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2024.06.07

記憶力が落ちた大人の脳を抜群に働かせるコツ|視覚・聴覚・思考系の基礎体力をどう高めるか


(イラスト:うのき)

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この記事の画像を見る(2枚) ※外部サイトに遷移します

大人になってから資格取得や昇格・昇給試験のための勉強や学び直しを始めている人も多いだろう。そのうちのどれくらいの人が最初のモチベーションを維持し、目標を達成しているだろうか。三日坊主になってしまったり、自分なりに頑張ったつもりなのに結果が結びつかなかった人も少なくないはずだ。

『一生頭がよくなり続ける もっとすごい脳の使い方』を上梓した脳内科医の加藤俊徳氏は、脳にも基礎体力があるという。大人こそ身につけたい記憶力・理解力・集中力を底上げさせる脳の基礎体力のつけ方について5回連載で解説。最終回は大人脳の基礎体力のつけ方を掘り下げます。

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トレーニング次第で目と耳を育てられる

視覚系は他の脳番地と比べて一瞬のうちに仕入れる情報の量が圧倒的に多いです。そして視覚系が入手する情報の量、質、精度は、トレーニングによって向上させることができます。

視覚系脳番地のファイアリング(ニューロンの発火)を強くするトレーニング法として、物事をゆっくり、注意深く見ること、眼球をよく動かすこと、波や雲など、流動的に形が変わるものを見ること、インテリアについて考えるなど空間や奥行きを意識することが挙げられます。これによって、視覚系の注意力が高まります。

サッカーやテニス、バレーボールなどの球技では、ライン際の判定がとても難しいものですが、そのスポーツの経験者やテレビ観戦が趣味の人であれば、インかアウトかの判定を瞬時にできる場合があります。

しかし、全く興味のない素人が見ても判断がつきません。 同じものを見ているはずなのに、キャッチできる情報量が人によって異なるのは、見ている人の“注意力”に影響されやすいため。つまり、よ〜く注意を向けて見ることが大切です。

聴覚系脳番地は、耳で聞いた言葉や音を自動的にファイアリングして、情報を脳に集積させます。

聴覚系が仕入れた情報は、視覚系よりも優位に記憶系にアクセスするという特徴があります。

つまり、大人脳の勉強法において、聴覚系のファイアリングをコントロールすることはとても重要なのです。

聴覚系脳番地は、さまざまな種類の音に反応することで成長していくため、聴覚系全体の働きをよくしたいと思うのであれば、話し声や街の音、音楽など、色んな種類の音を聞くことがポイントになります。

ただし、色んな音をただ聞き流しているだけでは強いファイアリングは起こりません。耳を澄ませるなど、意識して聞こうとすると反応が強くなります。

音楽なら、歌声、楽器の音、リズム、ピッチなどが異なるさまざまなジャンルの曲を聴くと、右脳の聴覚系脳番地のファイアリングを強化できます。普段の会話、ラジオ、オーディオブックなど、傾聴することに集中すれば、左脳の聴覚系脳番地を刺激することができます。

日本に住んでいる私たちは、小さな頃から日本語を聞き取る脳番地のエリアを育ててきました。だから、話者の性別、話すスピードに関係なく、色んなタイプの日本語を聞き取ることができます。

逆に、私たちがすぐに外国語を理解できないのは、そのための脳番地のエリアをこれまで使ってこなかったからです。

その証拠に、最初は全く聞き取れず、理解できなかった外国語も、繰り返し聴くことが聴覚系のトレーニングになり、徐々に聞き取れるようになっていきます。 音楽でも語学でも、耳が重要なジャンルで上達を目指すなら、音の質や声音を変えるなどして、繰り返し集中して聴くことをおすすめします。

同じものを見たり、聞いたりして得られる情報量が異なるということは、トレーニングをすることで情報を見極める目を育てられるということに他なりません。

思考系脳番地の基礎体力のつけ方

脳の中でもっとも大きな思考系は、隣接している脳番地がとても多いです。そのため、他の脳番地の調子が悪いとサポートやケアのために自分の力を使ってしまい、いざ勉強を始めようとしたときには、疲れて動けなくなっていることがあります。

(※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

(イラスト:うのき)

(イラスト:うのき)

