2025.01.25
国がすすめる健康づくり対策とは?~健康日本21(第三次)を優しく解説 第11回 糖尿病の発症予防
第11回 糖尿病の発症予防
前々回から、代表的な生活習慣病について、その予防に向けた具体的な対策について説明しています。がん、循環器病に続いて、今回は糖尿病についてです。
この連載について――――――――――――
2024年から始まっている「健康日本21(第三次)」について、身体活動ガイドラインの策定にも関わられていらっしゃる筑波大学体育系 教授の中田由夫先生に解説していただきます。
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増加を続ける糖尿病
糖尿病は、神経障害、網膜症、腎症などの合併症を併発し、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスク因子となるほか、認知症や大腸がんなどの発症リスクも高めます。
日本には糖尿病有病者が予備軍と合わせて約2,000万人いると言われており、高齢化や肥満者の増加に伴って、今後も増加することが予想されています。
こうした背景から、糖尿病に対しては、一次予防としての発症予防、二次予防としての合併症予防、三次予防としての生命予後の改善が図られています。
予防も段階的に
一次予防としては、「糖尿病有病者の増加の抑制」が目標として掲げられており、その目標達成に向けて、「メタボリックシンドロームの該当者及び予備軍の減少」「特定健康診査の実施率の向上」「特定保健指導の実施率の向上」が図られています。
二次予防としては、「治療継続者の増加」と「血糖コントロール不良者の減少」が目標として掲げられています。また、治療の継続を図るうえで「スティグマ」が問題視されています。
医療における「スティグマ」とは
スティグマとは、社会的に作られた否定的な意味を他者から付与されることを意味しています。
もともと体につけられる「烙印」や「傷跡」を意味するギリシャ語に由来していますが、日本語では「差別」や「偏見」というイメージで用いられます。
医療業界では、例えば「糖尿病の患者」というスティグマを与えられる(レッテルを貼られる)ことで、生命保険に加入できないなどの不利益を被るために、患者さんが糖尿病のことを隠すなどの問題が起こっており、このようなことが糖尿病の治療中断の要因のひとつとして考えられています。
このため、正しい知識の普及開発やスティグマの払拭のための取組を進めていくことが必要です。
糖尿病の目標
三次予防としては、「糖尿病の合併症(糖尿病腎症)の減少」が目標として掲げられています。合併症の中で、個人の生活の質への影響と医療経済への影響が大きい糖尿病腎症が着目されています。特に、「糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数減少」が目標として設定されています。
糖尿病を罹患したとしても、血糖コントロールを良好に維持し、合併症の発症・進展を抑制できれば、生活の質は保たれ、健康寿命の延伸につながることが期待されます。
記事提供:株式会社Wellmira
『世界中の誰もが、自然に健康になれる社会を創る』をミッションとし、「テクノロジー・エビデンス・専門家ネットワークを活用し毎日の健康を自然にサポートできる社会システムの構築」を目指しています。
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