2024.06.11
紙コップは「古紙では回収ができない」驚きの真実|清掃員が手作業で取り除かないといけなくなる
「資源」になるものを可燃ごみとして出していませんか? 少しずつでも、日々のよい行いを積み重ねることで、明るい未来につながっていきます(写真:yosan/PIXTA)
私たちが生活するうえで避けては通れない、ごみと掃除。とはいえ、どちらも「面倒」で「疎か」にしがち。でも、たとえば、ごみを分ける、正しく捨てる、汚れをとる、部屋を片づける、清潔な空間を保つ、捨てない工夫をするetc. そんな毎日の作業に「人生を好転させる秘密」があるとしたら?――。
本稿では、ごみ分別の方法やごみを減らすアイデア、毎日を快適にする簡単掃除のコツとともに、著者である滝沢秀一氏、新津春子氏の生き方も劇的に変えた「ごみと掃除と人生の法則」を紹介する。
本稿では、『世界一清潔な空港の清掃人と日本一のごみ清掃員をめざす芸人が見つけた「ごみと掃除と幸せな人生」』から、一部を抜粋してお届けします。
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ごみの種類、実は2種類しかない
ここ最近、世の中的にも「ごみを捨てる」というと、「分別をどうしよう」って悩む人は多いですよね。X(旧Twitter)のコメントを見ても、ペットボトルのラベルやボトルとかについて書いてあって、分別の意識が高まっている気がします。
でも、その一方で「分別って8種類にも9種類にも分かれていて、なんだか面倒くさい!」と思っている人がまだまだ多いのも事実。
実際の細かい分類はひとまず置いておいて、みんなが今出しているごみは、大きく分けると、可燃ごみと不燃ごみの2種類しかない。そのほかのペットボトルや容器包装プラスチックなどは「資源」なんだ。つまり、ごみ以外は資源になるということだ。
だから、みんなの家庭や会社から出すものが「ごみ」なのか「資源」なのか、どっちになるのかをまず考えてほしい。
「資源」になる代表的なものには、空になったペットボトルやビン、缶、段ボール、古紙などがあります。
それらは「資源ごみ」として出せば「資源」になりますが、「可燃ごみ」として捨てると、「ごみ」になってしまいます。
牛乳パックやチラシ、古紙など、スーパーの回収ボックスなどに持っていけば資源になるものを、可燃ごみとして捨ててしまっていませんか?
ごみ回収のときに、資源になるものが可燃ごみとして捨てられていることはけっこうある。ときには、きれいに切って広げた牛乳パックがなぜか可燃ごみの袋に入っていることも。
そんなのを見てしまうと、「せめて牛乳パックだけでも救ってあげたい! だってそのままの状態じゃなくてわざわざ切って広げてあるのに! なんで可燃ごみに?」って、そう思ってしまうんだけど、さすがにそこで牛乳パックを救うわけにはいかず、泣く泣く清掃車に入れ込むのです。
なんでも可燃ごみにしていない?
資源になるものを可燃ごみとして出して、税金を使って燃やして埋め立てるなんてもったいないでしょ。しかも環境にも影響する。小さなことかもしれないけど、「ちりも積もれば……」なんだから。
「ちりも積もれば……」なんて言ったら新津さんに怒られちゃうよ。
「ちりなんて積もる前に掃除しないと絶対にダメ! ちりが積もるとダニがすみつくし、そこからアレルギーや喘息を引き起こすことになるんだから! ニオイのもとにもなるよ!」って。
本当のちりは積もらせちゃいけないけど、日々のよい行ないは積もらせていきましょう。捨てるときに「資源になるかどうか」って考えてみるだけでも、モノに対する意識が変わると思います。
すると、買い物をするときも、使ったあとにそれがごみになるものなのか、資源になるものなのか、捨てるときのことを考えるようになる。
実はこれが大切なことで、ごみになるようなものはなるべく買わないようになってくる。
たとえば夏祭りや年末のパーティーシーズンでよく目にする紙コップや紙皿なんかの使い捨てアイテム。これが可燃ごみで大量に出されることがある。
なかには気を遣って紙コップを古紙で出してくれる人がいるんだけど、紙コップは古紙では回収できない。
その理由は、紙コップは飲み物を入れても水分がしみこまないように紙にプラスチックがコーティングされているから。紙は一度水で溶かしてからリサイクルするため、プラスチックがコーティングされているとリサイクルができないんです。
なかにはコーティングされていない紙コップもあってリサイクルの意識が高まっているんだけど、その割合はかなり低いのが現状。だからほとんどの紙コップは可燃ごみになります。
耐水加工がほどこされた紙袋なんかも同じ理由で可燃ごみ。なんならそれらが古紙で出されると、清掃員が手作業で取り除かないといけなくなるので、なかなかやっかいなんです。
紙コップから「世の中」を変えていこう!
バーベキューとかをするときに、当たり前のように大量の紙コップを使っていたかもしれないけど、資源になるかどうかを考えると、紙コップは便利だけど、安易に使うのがいいのかどうか、って話にもなる。
そのときに「自分の家からコップ持参してね」って伝えれば、紙コップを買う必要がなくなるし、当然ごみも出ない。
「どうして自分で持ってこないといけないの?」という人には、「紙コップは資源にならないから」って、ごみに関する情報を伝えることができる。
そうすることで、まわりの人の意識もちょっと変わるかもしれない。
こんなふうに、資源とごみのことを考えるようになると、使い捨てのものはなるべく買わないようになったり、野菜も捨てるところがないように食べる工夫をするようになったりする。
僕も買った食品はできるだけ食べ切るようにしているし、それでも出る生ごみは「黒土コンポスト」というもので分解して資源にしているよ。
もちろん、むずかしく考えることはなくて、まずは資源になるごみとならないごみに分けることから始めてみよう。
使ったところをきれいにする。資源になるごみとならないごみを分ける。これらは、習慣になってしまえば生活の一連の流れの中でできるようになります。
掃除もごみの分別も、あと回しにすればするほどたまってしまって面倒くさく感じてしまうもの。だから、そのときにやるのがいちばんラクなんです。
小さな心がけが「意識」を変える
なんでも使ったらきれいにする。さわったところはそのとき拭けばいいし、ペットボトルだって飲み終わったらそのときに水で軽くすすいで分別しておけばいい。
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この小さな積み重ねが、あとあとの作業をラクにするだけじゃなく、その人の意識を変えるんです。
意識が変わるとどんなことが起こるのか。
たとえば、部屋を日々きれいにすることは、ていねいな暮らしにつながります。健康につながります。ごみ問題を考えることは、ムダをなくすことにつながります。モノ・お金・時間の節約にもつながります。さらには環境問題にまでつながります。
つまり、意識を変えれば考え方が変わり、行動が変わり、生き方や人生まで変わるんです。
たとえ少しずつでも、日々よい行ないを続けていると、その場だけの「点」ではなく、「線」となって明るい未来につながっていきます。裏を返せば、日々の小さな点をおろそかにしてしまうと明るい未来にはつながらないということです。
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提供元:紙コップは「古紙では回収ができない」驚きの真実|東洋経済オンライン