この思考系脳番地のファイアリングが弱いと実行力が弱まり、傍目にはやる気がないように見えてしまうことがあります。

思考系脳番地は右脳と左脳で働きが異なり、右脳は感覚的に勢いで「やるぞ!」と燃えるタイプ。

左脳の思考系はそれを冷静に見て、理論的に「やるならしっかり手順を考えなさい」と注意を促すといったような関係にあります。

日頃、実行力が弱いと実感している人は、左脳の思考系が弱く、感覚で突っ走ってしまうところがあるのかもしれません。

右脳の思考系は、環境に大きく左右されるのが特徴です。よく言えば、気配りができる「社会脳」であるけれど、同時に、いつの間にか同調圧力を受け入れてしまうようになり、本来、自分が何をしたかったのかを見失ってしまうリスクをはらんでいます。

さらに、思考系と感情系は近くに位置するため、「こうしたら周りがどう思うか」といった社会性やモラルなどの価値基準でもファイアリングが起こります。特に、「社会的信用を失う」などの外的要因や、「模擬テストでD判定」など、現状が可視化されてそれに危機感を抱くと、思考系のスイッチが入ります。

また、他の脳番地からの影響を受けやすいのも特徴で、たとえば、視覚系が動かないと思考系もぼーっとしてしまいがちです。

目で見たもの、耳で聞いたもの、匂いや触り心地など五感でキャッチして感情が動いたものなど、思考系はそれぞれと連動してファイアリングが起こるので、あちこちに気が向いてしまいやすいところがあります。

体の痛み・不調は勉強の妨げになるので要注意

加えて、体に感じる痛みが思考系の大半をファイアリングさせてしまいます。

思考系は常に自分の体全体にも注意を向けていて、歯が痛い、腰が痛い、肩こりがつらい、頭痛がするなどの痛みがあると、痛さを感じ取ることで思考系の70%くらいが使われてしまい、他のことができなくなってしまいます。

自身のことだけでなく、離れて暮らす父親の体調が気になる、子どもがちゃんと塾に行ったかが気になるなど、目の前にいない人のことでも、気がかりなことがあれば思考系の多くが支配されてしまいます。

とにかく、あっちにもこっちにも影響される思考系は、自分でも気づかないうちに勝手にファイアリングをして、いつの間にか色々なことに支配されて、いつも疲れています。

そのことをまずは認識して、今、自分の思考系のバッファはどのくらい残っているのかを意識するようにしてみましょう。

勉強に集中して取り組みたい、自分とじっくり向き合う時間が欲しい。そんなときには、入力系ファイアリングのトリガーとなる音、匂い、目に入ってくるものを極力減らすようにするのがいいでしょう。

時間で区切って考えると脳は働きやすくなる

思考系をファイアリングさせて強化したい場合のキーワードは、「対比」と「時間軸」です。対比するものがあると、思考系はファイアリングしやすい特徴があります。

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何か悩みがあるのであれば、今の状況を点数化する、考えていることを書き出して見える化をすると、それをどう改善していきたいかの対比が明確となって、思考系が働きやすくなります。

もう1つのキーワードである「時間軸」は、時間的に階層を分けて考えることでファイアリングしやすくなることを利用します。

時間を“見える化する”ことがポイントです。

特に、思考系のファイアリングに欠かせないのが、好奇心や未来への希望です。未来のスケジュールを立てることで思考系はファイアリングしやすくなります。

私自身のことで言えば、【1日】起きてから寝るまでのスケジュール、【1週間】週の平均歩行距離・平均睡眠時間、【1カ月】クリニックの運営について、さらに、自分自身のことについて1年後、3年後、5年後の長期計画で考えています。

思考系は「これをやるぞ」と決めたことに対しては、社長らしく他の脳番地たちに命令を出すことができますが、あやふやなままだと理解系や記憶系との連携も空回りして物事が進まなくなってしまいます。

いきなり中期的、長期的な目標を立てても、内容がぼんやりしていると結局三日坊主に終わるのもこのことが原因。 【1日】や【1週間】などの短い期間でのスケジュールを立てると、他の7つの脳番地社員を動かしやすくなります。

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提供元:記憶力が落ちた大人の脳を抜群に働かせるコツ|東洋経済オンライン

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