだけでもOK

医師が指南「食後の血糖値急上昇」防ぐ5つのコツ|毎食後「3分間」イスから立ち上がるだけでもOK

標準体型でも注意!専門医が語る「糖尿病」の兆候|筋肉が脂肪に置き換わる"隠れ肥満"リスクとは?

標準体型でも注意!専門医が語る「糖尿病」の兆候|筋肉が脂肪に置き換わる"隠れ肥満"リスクとは?

辛い花粉症!少しでも症状を改善する方法はある?

辛い花粉症!少しでも症状を改善する方法はある?

戻る